藻類系バイオマスセミナー【備忘録】その3 | megaseminarのブログ

藻類系バイオマスセミナー【備忘録】その3

藻類系バイオマスセミナー【備忘録】その3

藻類バイオマスの生産・利用技術とビジネスチャンス

バイオ燃料の実用化には、エネルギーの安さに対抗しなければならないので、効率的な培養技術回収技術変換抽出技術が必要とのことでした。また、海上生物の塩分は水を抜くと3割にもなり、燃焼•熱化学反応は、低温ではダイオキシン、高温ではClが炉を傷めるという問題があり、難しいとのことです。一方、メタン発酵は、リン鉱石はあと50年でなくなるという報告もある中で、肥料をエネルギーに使うことはできず、エタノール発酵は蒸留、精製に膨大なエネルギーが必要とのこと。バイオ燃料の生産を単体で行うのではなく、環境浄化(里海システム)とのコラボレーションを考えた方がいいとのことでした。

現在、琵琶湖では水草の異常繁殖が問題になっています。湖中心部まで水草が繁殖していて、漁船は通れず、網が入れられないため、漁業に影響が出ています。また、外来魚の稚魚の温床にもなっています。水草の腐敗臭、水質の悪化、取水施設が水草で詰まる等の被害も出ており、県が駆除をしています。
この水草の構成成分はホロセルロースで54.4%を占め、天日干し後、裁断、粉砕を経て、希硫酸酵素法によってセルラーゼを生産し、周辺地域の環境改善とエネルギー供給の取り組みをしているとのことでした。

海藻系バイオマスというと、クロレラは主に健康食品や色素として流通しています。培養の形式は、光独立栄養増殖、従属栄養増殖、そして両者の混合の3種類とも使え、種の時は従属栄養で、その後は光独立栄養で培養しているとのことでした。また、大気中の炭酸ガスでは最大光合成活性が得られないので、炭酸ガスを効率よく供給するための方法が必要とのことで、ナンノクロロプシスポルフィリディウムの炭素濃度を変えた屋外大量培養実験について具体的なお話を聞くことができました。

■記事の元となったプログラム内容
藻類バイオマスの生産・利用技術とビジネスチャンス
http://www.megaseminar.jp/2010/ms22b/20101027.html
日時:2010年10月27日(水) 9:30~16:30
講師:下記参照

第1部 藻類バイオマスからのバイオ燃料・有用物質生産とその利用
(独)産業技術総合研究所バイオマス研究センター 三島 康史氏   
バイオマスシステム技術チーム主任研究員 
広島大学大学院生物圏科学研究科客員教授 農学博士

・藻類 バイオマスの生態学的特徴
・燃料 利用の観点からみた藻類 バイオマスの特徴
・有用物質 利用の観点からみた藻類 バイオマスの特徴

第2部 大型緑藻からのバイオ燃料の生産と利用
(独)産業技術総合研究所バイオマス研究センター 三島 康史氏   
バイオマスシステム技術チーム主任研究員 
広島大学大学院生物圏科学研究科客員教授 農学博士

・大型緑藻からのバイオ燃料 利用のポイント
・利用可能技術の選択
・技術課題とその対応  

第3部 水草(カナダモ)からのバイオ燃料(エタノール)の生産と利用
京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻特任助教 博士(理学) 渡辺 誠也氏   

・水草(カナダモ)の特性と利用のポイント
・水草(カナダモ)からのバイオ燃料(エタノール)回収・利用のポイント

第4部 微細藻類(イカダモ、他)のからのバイオ燃料及び有用物質の生産と利用
四国大学短期大学部人間健康科教授 農学博士 西尾 幸郎氏   

・微細藻類の特性と培養方法
・微細藻類からのバイオ燃料および食品の生産と利用

第5部 微細藻類(ナンノクロロプシス、ポルフィリディウム等)からの有用物質の生産と利用
クロレラ工業(株)R/D部クリエート第一室部長 博士(学術) 丸山 功氏   

・微細藻類の特性と利用のポイント
・微細藻類の大量培養技術
・微細藻類の多面的利用のポイント

※その他の新興国・水ビジネスセミナーはこちら

藻類バイオマス工業利用の最新動向とビジネスチャンス
http://www.megaseminar.jp/2010/ms22b/20101025.html
藻類バイオマスにおける探索・培養・回収・抽出技術とビジネスチャンス
http://www.megaseminar.jp/2010/ms22b/20101026.html