「ユチョン、起きて、起きて」
「ん・・・今何時・・・」
「10時」
「え!嘘!
・・・・なんだよ~まだ7時前じゃんかあ・・・」
「起きたな。ちょっと、来て」
ジェジュンに無理矢理起こされて居間に行くと
2人分の朝食が用意されていた。
「コーヒー、飲むか?」
「あ・・うん・・・」
ジェジュンは何かを話したいとき、
よくこの手を使う。
ということは、僕に話があるってことだな。
「まず、食べよう」
オムレツ・・・美味しい・・・。
何だろう・・・
昨日、もう、話したよな。
今日の夜の段取りか?
わざわざ?
何で沈黙・・・?
「ねえ・・・なに?」
「うん」
何だよ何だよ?
早く言ってくれよ、気になるだろう。
「おまえ、昨日、帰ってきてからのこと覚えてる?」
「・・・・・あんまり・・・覚えてない・・・」
「そうか」
そうだ・・・。
タクシーで帰ってきて、ジュンスが寝ていて
ユノとチャンミン・・・
チャンミンが・・・、誰かと電話してた・・・
「あのな、おまえチャンミンに絡んだんだよ。
チャンミンな、俺たちが帰ってきたとき電話してたんだ。
誰とだか覚えてるか?」
「いや・・・」
覚えていないけど、ジェジュンの言い方で相手がわかった。
「おまえがチャンミンに誰と電話してるんだって
しつこく聞いて、ユノがミイっちゃだよって言ったら
おまえ、電話取り上げて切ったんだよ。
その後・・・」
「その後・・・?」
「チャンミンの襟首掴んで、殴った」
「え、殴った!僕が?」
「うーん、まあ正確に言うと、殴ろうとしたら
チャンミンがかわして、おまえ倒れ込んで
そのまま寝ちゃったんだけどね・・・・」
「殴っては、いない?」
「まあな。すっげかっこ悪かったよ」
「あとで謝っとけよな。それと、みんなが起きてきたら、
今日の夜話すことを、ちゃんと言ってくれ」
「わかった」
「シャワー浴びてくるわ。
・・・あ、それから
ミイっちゃには、俺が電話を切ったことにしてあるから。
朝一でお詫びのメールしてある。
だから、何も聞くなよ。
まずは、メンバーに話すことが先だから」
「ジェジュン」
「ありがとう、すまない」
「チャンミンに言え」
僕は、なんてことをしたんだろう。
チャンミンに殴り掛かった?
あいつを、殴ろうとしたなんて・・・・。
でも、殴っていなくて良かった。
かっこ悪くて良かったよ・・・。
ミイと話していた。
どっちから電話したんだろう・・・。
いや、考えるのは止めておこう。
チャンミンが起きてきた。
僕は、すぐに謝った。
チャンミンは
「酔っていたから仕方がない。怒っていないから
今日はちゃんと仕事をしよう」
と言ってくれた。
恥ずかしい。僕、情けない。
なんだかこの男に敵わない気がする・・・
少なくとも、今は。
それからジュンスとユノが起きてきて
僕は、今日の夜に話したいことがあるので
聞いて欲しい
と言った。
スタジオに着くと
「ユチョンくん、おはよう」
と、いつものミイが笑顔を向けた。
昨日、ちょっと様子が変だったから
心配していたけど、大丈夫みたいだな。
「ミイさーん、ユチョンさーん、おはようございます!
ミイさん、昨日は休んですいませんでした」
「大丈夫なの?無理していない?」
「はい!あの、お詫びに、これ焼いてきました」
「わあ~クッキー??手作り~!
すごーい美味しそう~」
「お、いいにおいですねえ」
「みなさんもどうぞ!」
何だ・・・?
何で普通に、いや、普通以上に明るいんだ?
女の立ち直りってほんとわかんねえな。
「彼女、可愛くなったなあ。アドレス聞いてこよっかな~」
は? ジュンス? 突然どうした?
