赤き太陽 白き月
太陽に月を見るとき
白き月は 目を醒ます
―
曼荼羅に見る 宇宙を
千の天体で 産声を
聖なるパテオン 蓮の花で待ち合わせ

宇宙が創りだすコントラストに
光と影の溶け合う夜明け前
無音の中で鳴り響く
いのちの聖歌を 謳いましょう
―
ニュートリノが 導く時空の旅へ
生まれ 生まれて
巡り 廻りて
とどまることを知らない 流れの中
心の流れも いのち そのもの
因によって生じ 縁によって流れゆく
宇宙のいのち
死は 生そのものか
あるのは ひとつのいのちそのもの

往き場のないヒトカケラなど
どこにも存在せず
不完全にして 完成されたそれら
誰が 神の名の元に盲目的になろうものか
あると想えば あるのだろう
意味は 自らが創りだせばいい
人の数だけ 考えがあり
正しさも それだけあるのだろう
創造から生まれ
創造へ還ろうか
宇宙のいのちの目醒め
空でない空 有でない有
聖なるパテオン 蓮の花で待ち合わせを

赤き太陽 白き月
月面におちた 一粒の水滴
潤し 白銀に輝く 白き月
太陽に月を見るとき
白き月は 夢を見る
コスモな世界で 唯一の我儘を
無秩序な感情に
外れ 外れる 直感を
それでも 信じる自らの感覚で
宇宙に木霊する いのちの聖歌を
あなたと

咲いた 咲いた 月の花
モノ言わぬ 宇宙から
答えをもらおうか
空虚にこそ
すべてが詰まっているかのように
オームに響く 宇宙の音を
―
白き月は
赤き太陽を見
自らを認識した
白き月は 目を醒す ―

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不思議 / 金子みすず
わたしは不思議でたまらない
黒い雲から降る雨が
銀に光っていることが
わたしは不思議でたまらない
青いクワの葉食べている
蚕が白くなることが
わたしは不思議でたまらない
たれもいじらぬ夕顔が
一人でパラリと開くのが
わたしは不思議でたまらない
たれに聞いても笑ってて
あたりまえだということが
裸になったその枝に 何が咲いていたのだろう
地面に落ちた灰色は 生きた心地がしなかった
「いつかは終わりが来るんだ」と 誰かが小さくため息ついた
あなたを見上げたこの視界は 間もなく色を亡くすだろう
春の寿命は短すぎた
散ってしまうなら 咲かないで
悲しくさせないで 夢もみせないで
私に命は重すぎた
私にあなたは綺麗すぎた
いつか消えてしまうなら 咲いていて
悲しくならないように 夢もみるよ ここでみるよ
散ってしまっても ひとりになっても
ここで待つよ あなたを待つよ
...∞