こんばんは

 やはり雪になりましたね。 横浜。 18歳まで雪の中で暮らしたとはいえ

 雪への郷愁はなし。 むしろ 雪は「おんぶおばけ」 みたいな存在。

 さっさとあっちへいきなよ!と心の中でどなりちらす。



 こんな日はじっくり、言葉の生い立ちを調べたりすると雪への恨みが

 消えるだろう。 ちょうどアマゾンから待ちに待った寺澤 芳雄

 英語語源辞典 も届いたことだし。 これは自分への新年のプレゼント。 

 だって値が張ったから。 



 ずっと気になっていた ”spick-and-span" 。 英語の会話の本

 などによく出てくる”spotless clean -ピカピカ” という単語である。

 そしてこのぴかぴかの意味のSpick-and-Spanがアメリカを代表

 する洗剤の商標になっている理由を考える。 



 私がこの単語を初めて調べたのは[リーダーズ英語辞典だった。

 そこではこの単語は 「スラングでプエルトリコ人と黒人の二人連れ」

 と説明している。 spic, spick, spik は「英語が話せるか?」 と

 聞かれて ”No spik(speak) English" と答えた移住者の英語の

 なまりを反映している。 ちなみに他の 辞書は一様に 「形容詞、 

 きれいな」 となっていた。



 リーダーズ英語辞典で言う 新しくアメリカに入ってきたプエルト

 リコ人と黒人の二人連れから洗剤の名前まで出世したいきさつ

 について自分の中でどうしても仮説を立照る必要に迫られた。



 アメリカの社会構造の中で下層とされる黒人とプエルトリコ人の仕事

 探しで、もしありつけるとしたら最も多いのはjanitor と呼ばれる掃除夫

 ではなかっただろうか。 時給が安くても失業するよりはましと思って

 一生懸命働く。 その結果いい加減に仕事をこなす人々よりもずっと

 きれいに仕上がる。 あの人たちに頼んだほうがきれいになると信用を

 得る。 その結果この二人連れは 「仕上がりきれいなぴかぴか状態の」

 という形容詞になる。 その形容詞が巷にいきわたりやがて商品名とな

 った。 これが私の仮説である。 



 洗剤の 「Spic-and-Span」 は19330年ミシガン州サジノーの主婦によ

 って発明され、命名に関しては「きれいな」の意味のスラングである

 ”spic-and-span" からとったとされる。 この製品はプロクター&

 ギャンブル社で生産され、昼メロのスポンサーをして主婦層にマーケット

 を広げた。 2001年にシャンズビーグループの手に移り、2004年から

 はGTCR ゴールドナー・ローアー社で生産されている。



 今日再び同じくリーダーズのspic-and-span の説明を見る。 黒人とプ

 エルトリコ人の二人連れのほかに [形容詞、きれいな; 真新しい、 <衣

 服が>仕立て下ろしの、16世紀にspic and span new あり。 古代ノル

 ウエー語にもspann (新しい)がある。



 え? なに? これって結構古いの? 

 そして今日到着した語源辞典によるとなんと1665年イギリスの海軍大

 臣のサムエル・ピープスの日記に真新しいという意味の形容詞ででspick

  and span new が使われているという。



 がーん!! 私の仮説はもろくも崩れた。 でもでもでもーーー

 アメリカの社会の下積みで生きるプエルトリコ人と黒人が掃除夫として

 がんばったのが商品名になったとどうしても考えたいんだけどーーー



 場合によっては私の仮説のほうがミシガン州の主婦が命名するとき

 に考えた内容じゃなかったかしら??? ほのかな期待。

 そしてもともとのspic-and-spanとは別に、アメリカバージョンの語源

 が動き出し、私の解釈が正解となる??

 雪の日の言葉探検びでした。



 ではおやすみなさい 


 うちのベランダ、すっかり雪に覆われています。