夢
夢を見た悲しい夢
最後に会った時に2月19日の予定を聞かれた。この日は15日。私は19日は普段通院している病院の定期健診と伝えた。
母は、1日あいていたそうで。
出掛けないなら美容院で縮毛矯正をしよう。と言っていた。
2月の18日に会った母は帽子をかぶっていた。珍しい。
部屋でも取らないから。
オシャレさんだと勘違いしていた。
普通の会話の中で。
母:明日は19日だからあなた(私のこと)は病院よね?
私:そう、明日は 美容院行くんでしょ??
母:うーん。行かない!!
私はハッとした。
よく見たら、母の毛が帽子から出ていない。
ストレートの肩より下迄あったはずの髪の毛が。。
恐る恐る。帽子に手をかけた。
髪の毛が無かった。
ツルツル。頭の形が鮮明に出ていた。
サイドに少しまとまった毛が残っている。
吐きそうになった。
私:どうしたの?
母:うーん。急に抜けちゃった。あはは。
私:明日は病院行こう。
そう言うと、行きたくないと拒む母。
このスピードでの髪の毛の無くなりよう。半端じゃないと焦った。
とにかく、明日は病院ね。
私はは自分の病院の事なんかどうでも良かった。
そして何事も無かったかのように。
自分の家に自転車で帰る母を見送った。
わたしはそのまま床屋に行き。
迷うこと無く。
坊主にした。
次の日。
病院での結果。やはりガンがった。
他に無いだろうと思ってはいたけれども。
私も母もショックだった。
治療を始めても。治る見込みは少ないとのことだった。
我が家は万年貧乏。
病院代、手術代、どうしたって無い。
それでも治して欲しい。
生きて欲しい。
わたしは帰りに母とウイッグを作りにいった。
母はいらないと。何度も言う。
自分が気を使われていると嫌なんだろう。
でも、私の坊主を見て一緒にウイッグを作りに行ってくれた。
二つ。買った。
それからは母とウイッグのオシャレを楽しむようになった。
少しでも笑って欲しい。
一緒に笑っていたい。
そう思い私は少しでも毛が伸びたら直ぐに剃った。
それから。
直ぐに母は逝った。
たくさんのウイッグを残して。
私は毎日母のウイッグを着けている。
母の温もりを忘れないように。
悲しい夢を見た。
涙が止まらなかった。