今、医師が発している言葉は


「社会」と「住民」への痛烈な批判が


多く含まれています。





これだけ医療が疲弊し、


大量の患者さんが時間外にコンビニ受診し、


救急車は行き場所がなく、


病院はそれだけ働いても赤字でつぶれていく。





「何考えているんだ、お前ら!!」






という感じでしょうか。





医師の意見の多くは、


かなり理性的に論理的ではあります。


一般の方は、感情的に反論しますが


医師の理論の前に沈黙していきます。







でも、この手法は危険をはらんでいるような


気がします。


少なくとも、医師の反論を聞いて、その後


医師の賛同者になる確率が低い気がします。






いま、我々が必要なのは


「味方」


なのじゃないでしょうか?










しかし、


このままでは


医師は孤立したまま


イメージ改革を出来ずに


孤立して、


医療崩壊の悪役のまま、


ひとつひとつつぶされていく気がします。







ここで一冊の本を紹介したいと思います。




「これはモラルの問題であると信じている」


と本書の最後に書いたアル・ゴア氏。



アル・ゴア, 枝廣 淳子
不都合な真実








アル・ゴア氏は


「地球環境問題」



「不都合な真実」


と置き換えています。







内容自体は、


以前から警告されていたことです。




いわば、一般の人たちに


「このままじゃダメなんですよ」


とずっと言われてきたことです。







で、


「地球環境問題」の敵は誰でしょう?






今までは敵は


「市民全員」だったり


「企業」だったり


「特定の国家」だったり


していたわけです。







アル・ゴア氏は


敵をうまく作り出しています。


その敵とは


「モラル」です。







あくまで、


「一般市民の無知のせいでこうなっています」


とは言いません。


「一般市民の理解が足りない」


と理解を求めたりしません。









「読んでいる読者、あなたが悪い」


そのように読者自身を敵に回したりしてません。










この場合の敵は、


「心の中のモラル」


なんです。



-------------------------------




われわれに置き換えてみましょう。





明らかに理はこちらにある。





しかし、あまりに多くの人が


意図的に、あるいは無意識に


日本医療をつぶそうとしています。






医師は患者さんを敵にしてはいけません。







なぜ?


それは、患者さんこそ


私たちが本当に一緒に苦楽を共にするべき


相手だからです。





そしたら、我々医師の敵は誰でしょう?








国民と一緒に歩いていくとしたら


最終的には


国の政策を変えなくてはいけません。





抵抗勢力は、


国、厚生労働省


経団連


保険会社


健保連


連合


日本経団連


中医協

規制改革民間開放推進会議







しかし、国民の賛同を得ようとしたら


やはり


訴えるべきは


個別の敵ではなく、


「個人のモラル」


になるのではないでしょうか?








個人の人格攻撃は、


たとえ理論で言い負かせることが出来たとしても、


医療側の敵を作るばかりです。







敵は


「個人ではなく、おのおのの心の中にある医療モラル」




限られた医療資源を


どのようにつかうか。






例えば、

それこそ言いがかりに近いことで


大量に医療訴訟に走る現状を


一般の多くの人が


「恥ずかしく、とても容認できない行為」


と感じることができたら。






たとえば、刑事事件で、

高度な医療のトラブルで


安易に医師が逮捕され起訴されることに


多くの市民が


「医療システムを壊す、国の狂った行為」


と思うことが出来たら。












時代は流れていきています。


いまも時代は動いているのです。

昨日、出来なかったことが


今日は出来るかもしれません。













医師にとっても、決して自由診療が


救いの天使ではありません。




自由診療は


保険会社の悪魔のささやきにしか


私は聞こえません。









そして、


世界最高水準の医療を提供しているのにもかかわらず、


国民からあふれてくる怨嗟の声は


医療関係者にとって、


最大の屈辱です。








この、「現実」と「世評」のねじれが、


最大のバネになる方法はないでしょうか?













「皆さんが思っているよりずっと


医療機関は大変なんです。


最高の水準を提供しています。


問題は、個人ではなく、


実はモラルなんです…。」







意識レヴェルの高い人ほど


環境問題同様、


医療問題に関心がある。



そんな状況になると


とても大きな前進があるような気がします。




たとえば、デュカプリオ君が


環境保護論者になって、車のCMに出るぐらい


有名な俳優さんが、


医療問題を自らの問題として語ってくれるとか。





そんな時代が着て欲しいのです。












日本にも医療関係のNGOが多くでき、


政府の医療に関する活動にメスが入り、


不適切な企業の活動にクレームがつく。



そんな時代は来ないでしょうか?







なぜなら、


お金も、専門知識を持つ人も、


施設も、技術も、時間も、


すべて有限だからです。






でも、人は一人一人、


その中で生きていかなくてはいけません。




Receive and Share


受け取り、分け与える。



医療は、とくに人間としての豊かさを


求めるときに


なくてはならないものです。






いかに、一人間として


幸せになるか。


どうやって医療を受け取り、


そして分け与えることが出来るか。







アル・ゴア氏のように、


医療についても


そんな話し方をする人が


出てきて欲しいものです。



-------------------------------

当ブログ記事


「ポケット解説 崩壊する日本の医療」 鈴木 厚

http://ameblo.jp/med/entry-10026082291.html


読んでみてください。


得ることが多いと思います。


以下引用

-------------------------------

我々の敵は一体誰なのか?




8-3で出てくる


健保連、連合、日本経団連さらには中医協


8-4の

規制改革民間開放推進会議


8-5の


保険会社

(「国民の苦しみは、保険会社の喜び」とは名言だとおもいません?)


が、何をかんがえているのか


どのように国民と医療関係者を


利用しようとしているのか


考えないといけないでしょう。











-------------------------------