この20年以上、歯科で新しく保険適用になった治療法、多分ひとつもないですよ。






さて、混合診療の検討です。





患者さん側のメリットとしては、


1.日本で保険診療が認められていない海外の薬もすぐに使える



というのが最大でしょう。


(元ライダーさんのご指摘で訂正しております。

下記(1)ご参照下さい。)





逆に、患者さん側のデメリットは、


2.混合診療で余計にお金がかかるようになる


に尽きます。




1と2のバランスが問題です。


現時点ではほとんどが保険医療でまかなわれていますが、


一部に保険の適応外がある状態です。


しかし、もし仮に、混合診療が進むとこうなるかもしれません。



医師 「保険診療では、点滴で様子を見るだけです」


患者 「じゃあ、自由診療分はどうなります?」


医師 「手術が可能になりますが、しかし、お金かかりますよ」


患者 「えっ、保険きかないのですか!?」


医師 「そうです。国がそう決めていますので。どうされますか?」


患者 「そんな…。じゃあ、…手術でお願いします」





要は、バランスの問題です。


一度、開いた穴は限りなく広がる、


という法則の元、公的な医療はどんどん縮小するかもしれません。




厚労省のメリットは?


あくまで仮説ではありますが、


3.公的な医療費を削減することが出来る


しかし、予算を減らす、という事は厚労省としては


権限の縮小にもなります。




つまり、デメリットとしての、


4.医療の権限、制限を厚労省から民間に移行してしまう


5.医師、医療関係者を厚労省がコントロールできなくなってしまう


ということが根底にあるのでしょう。




現在厚労省は、


極めて厳格に”診療報酬”で


医療の質と医療の価格を


コントロールしていますが、


混合診療解禁となれば、


どこの病院でも


最低限の医療以上は


”医師の判断”で


自由に金額が設定できる事になるかもしれません。






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混合診療巡り討論、規制会議と厚労省

更新:2007/11/28   キャリアブレイン

http://www.cabrain.net/news/article.do;jsessionid=9CE9C47571492EE1E70870A9A53BFD11?newsId=13243

 政府の規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船株式会社代表取締役会長)は11月27日、厚生労働省の水田邦雄保険局長らを招き、混合診療解禁の是非をめぐり公開討論した。混合診療の禁止の法的根拠は「見出し難い」とする判決を東京地裁が出したのを受け、全面解禁を主張する規制改革会議に対し、厚労省は「患者の負担が不当に拡大するおそれがある」などと慎重な姿勢を崩さず、議論は終始かみ合わなかった。公開討論後の会見で規制改革会議の松井道夫委員は、年末の第2次答申に向けた最優先課題として、混合診療の全面解禁を求める考えを改めて強調した。

 この日の公開討論には、厚労省側からは水田局長のほか原徳壽医療課長、八神敦雄保険医療企画調査室長ら計5人が参加した。

 規制改革会議はこの日、混合診療が禁止されていることで、最先端医療を享受できるのが一部の富裕層に限られる点を指摘。被保険者の公平の観点から問題があるとの見方を示した。

 福井秀夫委員(政策研究大学院大学教授)は「混合診療が解禁されると金持ち優遇になると言うがよく分からない。単純な理解では、解禁されれば少しの負担で非常に有効かもしれない米国の新薬を使用できる。混合診療を禁止すれば、根っこの保険診療も全額自己負担しなければならなくなり、相当な高額所得者でないと受けられない。その意味で、禁止していることこそ不公平で金持ち優遇だ」と述べた。

 これに対して厚労省は、「場合による。わずかな負担でできるものとそうでないものがある。一定のルールの下に考える必要がある」「(混合診療ではなく)早期保険導入により対応してほしいというのが患者の切実な願いだと思う」などと応じた。
 規制改革会議の草刈議長は「自由診療は認められていて、それを選ぶのは個人の人権。それを選択した時に経済的なブレーキを与えるのは人権侵害だ」と批判した。

