ロスに来て、私の生活は忙しくなった。
英語の勉強とメイクの勉強と
新しい友達。
時間が経つのがとても早くて
あっという間に時は過ぎて行った。
私は1人ではなかった。
リダが・・・
いつも側に居てくれた。
リダのお父様は、
アメリカでショットバーの店舗をいくつも持つ
有名なオーナーだった。
ロスに行く話をした時
リダがこう言った。
「父がロスにいるんです。僕に来いと言っています。
僕も行こうかと・・・
一緒に行っても、いいですか?
でも、僕があいつの友人で
思い出してしまうなら、僕は行きません」
「ううん、リダは・・・リダよ」
ロスで、私たちはいつも一緒に居た。
お互いの家にも行き来をし
休日は一緒に出かけたりもした。
リダと出かけるのは楽しかった。
私たちは、なんでも話した。
でも、リダは、私のうちに来ても
必ず帰る。
私がリダのうちに遊びに行っても
家まで送ってくれる。
それも1年が過ぎて
周りも私たちを恋人同士だと思ってるし
私も、それでもいいんじゃないかな・・・て
なんとなく、なんとなく思い始めていた。
ある日、そういう雰囲気になった時、
それでもリダは何もしないので
私は聞いてみた。
「どうして私たち、友達のままなの?」
「だって、ミイ、君の中のには・・・
まだいるでしょ?
まだゼロになっていないでしょ・・・?」
そう、そうね。でもね、リダ、
それをあなたが消してくれるんじゃないかと
思っているの。
それは、いけないことなのかな。
また私の、わがままなのかな。
「それに・・・」
「それに?」
「・・・ううん、何でも無い。
僕はのんびり屋だから」
きっとリダは、
私の気持ちを最優先してくれているんだわ。
この人はいつもそう。
そういう人。
めぐさんとは定期的に連絡を取っていた。
事務所の様子と、今流行っているメイクの話。
でも、この日のメールは違っていた。
『この写真、ミニーちゃんじゃない!?』
送られて来た記事と写真は
ジュンスくんの恋愛ゴシップだった。
東方神起のシア・ジュンスが熱愛!?
お相手はヘアメイクアシスタントのMさん。
ミニーちゃんだわ!
ジュンスくんと付き合っているの!?
私は驚いて、このことをリダに話した。
リダは知っていた。
そして話してくれた。
あの・・・、あの日の後、
ジュンスくんがミニーちゃんに
彼女の中を僕で一杯にするんだ
と言って、毎日たくさんメールを送ったそうだ。
それからしばらくして
2人はお付き合いを始めた。
でもやっぱり堂々と外には出られなくて
彼女を悲しませてるって・・・
ジュンスくんはパパラッチ覚悟で
僕が彼女を守るから
そう言って2人で堂々とデートをした、と。
驚いた・・・・・
ジュンスくんって、そんな男気のある人だったんだ。
そしてきっとミニーちゃんも強い心を持っているのね。
私には、その心がなかったんだわ・・・
良かった・・・
ミニーちゃん、良かった・・・
今はもう、そう思える・・・
ロスでも、彼らの、東方神起の話は時々あがる。
それは私とリダがアジア人だから
話してくる人が多いのだけど
私は、あまり彼らの情報を見ないように
聞かないようにしていた。
もうすぐ2年。
私とリダの関係は、少し変わった。
だけどやっぱり
友達以上、恋人未満のままだった。
メイクの勉強も、そろそろ終了。
日本に戻るか、このまま残るか
私は迷っていた。
ある事務所から
こちらで仕事をしないか
と誘われていた。
でも日本で、めぐさんが待ってくれている。
私はリダに相談しようと思って
いつものカフェで待ち合わせをした。
気持ちがいいから外の席に座ろう。
「ミイっちゃさん?」
え? 私?
こっちで私をミイっちゃって呼ぶ人なんて
「マユタさん!?」
「きゃ~お久しぶりです~!!」
「どうしてここにいるの!!髪の毛金髪~!!」
「祖母がこっちにいるんです」
マユタさんとは時々メールのやり取りをしていた。
ロスでの再会が嬉しくって
私たちのお喋りは止まらなかった。
「そう言えば、ミイっちゃさんはなんでロスに?」
「メイクの勉強に来ているの」
「あ・・・メイクアップアーティストさん?」
「うーん、一応・・・」
「ミイっちゃさん、もしかして・・・
ユキのお姉さんですか!?」
「え?・・・どうして?」
「ユキが、自慢の姉でメイクの仕事をしているって
インタビューで答えていた事があって
家族写真も載ってたんですよ!
似てるなーって思ってたんです!」
ユキってば・・・・。
「うん、そうなの」
「やっぱり! それと、もしかして、あの、東方神起の
tender lover のヘアメイクMIEって
ミイっちゃさん?」
「あ・・・はい」
「うわー、うわー、そうだったんですね!
そっか、そっか、
・・・うん、そうなんですね」
「・・・・・?」
「ミイっちゃさん、ユチョンと会ってますか?」
「・・・・・・・」
「あ、ごめんなさい、私ミーハーな気持ちじゃなくって
その・・・、えっと、あの、私・・・」
「マユタさん、話して・・・」
「あの、ユチョンってね、左手にユファンから貰った
ブレスレットをいつも着けているでしょ。
それと同じように、左の小指に同じピンキーリングを
ずっと着けていたんです。
それがね、2年くらい前に、サイズを直して
薬指に着けているんですよ、左の。
それがすごく噂になってて
韓国では深い意味はないから相手は
日本人じゃないかって・・・」
「ミイっちゃさん、あなたの右手の薬指にある指輪と
同じ指輪です」
「ユチョンね、最近まーったく女性の噂が無いんですよ。
それもファンの間ではいろんな説が出てますけど・・・」
「ミイっちゃさん、あのとき泣いたでしょ?
ずっとずっと、気になっていたんです。
私、今のユチョン、大好きです」
「私、そろそろ行かないと・・・。
勝手にぺらぺらごめんなさい。
会えて嬉しかったです」
「私も、嬉しかったわ」
マユタさんの言いたい事、わかっている。
そう、私たちは恋人だったの。
でもそれは、過去の事なの。
だけど・・・
今の、ユチョナ・・・?
「おーい、ミイ?」
「あ、リダ・・・」
「今の誰? 知り合い?」
「うん・・・」
その日の夜、マユタさんからメールが来た。
『ミイっちゃさん、素直になってもよさそうだ!!』
素直になるって・・・・・
今の私、なにが素直なんだろう・・・
写真はお借りしました。
ありがとうございます。