サンクチュアリ出版さまから、本格医療ミステリーコミック
「ⅹ細胞は深く息をする」
のモニターに選んでいただき、興味深く読ませていただきました。
心臓を病んだ15歳の少女、少女に恋をした二人の少年。少女の死は、二人の少年に残酷な命題……そう、文字通り命のかかった命題を投げつけた。
本格医療ミステリーの名に恥じない、ミステリーの要素、最新医療の情報が盛り込まれていながら、ラブストーリーとしても充分なドラマがあります。
脳死と判定された人の身体から取り出された心臓、受精卵から作ったクローン心臓、どちらもひとつの命のためにひとつの命が犠牲になります。
ワタシは、脳死が人の死とは思えないし、たとえ手術に成功しても、拒絶反応で駄目になってしまうのではないか? なにより、例えワタシが死んだとしても、身体に手を突っ込まれて臓器を抜き取られるのは嫌だな。
だけど、自分が心臓病で、心臓移植をしないと死ぬと言われたらどうでしょう? 自分に適合する心臓(を持つ誰かの死)を待ち侘びずにいられるでしょうか?
だから、ワタシには、心臓移植が悪いことだとは言えません。
けれども、誇らしげに、移植の成功を発表する医師や、ドナーになることを善行のように報ずるマスコミを目にするたびに、嫌悪感を感じます。
その嫌悪感は、どこから来るのか? この漫画の中に答えがあるとは言いませんが、読んで良かったと思いました。
難しいテーマに真っ向から挑んで、エンタティメントとしても成り立っていると思います。
作者は、やまあき道屯さんです。この作者の他の作品も読みたいと思いました。