神々にかわいがられた人間タンタロス | ギリシア神話+雑学 独り言~オリュンポスにて~

神々にかわいがられた人間タンタロス

タンタロスは、小アジアプリュギアという国の王であった。彼は、自分の国の神殿で、神々にほぼ毎日豪華なものを捧げていた。神々たちは彼の信心の深さに感心していた。


そして、彼はゼウスの子どもということもあり、オリュンポス神殿(天にある)に呼ばれることとなった。それから彼はたびたびオリュンポスに呼ばれ、神々にかわいがられていた。

あるとき、ゼウスが「これは神の飲む酒だ。これを飲めば不死になれる。遠慮なく飲むがいい。」と言ってきた。タンタロスは「ははー。ありがたき幸せ」と言ってその酒を飲んだ。
この瞬間!彼は不死になったことで神の仲間入りをしたのである。



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あるとき、彼は珍しい肉を用意してきた。そして、その肉を使った料理を神々に出した。

だが、ゼウスたちは神である。その肉が何の肉であるか、すぐわかった。
















人間の肉だということを

実は、タンタロスは「神々だって万能ではないだろう。ちょっと試してみよう。」というちょっとした出来心で、人間の肉を出したのである。それも、自分の息子ペロプスの肉で。

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実はそれまで、タンタロスは神からもらったものを人間界に持ち帰って自慢していたことが何度かあった。が、ゼウスはおおめに見ていた。なにより自分の息子であるから。
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いくら出来心とはいえ、『自分の息子を殺してその肉を神々の前に出す』という行為が許されるわけがない!ゼウスの怒りは頂点へと達した。「せっかく、かわいがってやっているのに、つけ上がりおって!!もう許さん!!」

それまで何度か、ちょっと悪さをたびたび行っていたこともあって、タンタロスはタルタロス(地底)に落とされた。(タンタロスとタルタロス。まぎらわしいですね。)



タルタロス・・・そこは、地上からもの凄いキョリ(地上から天までのキョリ。よくわかりませんが。)離れた地の底のことである。

だが、落とされるだけでは済まない。タルタロスに落とされた者は、何かの刑罰を受けなければならない。この刑罰は人によりきりだが、タンタロスの場合はこうである。


目の前には果物の木がある

おなかがすいたので食べようとする

だが、それを取ろうとすると、木は遠ざかっていく

再び木に近づいて果物を取ろうとすると、木はまた遠ざかっていく

タンタロスは泉につかっている

のどがかわいたので泉の水を飲もうとする

だが、その泉の水に触れる前に、水は遠ざかっていく

再び泉に近づいて、飲もうとすると泉はまた遠ざかっていく


だが、タンタロスは死ねない。
タルタロスにいる者は死ねない。
永遠にその刑罰を受けつづけるのである。
永遠に・・・