手が冷たくてさぁ。
とても暖かくてさ。
ちいちゃいころ、両親と一緒にスキーに行って、指先が寒いからって、手袋を外したら、手がひえちゃってね。
母親が手を包み込んで、温めてくれた。
自分のスキー板の後ろにあたしを載せて、脇にあたしの手を挟み、暖めながら上から降りた。
今でもぼんやりと思い出す。
あたし、4歳くらいだったかな。
今は色んな人の手を暖めるあたしの仕事。
でも暖めているはずが、自分の心が温まっていることにハッとする。
包み込んだ時は冷たい手も、あたしの手の温度で温まる。
そうすると、相手の表情がゆるんでくる。
そんな時、あたしはこの人を温めてあげることができた。
こんな表情を見せてもらえた。
そう思うのです。
どんな仕事でもそうですが、人のために何か出来た。
そんな自信は、何者にも代え難いわけです。
あたしは、仕事で自分を癒していた。
仕事で、、、というか、、、しているつもりが、させてもらっていたこと。
ハッと気がつくのは、遅いかもしれないけど。
でも、そんな手の温もりが、伝わり相手からの温もりをもらった瞬間だった。