本日、サービスデー/朱川湊人
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ナンシー関さんや西原理恵子さんが「若くて綺麗な女は書きにくい」
と言ってたけど(ナンシーさんは“彫る”か)、よくわかる。
あんまり非の打ち所がないと特徴が捉えずらいんだよね。
この短篇集「本日、サービスデー」はまさにそんな感じ。
普通、怖くないって怪談にとっては致命傷なんだけど、
朱川さんの紡ぐ物語には、それを凌駕する面白さがあるんだよね。
収録作品中『東京しあわせクラブ』のみ
『フクロウ男』(※)の後日譚的な
ちょっとブラックなストーリーだけど、
他はすべて“いい話”で(『気合入門』は怪談ですらない)
下手したらベタで退屈な話になりがちなお話なんだけど、
実にお見事なひねり技が効いてて上手い。
上手すぎて評する言葉が見つかりません。
ハードなミステリーや怪談が好きな向き(私か!)には
ちょっと物足りないかもしれないけど
最近いいことないなぁ~と落ち込んでる人にはいいかもしれない。
以前当ブログで紹介した
平野洋子さんの鬱病闘病記「梅一夜*冬ほたる」でも
触れられてるんだけれど、鬱病の時って集中力が低下するので、
細かい文字や複雑な構成の本が読めなくなるらしい。
もしかすると、そんな人々の為に書かれた物語なのかも。
※『フクロウ男』=朱川湊人さんのデビュー作。
『都市伝説セピア(文春文庫)』所収
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都市伝説セピア (文春文庫)/朱川 湊人
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