- 活動写真の女/浅田 次郎
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勝手に採点 ☆☆☆
時代は70年代。
京大生となったばかりの主人公が、同じ大学の医学部に通う友人
の紹介で大好きな映画撮影所でアルバイトを始める。
その二人がエキストラとして時代劇に出演した際、まさに絶世の美女
というべき無名の女優に出会う。
あれこれ調べるうちにその女優は、すでに自殺してしまっており、彼ら
にしか存在の見えない亡霊であることが分かる。
そして、友人はその女優の亡霊と恋に落ち、二度と戻れない禁断の世
界線につき走っていくが・・・。
当時の時代背景や活気満ち溢れる撮影所、大学闘争最中の大学の
雰囲気のなどなかりリアルに描かれ引き込まれる。
ただ、幽霊との恋愛という非現実的な設定がリアリティを壊し、現実
なのか虚構なのか、非常にあいまいでどっちつかずの印象を与える。
「メトロに乗って」同様、都合よく虚構の世界を持ち出してしまっている
あたりが共感出来ない。
それよりも、主人公と同じ下宿に住む先輩との儚い恋模様の結末の
方がよっぽど気になる。
現在からの学生時代を回顧するスタイルをとっているため、主人公
の今がどうなったのか分からずじまい。
そうした過去の経験を踏まえて彼がその後どう生きたかを知りたい
ところ。