海況



波高2m   気温25℃   中潮   風速7m   水深6~12m


釣り座 左舷ミヨシ (総勢14名)



釣果  54枚 (頭54枚)



ロッド 極鋭カワハギ・レッドチューン・レンジ   リール エアド・レッドチューン100R


ライン SUNLINE Super BRAID5 0、6号   リーダー シーガー・グランドマックスFX5号


仕掛け 幹糸4号 スピードサルカン×3   フック ダイワ パワーワイドフック4、5号


オモリ 丸型25号 (ゴールド・レッド)  エサ 冷凍アサリ   添加剤 マルキューカワハギ職人





考察




予定通り長井へ、今年初のカワハギ釣り。


自宅の鶴見から首都高で本牧まで来た時、急に空が昼間の様に明るくなった。


まだ脳の全てが働いていないのか、工場の煙突から出る炎だろ、などと気にも留めなかったが、


間もなく磯子に差し掛かった時に、目の前に稲妻が走りやっと事を理解した。


凄まじい数の雷を目の当たりにし、このままじゃマズイと本気で出船を危ぶんだ。


宿に到着しても雷鳴は轟き続け、海側と山側両方で見られる事からいよいよ覚悟を決める。



一応座席はキープ、長く苦手にしていたが最近ではフェイバリットと言っても過言では無くなった、


左舷のミヨシを確保、やはり一安心、早起きの甲斐があるってなもんだ。



雷は若干回数が減ったが、光り続けている中、隣のCS丸が何事も無い様に準備をしている。


出られるのか?と、希望の光が見えて来た、気がした。


間もなく東の空が明るくなってきたと思ったらCS丸はいつも通り出船して行き、確信に。



完全に夜が明けると雷は消失、やってきた船長に確認するとモウマンタイとの事、良かった。


続々とやって来るアングラー達、2隻満員間違い無しかと思ったが、


約20人と1隻でも可能な人数に落ち着いてしまったのは意外であった。



前回のイカが5時出船だったので、カワハギの7時出船というのは非常に遅く感じ、


自分を含めイカの常連さんは時間を持て余してしまっている。


やっと船が接岸されたのでいそいそと向かう。



準備をしていると、どうやら船長の長男K君が乗って行くとの事。


イカ専門宿のイカ船長の息子にしてイカ釣りは嫌いでカワハギ釣りのみ大好き、


という不届きなヤツで(笑)、ピアスに赤髪と見た目も今風の若者そのものだが、


自分の知る限りは礼儀正しく、面白い好青年、と、いう事にしておこう。



そういえばロッドを買ったと船長から聞いていたので、


「竿買ったって聞いたけど、何買ったの?」と、尋ねると、


「極鋭です」、「エア?」、「はい、1343です」と、釣りをやらぬ者には暗号の様な会話。


最後に「使ってみてどう?」と、尋ねると、「良いと思います」、「どんな具合に?」、


「貸し竿より良いです」と、聞いて気を失いそうになった。


「当たり前だろ!」、「比べる相手がそれじゃ可哀想だよ」と、


聞いていた常連さんも思わずツッコんでしまう位の大ボケをかましてくれ、大笑いさせてもらった。



そうこうしているうちに出船時刻になり、いよいよ出港。


体感的にはものの3分、実際に計れば5分位なのかもしれないが、


早くもスローダウン、とにかく近い、まさに「ポイントは港前」ってやつだ。



「はいどうぞ、水深は8mです。 根がありますので、根掛かりに注意して下さい」


との指示が出て第一投、最初に自分のオモリが着いた地点はガリガリの根の中らしく、


ゴツゴツと危険な感触が伝わって来る。 だが、恐がってばかりでは魚も釣れないので、


細心の注意を払い岩肌ギリギリをトレース、しかし宙では全くアタリがない。


ならばと強気にオモリを海底へと送り込む。 岩、砂地、また岩、カジメも生えている様だ。



根魚釣りの基本にして最大の奥義、根歩きは過去に何度も修業したおかげで得意とする所。


終日このような荒い根の中をやったが、オモリロストは1つだけでクリア。


お隣さん、この状況でスピニングタックルでチョイ投げって・・


少なく見積もっても10回は根掛かっていましたけど、どうしても投げたいんですか?(笑)



