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抗議文
産経新聞 担当者 殿
マンガ さらり君 作者 西村 宗 殿
 ここ数ヶ月、貴紙では救急患者の病院による受け入れ拒否について”たらい回し”という表現を繰り返し用いており、多くの医療関係者はその用語が不適切な使用であり、非常に不快感を感じております。
 さらに「マンガ さらり君 西村宗 H19.12.15」では露骨に医師が”たらい回し”を教育しているかのようなマンガまで掲載させております。”たらい回し”という表現は、救急車が病院一軒一軒を回って断られているような印象を与えますが、現実には、各病院が急患を受け処置を行っている最中であり、あるいはどう考えても重症度からその病院では対応できないことを連絡していることです。

 今、医療崩壊が叫ばれていますが、貴紙のような救急医療現場をまったく理解していない”医師叩き”によってさらに夜間救急体制が崩壊していくことでしょう。貴紙の”医師叩き”は他紙と比べても際立ったものです。
 貴紙の謝罪と、医療体制に対する報道のあり方を根本から見直すことを明確に示してください。
H19年12月  日
住所
氏名



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文頭に抗議文を置いております。


印刷時に、ご面倒にならないためですので


ご了承下さい。


詳細は下記をお読み下さい。





まずは、


医療ブログの多くで取上げられているこのマンガ…↓。


ちょっと、ひどすぎませんか?






H19.12.15 産経新聞 西村 宗






↑産経新聞では、こんなバカなマンガを載せることが許されるのか?現場医師がどれだけ大変な思いで、救急患者を診ているか、かけらでも理解しているのだろうか!?


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医療現場、とくに夜間救急体制は

疲弊の極みに達しています。




責任は果てしなく重く、


夜間であろうと、専門医でなかろうと


最高の医療を要求され、何か問題があると


負け続けている領域です。




さらには、医師は安い「当直」という軽労働として


夜間救急を行っていますが、


現状は明らかに「夜勤」であり、


夜間見回り以上、つまりは診療行為を


することだけで「夜勤」であると判断されるはずです。




そのため、「当直」翌日、


ほとんど睡眠を取れない夜間救急の


翌日も「通常業務」を続け、36時間以上の労働になることも


珍しくありません。





さらには、国が「病院をつぶし、ベットを減らす」


という


「医療費削減、ベット削減」政策を行っているため

病院は慢性的な赤字に陥り、


悲惨な労働条件に


多くの医師が過労死寸前の状態になっています。





しかし、


産経新聞はずーっと医師叩きの姿勢のままで、


大手新聞で唯一、”たらい回し”の


用語を継続して使用しております。





そして、


今回のマンガ掲載になるのです。


一般的な視点からも、


「行き過ぎた表現」であり、


必至に業務を行っている医師を愚弄することは


医師の意欲を一気に奪い


さらなる医療崩壊を導くことでしょう。




本来責められるべきは医師ではなく、


責任の所在は、


医師に法律違反の超過重労働を強いるだけで


なんら対策を立ててこなかった


国、厚労省、各地方自治体であるはずです。




以下、主な産経新聞による”たらい回し”報道を


まとめてみました。


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「産経新聞による”たらい回し”報道」



18病院たらい回し…男性死亡 姫路

12月6日13時51分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071206-00000939-san-soci

 兵庫県姫路市の男性(66)が6日未明、吐血するなどして救急搬送された際、近隣の18病院が医師の不在などを理由に受け入れを拒んでいたことが分かった。男性は最終的に約30キロ離れた市外の病院に2時間近くかけて搬送されたが、途中で病状が悪化。搬送先の病院で死亡が確認された。市消防局は「最善を尽くしたが、いろいろな条件が重なり受け入れ先を見つけるのに時間がかかってしまった」としている。

 市消防局などによると、6日午前0時7分、男性の家族から「(男性の)意識がぼんやりしている。目がうつろで吐血した」と119番通報があり、救急隊が出動。受け入れ先の病院を探したが、姫路赤十字病院や国立病院機構姫路医療センターなど18の病院に「専門の医師がいない」「ベッドがない」などの理由で断られたという。