 このほか規制改革会議は、混合診療が進めば、新しい治療法や薬を試みやすくなり、患者の治癒可能性の向上や臨床データの集積につながると主張した。厚労省は「データの管理体制が整備されていない医療機関で臨床事例を蓄積しても薬事法の承認審査に活用できるデータにはならない」などと慎重な姿勢を崩さず、議論は最後まで平行線をたどった。

■「混合診療禁止の論理は破たん」
 討論後の会見で松井委員は「混合診療解禁の論理は破たんしていると思っている。この討論をスタートに、混合診療は実質解禁だという形で取り組みたいと改めて心に決めた」と述べ、年末にまとめる第2次答申で全面解禁を求める考えを改めて示した。松井委員はまた「(厚労省は)質問を完全にはぐらかしている。これを延々とやったって解決しない」とも強調し、最終的には政治判断になるとの見方を示した。

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さて、医師のメリットは何でしょう?


6.極端なことを言えば、”診療報酬”に縛られなくても済む


7.最先端の技術をすぐに提供できる


という事でしょうか。





でもね、


医科の10年先を行く、


といわれる歯科では、


とっくに混合診療実施中。









現実問題としてどうなっているのか?








最凶さんのブログを引用させてもらいます。


いつもありがとうございます。



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「ガン患者は混合診療解禁の人質?・2」  医療制度
http://black.ap.teacup.com/saikyou/206.html


 たとえば、すでに混合診療が一部導入されてる歯科のセンセのコメントはキョーミ深いね。読みに行くのがメンドくさい人は、これだけでも目を通しといてちょ。

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 「歯科は混合診療が認められているのに、大丈夫だ。医科だってそうだろう」のような意見もございましたし、日々の診療の中で、保険と自費、そのメリットとデメリット、金額などを日常的に説明していたりするわけですが(別に全く他の保険治療と異なるリスクとかがなくとも。つか、リスク高かったら金額負担の大きい自費はかえって薦めないですね。お金のことは度外視するほど希望の強い方でない限り)。


 私的に、混合診療の一番のデメリットは、「何時までたっても保険適用にならないっ!」ということだと感じます。 この20年以上、歯科で新しく保険適用になった治療法、多分ひとつもないですよ。まあ、審美領域の話は、この際さておいて(といっても今の世の中小臼歯までは前装冠認めて欲しいですが・・・保険だと銀歯になります(しかしものすごく目立つ)、自費だったら白くできるんですが~」というのは辛い。しかも、こっちの収入に違いができるわけでもない)インプラントとか、新しい(といっても自費では10年以上使われてる)材料の認可すらまったくないのが現状です。これは機能的にも非常に異なってきます。


 たとえば医科で混合診療が解禁になったら、この先出てくる画期的な、もしくは有用な治療法が保険認可されることはあるのだろうか、と憂慮してしまいます。


 それどころか風邪なども保険からはずすという話すら出てきてる有様だというのに…「早期発見・早期治療」のスローガンはどこにいったのでしょう。歯科の検診すら、治療じゃないから「自費」が原則な世の中です・・・。


 混合診療がないからこそ、実効性が証明された治療法があるのに使えないのはおかしい、という認可への圧力になると思いますし、それがなければ何時までたっても自費のまま、経済力のない方には一生縁のない話で終わってしまうとは思いませんか? (「ちゃ」さん)


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つまりは、


医科も日本では


こうなる、


混合診療でのメリットは


医師も患者さんもあまりない、


日本の国で混合医療を進めても、


国が医療費を締め付け、


新しい保険適応がされずに


保険医療がこのまま固まってしまう、


という事ではないでしょうか?





あまり混合医療に


あまい夢を見ていると、


医療関係者も足元をすくわれるのではないでしょうか?




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(1)訂正前は、

「患者さん側のメリットとしては、


1.日本で認可が下りていない海外の薬もすぐに使える

というのが最大でしょう。」


と記載しておりました。



元ライダーさんの

http://ameblo.jp/med/entry-10057521630.html#c10079618737

コメントにありますように、


すべての薬剤がフリーになるわけではありません。


保険適応外の薬品を


使用することが可能になる、


という事です。




ご指摘ありがとうございます。


訂正させていただきます。


また、今後ともよろしくお願いいたします!!