浅田 次郎
沙高楼綺譚 草原からの使者

勝手に採点 ☆☆☆


各界の名士が集う高級サロン「沙高楼」

そこで繰り広げられる最高の贅沢は「事実は小説より

奇なり」を地で行くようなあっと驚く体験談の数々。


大掛かりな詐欺にあって無一文になった大富豪や首相の座を目前

に死んでしまった政治家の経緯、日本有数の馬主がその地位に上

り詰めた理由など、確かにあっと驚くタメゴロウ。


ただ、「沙高楼」という設定自体や自ら語る体験談もかなり現実離れ

しているのでイマイチのめり込めない。


特に大富豪の話はあまりの転落人生ぶりにそんな話あるわけない

じゃんと感じてしまい、同情の念を禁じえない。


そんななか、「星条旗よ永遠なれ」は笑いとペーソスが絶妙に溶け

合った珠玉の一遍。アイデア自体はバカバカしいのだが、退役軍人

の友情、日本人妻への愛情など読みどころ満載。


あまりに健気な老軍人たちの姿が目に浮かぶ。

あと数十年したら自分も日章旗がでるのか気になるところ。