 男性は当初意識があったが、受け入れ先の赤穂市民病院に搬送される途中で心肺が停止。午前1時56分に同病院へ到着したが、同2時17分、死亡が確認された。

 救急搬送をめぐっては、昨年8月、奈良県大淀町の町立大淀病院で高崎実香さん=当時(32)=が分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、19病院に受け入れを断られた末、大阪府吹田市の搬送先の病院で後日、死亡。今年8月にも、同県橿原市内で体調不良となった妊婦(38)が11病院から受け入れを断られ、大阪府高槻市内の病院で死産が確認された。

 高崎さんの義父、憲治さん(53)は「救急医療をめぐる問題があると(関係者は)『二度とこういうことが繰り返されないように』と謝るが、何度も繰り返し起こってしまうことが残念でならない」と話している。

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【主張】妊婦たらい回し また義務忘れた医師たち

産経新聞 2007/08/31 05:02
http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070831/shc070831001.htm

 次々と病院から受け入れを断られ、たらい回しにされた奈良県の妊娠中の女性が、救急車の中で死産した。奈良県では昨年8月にも、分娩(ぶんべん)中に意識不明となった妊婦が、19カ所の病院に転院を断られ、死亡している。悲劇が再び起きたことに死亡した妊婦の夫は「この1年間、何も改善されていない。妻の死は何だったのか」と怒りをあらわにする。その通りである。「教訓が生かされてない」と批判されても仕方がない。

 女性はようやく見つかった10カ所目の大阪府高槻市の病院に向かう途中、救急車内で破水し、その直後に救急車が軽ワゴン車と衝突した。

 事故後、消防隊員が連絡すると、病院側は「処置は難しい。緊急手術も入っている」と断った。その後、大阪府内の2病院にも断られ、困った消防隊員が再び要請すると、高槻市内の病院は受け入れをOKした。結局、病院にたどり着いたのは、119番から3時間もたっていた。

 奈良県では危険な状態にあるお産の周産期医療の搬送は、健康状態を把握しているその妊婦のかかりつけ病院が県内の2病院に連絡し、それぞれが受け入れ先を探す。この仕組みだと、比較的受け入れ先が見つかりやすい。

 しかし、死産した女性はかかりつけの医者がいなかった。このため、一般の搬送の手順で消防隊が受け入れ先を探した。これが時間のかかった理由のひとつだという。

 奈良県の幹部は「かかりつけ医のいない妊婦の搬送は想定外だった。すぐに対策をとりたい」と話すが、トラブルや事故は予期せぬ中で発生するのが常である。早急に抜本的対策をとる必要があろう。

 周産期医療を扱う病院は、全国的に減少している。産婦人科医は内科医などに比べ拘束時間が長く、訴訟も多いからだ。

 妊婦のたらい回しは、奈良県だけに限った問題ではない。厚労省は産科医などの医師不足対策に本腰を入れて取り組むべきである。

 それにしても、痛みをこらえる患者をたらい回しにする行為は許されない。理由は「手術中」「ベッドがない」といろいろあるだろうが、患者を救うのが医師や病院の義務である。それを忘れてはならない。

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■【主張】病院たらい回し 患者本位の基本忘れるな

平成18(2006)年10月24日[火] 

http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/10/17_8822.html

(天漢日乗より抜粋させていただきました)

 分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥った妊婦が、19カ所もの病院に次々と転院を断られ、やっと収容された病院で脳内出血と帝王切開の緊急手術を受け、男児を出産した。だが、8日後に亡くなってしまう。問題は病院の「たらい回し」である。

 残された夫は「妻の命をもっと大切にしてほしかった」「今後、同じことが起きないよう妊婦の搬送システムを改善してほしい」と訴えている。

 妊婦は8月7日、奈良県大淀町立大淀病院に入院し、翌日午前0時過ぎ、頭痛を訴えて意識を失った。適切な処置ができないと判断した大淀病院は受け入れ先を探したが、満床や専門医不在を理由に断られ、6時間後、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に運び込まれた。受け入れを打診した20カ所目の病院だった。

