開業はすでに
「逃げる」場所ではありません。
厚労省が
虎視眈々と
狙っているのです…。
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医の現場 疲弊する勤務医
(5)開業医へ「逃げたい」
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/feature/20070507ik05.htm
2007年5月4日 読売新聞
人手・財政不足の病院「もう限界」
諏訪中央病院で、保育園の子どもたちに囲まれた鎌田実医師(右) 「病院経営には、もう疲れ果てました」
医師と患者・家族の信頼の大切さを描いた「がんばらない」などの著者で、一昨年、諏訪中央病院(長野県茅野市)の院長を退職した鎌田実医師(58)は去り際にそう語った。
今は同病院の嘱託医として診療に当たる鎌田さんは、「医療費削減政策の中で綱渡りの日々が続いた。日本の病院は財政、人員ともに余裕がなさすぎる。がんばりも限界だった」と苦闘の日々を振り返る。
現在の診療報酬制度は急患を扱う病院に不利とされる。効率化や支出切り詰めが甘い病院も少なくないが、総務省の2005年度の統計では、全国の自治体病院982病院のうち約65%(643病院)が赤字だ。
病院を圧迫する理由は財政面ばかりではない。
長野市の長野市民病院(300床)は医師60人と看護師260人を抱え、スタッフ数は恵まれた部類だ。しかし、医師は週1回ほとんど徹夜になり、翌日も夜までの連続勤務をこなす。「診療を巡る状況が変わった」と今年3月に病院長を退職した長田敦夫医師(68)は説明する。
夜間、子どもの急患が殺到する。「核家族化で祖父母の助言がなくなり、開業医も夜中は診てくれない。発熱などで直接病院に駆けつけるケースが増えた」
検査の同意書や患者の紹介状、様々な報告書作りに毎日数時間を費やす。感染症対策や医療事故対策など会議も多く、勤務医の仕事は雪だるま式に増えている。
◇
2005年に開業した診療所は全国約5750で、5年前の約1・4倍。病院勤務医からの転身が多いとみられ、その分、病院の環境は厳しさを増した。
「開業できるなら、おれも病院を逃げ出したい」
関東地方の大学病院に勤務する40代の脳外科医はそう語る。深夜、クモ膜下出血の男性が搬送され、6時間の緊急手術で救命した。夜間の加算分を含め100万円以上かかる大手術だが、成功報酬はなく、失敗すれば責任を取らされる。大学から得ている年収は約800万円。「人手不足で研究時間もない。教授になってもかつてのような力はなく、疲労感がたまるだけ」
慈恵医大病院血管外科の大木隆生教授(44)は、米アルバートアインシュタイン医大病院の血管外科教授を兼務する。大木教授が卒後7年目の医師の待遇を両病院で比較したところ、大きな差があった。
ア大の年収は約2500万円で慈恵医大の5倍強。労働時間はア大の週50時間に対し、慈恵は80時間。ア大では、個室と専属秘書がつき、当直もない。「腕に差はない」(大木教授)のに、なぜこれほど違うのか。
日本の医療費は年間総額約32兆円。国内総生産(GDP)に占める割合を経済協力開発機構(OECD)30か国で比較すると、日本は8%で、21番目。米国(15・3%)、スイス(11・6%)に比べ低く抑えられている。「米国の大学病院では、ベッド数当たりの看護師が(日本の)5倍はいる。事務職員も同程度。日本では、医師が看護師や事務職員の仕事の多くを担うことで医療費を切り詰めてきた」と、大木教授は指摘する。
◇
日本私立医科大学協会によると、医師1人を育成するのに約1億円かかり、税金で賄う部分も少なくない。そんな医師たちに社会は何を求め、どう支えるか。
来年予定されている医療費の改定に向け、鎌田医師はこう語る。「小児科・産科医療の充実、在宅・緩和医療への増額など、はっきりした方針を示してほしい。ささやかな増額でも病院医療を励ますメッセージさえ伝われば、燃えつきる直前の勤務医も踏みとどまることができるのです」
(おわり)
(この連載は、小出重幸、鈴木敦秋、岩永直子が担当しました)
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いろいろ言いたい事は多いのですが、
まず、医師が行っている雑用を減らし
本来医師が行うべき医療業務のみに
集中させる。
これは、医療費を大きくかけなくても
他のノンライセンスの職員に
お願いできることですので
コストパフォーマンスも大きいはずです。
>大木教授が卒後7年目の医師の待遇を両病院で比較したところ、大きな差があった。
>ア大では、個室と専属秘書がつき、当直もない。「腕に差はない」(大木教授)のに、なぜこれほど違うのか。
卒後7年目といえば
日本の医師では通常30歳前後。
(医学部6年卒業時、現役で24歳。
7年目では31歳)
日本では多くの院長にすら、
専属秘書がついていないというのに。
でも、専属秘書と個室というのは
単純にステイタスではなく、
「医師が医師としての能力を
最大限発揮するための設備」
と捉えているのでしょう。
彼らアメリカの医師は
自分では
手術記録や読影結果すら書きません。
電話をして、
そこに手術記録や
画像の記録を
ドンドン吹き込むのです。
数日後、
タイプ起こしをした原稿が
机の上に乗せられます。
内容を確認して
サインして終了。
日本では
役所の保身のために
大量の書類を医師自身が
作成しなくてはなりません。
「こういうシステムにして書類を書かせています。
なので、問題は無いはずです」
そう言う書類の山です。
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日本では、病院が新しくなるたびに
医師のための設備がどんどんなくなっていきます。
以前は医長、部長にあった個室もなくなり
当直室もドンドン小さくなり、
最新型の病院では、
まるで当直室は「ベットだけの部屋」です。
トイレもシャワーも共用で個室にはなく
TVも冷蔵庫もない、
「単なるベット部屋」。
こんな当直室が医局に
5個も10個もあるのです。
ようは、
二次、三次救急をやるから
多くの先生に泊まって働け、
という事です。
医師を使い捨てにしている、
そう、時々思います。
いまだに戦争のときと同じ発想ですね。
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そして、
開業は
「逃げる場所ではありません」。
厚労省が、
24時間
がんじがらめにする制度を
着々と作っています。
労働基準法が適応されない
「個人事業主」。
その制度を
政府が逆手にとって、
過重労働をかける、
というのです。