出水から鶴が「北帰」行を開始した
なんていうニュースがもたらされ
ということは
もう春がそこまで来ているということでしょうか。

「北帰行」は濁点(゛)が付くと勃起行になっちゃうから
気をつけないといけないな。
なんて思いながら
濃毛ちゃんと待ち合わせの渋谷へ急ぎました。

濃毛ちゃんと会うのはいつも夕方で
16時か17時に落ちあって軽く打ち合わせをしたあと夜の巷に流れ込むのがいつもでした。

処が今朝は
10時に会いなんて連絡が来て
「それは早すぎるよ。
 11時でいいんでねえ?」
と言って
11時に渋谷で会うことにしました。

いつもは向こうが先に喫茶店に来ていてわたしが待たせるのですが
キョウに限ってわたしが11時ちょい過ぎ、
濃毛ちゃんは10分ぐらい遅れて
マスクをかけてやってきました。

「君が早く会いたいと言ったのに遅れるなんて
 失敬じゃないか。」
と、
思いましたが言いませんでした。
「なんだよ、いつも夕方なのにこんなに朝早く。
 なにか急用?」

と訊くと
「いやあこの金、土、日、風邪を引いちゃいまして。
 今も悪寒がするんです。」
なんて見当違いの返事をし

「インフルエンザ?
 インフルエンザだと病院に行かないとダメだろ。」
「ええ、そうねんですけどね。」
と答え

コーヒーを飲もうとしてマスクを外そうとして
マスクの端を持っていながら外さず手をそこら辺でうろうろさせ
容子がおかしいので
「おい、大丈夫?」
と訊くと
目が虚ろ。

ヤバイ。
「おい、濃毛ちゃん、濃毛ちゃん、」
と言っている間に椅子からズルズル滑り落ち
床にひっくり返っちゃいました。

慌てて店の人に救急車をたのみ
床にフラットに寝かせベルトをゆるめ
横たわった顔に血の気はなく黄色、
死体と変わりなく

厭だな、
このままお弔いは寒いし面倒だな
去年、孫が生まれて
やっぱり可愛いもんですね
なんて喜んでいたのにかわいそうに。

なんて思っている内に濃毛ちゃん、意識を取り戻し
かかってきた携帯への返答もまともだったので
なんだ、葬式の段どりまで考えていたのに少し残念。
もう大丈夫かな?
と思っている内に救急車が到着し

なにも大袈裟に病院にいかなくても大丈夫かな?
と思ったのですが、
やってきた救急隊員に
「ご一緒の方ですね。
 病院にご一緒願えますか?」
なんて言われると

今まで救急車に乗ったことがなかったので
急に乗ってみたくなり
「はい、勿論。」
彼の症状がもう大丈夫そうなことは伝えないで
善意の友人ズラをして同道し
近くの東邦医大大橋病院まで行っちゃいました。

てなわけで
濃毛ちゃんのお陰で
思いもかけない「救急車 初体験」。

濃毛ちゃんを担架に乗せて搬入するときは
まるで霊柩車にお棺を乗せるみたいな感じで
濃毛ちゃんも一歩間違えば霊柩車だったな。

次は
「霊柩車 初体験」
かな?

尤もアレは
初体験が最後の体験にもなっちゃうから
これがほんとの「一期一会」というやつかな?

イヒヒヒ・・・・。