 患者を医療設備と専門スタッフのそろった病院に搬送するシステムの欠如がまず問題だ。

 奈良県では高度な医療や緊急治療の必要な妊婦の40%近くが県外に転送されている。厚生労働省が進めているお産を扱う周産期医療をネットワーク化するシステムの導入も他の自治体に比べ、遅れたままだ。

 重体の患者を引き受け、面倒な医療訴訟を起こされる事態を避けたがる受け入れ側の病院の体質もあるだろう。厚労省によると、周産期医療は訴訟が多く、医療ミスや医療事故の12%は、産婦人科医が当事者だという。

 妊婦が最初に入院した大淀病院の誤診の問題も、忘れてはならない。大淀病院は容体の急変後、妊娠中毒症の妊婦が分娩中に痙攣(けいれん)を引き起こす「子癇(しかん)発作」と判断し、痙攣を抑える薬を投与した。当直医が脳の異常の可能性を指摘し、CT(コンピューター断層撮影法)の必要性を主張したが、受け入れられなかった。

 脳内出血と正確に診断されていれば、搬送先の幅が広がり、早く受け入れ先が決まっていた可能性は高い。

 奈良県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて捜査に乗り出した。

 患者を救うのが、病院や医師の義務である。患者中心の医療の基本を忘れているから患者をたらい回しにし、患者不在となる。

 もう一度、医療とは何かをしっかり、考えてほしい。

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産経新聞の狂った報道も


まさに極まっています。


まったく医療の現状を理解せず、


一方的な報道に終始しています。




ということで、



<産経新聞にハガキで抗議>


したいとおもいます。



いままで再三、産経新聞の”たらい回し報道”に抗議してきましたが、


彼らには全く効果がないようです。


彼らが理解していないのは、


メールなどの電子媒体で、


担当以外目に付かないせいが


あるからなのかもしれません。





産経新聞に、


ハガキで直接、抗議してみようと思います。


ご賛同の方はよろしくお願いいたします。




抗議方法

1.本ブログ上部の点線部分が抗議文になっております。


本ブログを印刷し、大きいときは若干縮小をかけてください(スミマセン)。


官製はがきに貼り付け、投函してください。


住所は


〒100-8078 産経新聞東京本社 担当係


と、

http://sankei.jp/inquiry.html#Articles


には各支社の住所が載っております。


できれば地元の各支社に1通の2通はいかがでしょうか。


東京本社だけでは理解できないでしょうから。







もしも実名に抵抗があるのなら、


”一勤務医”や”一医師”という


匿名でもかまわないと思います。


全国からこのようなはがきが来ることに


意味があるのではないでしょうか。






読者から情報をいただきました。


「抗議文本文をコピーしWordに貼り付ける。


印刷設定は


A4横、3段組み、文字は最小の8、マージンも一番小さくする」


これで、ハガキサイズの印刷になるそうです。


大変ありがとうございます。


ご参考までに。



2.本ブログを印刷して、医局などにおいて置いてください。


今までの産経新聞の報道のひどさが分かることでしょう。








医師として心ある方のご協力を重ねてお願いいたします。


よろしくお願いいたします。






また、


趣旨にご賛同いただける方、


ブログで産経新聞に対するクレームを書かれた方は、


コメント欄にご連絡いただけましたら幸いです。






よろしくお願いいたします。


中間管理職

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関連ブログ


「勤務医 開業つれづれ日記」

■産経新聞が繰り返す”たらい回し” マンガ さらり君 西村宗 H19.12.15 たらい回し
http://ameblo.jp/med/entry-10060643264.html


■抗議文送りました また”たらい回し” 「18病院たらい回し…男性死亡 姫路」 

http://ameblo.jp/med/entry-10059014079.html


S.Y.’s Blog

http://d.hatena.ne.jp/shy1221/20071216/p1


さらりと流せませんナ?:イザ!
http://alpaca.iza.ne.jp/blog/entry/423647/

産科医療のこれから

http://obgy.typepad.jp/blog/2007/12/1216_ec09.html



(追記:リンクが一部間違っておりました。

ご迷惑をおかけいたしました)