今週はみっちり朝から晩までワークショップに参加し、イギリスの「ドラマ教育」と、インプロ(即興演劇)の教育活用を学んでいます!
新しい考え方、伝え方を濃密に体験していて、これをどんなふうにレッスンに取り入れようかなー?!とワクワクします
働く女性のための話し方レッスンを提供する
フリーアナウンサーの三木 恵です。
インプロに限らず人前でなにかを発表するときに大事だなーと思うのは、
「失敗」
の捉え方です。
失敗をどう捉えるか。
そもそも失敗とはなんなのか。
このあたりに、発表者のナマっぽい部分がとてもよく現れてくると思います。
例えば昨日のワークショップでこんなゲームをやりました。
インプロのウォーミングアップに使われる、エクササイズ的なゲームです(とてもおもしろいゲームなのでもしかしたらお客さまの前でショーとして行われることもあるのかも)。
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●ノー○ゲーム
2チームに分かれる。
(1チームは4人ほど)
各チームから1人ずつ出て、特定のシーンを決め、そこでの会話や出来事を即興で演じる。
ここでは「交番のおまわりさんと、そこへ落し物を探しにきた人」という例で進めます。
1人がおまわりさん、1人が交番に落し物を探しにきた人という設定で演じていきます。
「あの〜、携帯電話の落し物は届いてますか?」
「確認しますね。お待ちください」
といった具合です。
即興で自由に会話し、動いてOKです。
ただし、あらかじめ「言ってはいけない音」をひとつだけ決めておきます。
その音を会話の中で使ってしまったら、その人は何か理由をつけてその場から退場しなくてはいけません。
ここでは「た」を言ってはいけないこととします。
つまり、「ノー "た" ゲーム」です。
落し物を探しにきた人が
「向こうの公園で落としちゃったんです」
と言ってしまったら、何か理由をつけてすぐに退場しなくてはいけません。
「あっ、お腹が痛くなってきちゃった…!すみません、ちょっとトイレに…」とか、
「やっぱりポッケに入ってました!失礼しました!!」とか。
1人が退場したら、退場した人のチームから次の人が登場し、また「た」を言わないようにしながらシーンの続きを演じます。
どちらかのチームが全滅するまで、繰り返し。
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ワークは 日本劇団協議会主催エデュケーションワークショップ2017 インプロコース(絹川友梨先生)より
ふだん会話するとき、五十音単位でどんな音を使って話しているかなんて意識してないですよね!
だから「た」を使わないで話す、とか言われても、意識するのがとっても難しいんです。
自分の話している内容をよく考えるし、自分で自分の言葉をよく聞くし、相手の言葉もよく聞くようになる。
言葉に対する感覚が研ぎ澄まされるすばらしいゲームです
さて、このゲーム、「言っちゃいけない音」を言わないように四苦八苦しているひとたちを見ているのも、とってもおもしろいんです。
「携帯電話を落としちゃっっっ……て!」
みたいに、「た」を言いそうになった瞬間になんとか踏みとどまってるところとか。
踏みとどまったことで気が緩んで、次のセリフであっさり言っちゃったりとか(笑)
演じているほうは即興で演じるだけでも大変なのに言葉の一音一音まで意識しなくちゃいけなくて頭フル回転で必死です。
見ているほうはその必死さに共感したりハラハラしたり、間違った瞬間の「やっちゃったー!」という反応が楽しかったり。
ゲームとしては「言っちゃいけない言葉」を言うと負けていく、つまり失敗なのですが、
だからといって単語だけで喋ったり、無口なキャラを演じたりすると、見ているほうは楽しくないんですよね。
見ているほうとしては「言っちゃいけない言葉」に対する果敢な挑戦とか、
際どいやりとりとか、なんなら大失敗とかが楽しかったりします。
さて、ここで質問です。
あなたは講師業など人前で話すことが仕事だったり、業務の一環としてプレゼンがあったりするとします。
このゲームを体験する機会があったとして、
「言っちゃいけない言葉」に果敢に挑戦していく人と、ルール上の勝ちにこだわって慎重に慎重に言葉少なく進めていく人、どちらでありたいと思いますか?
どちらがいい、という話ではないのですが、
失敗に対してあまりにも「ダメ!!」という意識を持ちすぎると、本質的なことを見失う場合があります。
視点を変えて、講師やプレゼンターとして人前で話す場合で考えてみると、
例えば間違ったことを言ってしまって指摘を受けた場合。
失敗した!まずい!どうしよう!!という思いが強いと、間違ったことを取り繕おう言い訳しようとする意識が働きます。
悪い場合は他人のせいにしたりとか。
そんなときの話し手はただ必死なだけなのですが、冷静な聞き手には全部お見通し。
好評価には繋がらないでしょう。
失敗しないよう準備をしていくのは大切ですが、
それでも失敗してしまったときにどんな対応ができるか。
まず謝る。
誠意をこめて訂正する。
迷惑をかけたなら気遣いフォローする。
また、状況と内容によっては、ジョークにしたりして軽くおさめたほうがいい場合もあります。
そんな判断をするには、失敗してしまったときも動揺せず自分らしくしっかり立っていること。
「失敗しちゃダメだ!!」という思いが強いと、いざ失敗してしまったときの衝撃が大きくて、自分らしくいられなくなってしまいます。
失敗しちゃダメだ!!と思えば思うほど、本当の意味で失敗してしまうのかもしれません。
インプロに話を戻しますと、今回ご紹介したゲームに限らず、
即興演劇にルール上の「失敗」はつきものです。そこが醍醐味でもあります。
ゲームのかたちでどんどんリスクをとって挑戦し、間違っちゃってかっこ悪いな〜と思ったとしても、ふと視線をあげると周りで見ているひとはみんな楽しんでいる。
この貴重な体験を多くの方に味わっていただきたいし、
それによって仕事のパフォーマンスは大きく変化していくと思っています。
だって、ずーっとずーっと失敗しない人生なんてあり得ないのですから!
失敗したときにどうするか。
そこにその人のナマの部分が現れちゃうのです。
人前で話すときの「失敗」のこと、もっと知りたいわ〜という方はお気軽にご相談くださいね!
話す仕事歴16年、失敗談も16年分です!!(笑)
こちらのフォームよりどうぞ★
ではでは、今日も学んでまいります!!