「ジュンス、あいつは止めとけ」
「何で?・・・あ~もしかして今日の話って
ミニーちゃんのこと~?」
「違います」
違うんだよジュンス。
あいつはお前にはふさわしくないよ。
なんて、言えないよな・・・・。
撮影はいつも通り、スムーズに進んで行った。
チャンミンも、僕に普通に話しかけて来る。
僕も、普通に、今まで通りに振る舞った。
休憩時間、ミイからメールが来た。
『おくじょうにいます。30分まってる』
僕はすぐに向かった。
「ミイ、どうしたの?ここあついよ」
「ごめんね、ここしか無くって。
今日、みんなに話すんでしょ?
だから・・・・その・・・・」
「?」
「ユチョナ,タンシヌル サランハゴ イッスムニダ.
ファイティン・・・・」
「かんこくごだ」
「うん・・・・」
ミイは、いつもより深いキスをしてきた。
だから、僕もお返しに、深く、深くキスをした。
「眩しい」
「めをあけるからだよ」
僕たちは、ちゃんと愛し合っている。
撮影が終わり、久しぶりに5人一緒に宿舎に戻った。
居間に集まってもらい、
僕は
話し始めた。
「僕は、ミイっちゃと付き合っています」
「え! 何それ!? え? まじで!?」
「ジュンス、静かにしろ」
「彼女の仕事とか、話とか、
見たり聞いたりしているうちに、
どんどん好きになってしまって、
僕なりに結構アプローチしたんだけど、
最初は思いっきり嫌われてたよ。
でも、めげずに・・・
彼女が韓国に来て、日本に帰る時に
メールを送ったんだ。
そしたら、ソウルに戻ってきて」
「何それ、聞いてないよ!」
「ジュンス、聞こうよ」
「それで、告白をして、彼女も僕のことを
好きだって言ってくれて
その、付き合うようになったんです」
「みんなは、知っていたの?」
「なんとなく気づいただけだよ」
「そっか・・・・よかったね、ユチョン。
僕はいいと思うよ。
ミイっちゃは、いいと思うよ」
「なんで・・・・
なんでこの前聞いた時、嘘をついたの?」
「その・・・言いにくかったのと
全員にちゃんと話たかったんだよ」
「僕をばかにしていたの?」
「チャンミン、やめろ」
「何? 今度は何?」
「いや、ちゃんと話した方がいい」
「いいよ、チャンミン、話して」
「僕も、僕もミイっちゃのことが好きです。
たぶん、ユチョンと同じ頃から。
僕はいつも慎重すぎて、気持ちを伝える前に
他の人に奪われてしまう。
そんな恋はもうしたくない。
だから、ミイっちゃに告白しました。
このことでメンバーに迷惑をかけるつもりはないです。
仕事にも支障を起こすつもりはありません。
ミイっちゃがユチョンと付き合ってると聞いて
気づいてたけど、引き裂くつもりはないけど
僕が砕け散るだろうけど、
この気持ちを、貫かせてください」
「ユチョン、どうなの?お前次第だよ」
「・・・・・わかった」
「ほんとにいいのか?」
「ジェジュン、好きにさせよう。
その代わり、仕事に影響したらその時点で決着をつけてくれ。
それと、5人の関係を崩すようなことは
絶対にしないでくれ。
それで、いいかな?」
「はい」
「はい」
「よーし。じゃあ今日は解散!」
「解散って言ったって同じ家だよ」
「そうだったの~」
「うわ~なんでユノが持ってくー!
僕がぜーんぶお膳立てしたのにー」
「リーダーだからでしょ?」
なんだよ、ユノも知ってたんだ。
チャンミンにも気づかれて、僕ってわかりやすいのかな。
ジェジュン感謝してます。
ジュンス・・・は、まあよろしくお願いします。
メンバーにちゃんと言えてよかった、
チャンミンとはこれからいろいろあるだろうけど
ちょっと、頑張ってみようと思う。
恋に障害はつきものだってね。
僕は、この恋の障害が
とても大きくなってしまうことに
まだ気づいていなかった。
写真はお借りしました。
ありがとうございます。