ボトム狙いに切り替えて間もなく、根と根の間にオモリを置きゼロテンで待つと、


ガガガガっと、本命間違い無しの強烈なアタリ、ゆっくりとロッドをリフトしアワセると良い手応え。


これはデカイ、と、いきなりアドレナリン全開! 慎重にリーリングしていたのだが、


あっけなくバレてしまった・・ 今思い返してみてもこの日最大サイズだったと確実に言える。



がっかりしたが、すぐに手返し、一応3m上まで探ってみるようにしてみたが、


結局この日、宙では1度もアタリすら察知できず、全ての釣果がボトムであった。



ボトムを丁寧に探っているとすぐにアタリ、小型の本命をゲット。


前評判通り魚影は濃く、バタバタバタとアチコチで釣れまくっている。


釣り続ける→スレる→移動→釣れる、この繰り返しで順調にスコア追加。



船長によると昨日程ではないらしいが、充分良い状況だと思う。


水深6mから12mまでやったが、比較的浅場の方が数、型共に良かった気がする。


浅場で掛けると水面近くで横走りするので、ヒキも楽しめて最高に楽しい。


 

そんなこんなで夢中で没頭していたのだが、気付いたら空が暗くなりポツポツと雨も降って来た。


予報では雨なんて全く降る気配すら出ておらず、暑さ対策だけをしてきたのだが。


まぁ、この程度なら問題無いと続行していたが、しばらく経つと雨足が強まり、雷まで鳴り始めた。



「雨雲の動きがヤバいです、今のうちに備えておいた方がいいですよ」と、アナウンス。


しかし自分を含め皆さん雨など全く考えていなかった様で、レインを持っている人は2、3人のみ。


まいった、いつも絶対にレインは携帯している自分なのに、今日は完全に忘れた。


「皆さん車に戻ればあるのなら一旦港へ戻りますけど?」と、言ってくれたのだが、


誰も手を挙げるひとはおらず、自分は実は車にあったのだがそれも忘れていた。



雨はもうドシャ降りになり、全身ズブ濡れ、風がある事で一気に体温が奪われる。


寒さで手が震えエサのアサリを付けるのに一苦労、フックをハリス止めに入れる事も困難。


まさか連日猛暑が続く今の日本で、8月に凍えるとは・・


初めての体験だったのは勿論だが今更ながら自然の脅威を思い知らされた。



痩せの自分は暑さには強く、砂漠で遭難したら誰よりも長く生きているかもしれないが、


寒さには弱く、雪山で遭難したら真っ先にあの世へ行くだろう。



雷雨は強まる一方なので早上がりも覚悟、と、いうより期待したのだが、


「雷雲はすぐに通過するはずなので、一旦港に避難します」とのアナウンス。


勿論宿のある漆山港へ戻るのかと思ったら、一番近くの、漁協のある本港へと入った。



最悪だ、漆山港に戻ってくれればレイン取りに行けたのに。


ついてない時はトコトンついてない。 仕方ないのでキャビンに入って雨宿り。


風を凌げ、閉め切っていたため熱気が籠っており、これが冷え切った体に最高にありがたかった。



うつらうつらしながら待つ事約1時間、舫いが解かれ再出発。


しかしまだ雨は降り続いており、同じキャビンにいた人は「どうしようかな・・」と、


完全に戦意喪失しているし、自分も本当にキツかったが気力を振り絞り釣り座へ。



一瞬で氷の世界へ、また身体が震えだしエサが付けられない。


腕をグルグルと回したりして、なんとか身体を温める努力をして釣り再開。


しかし困った事にタタキなんか入れたくないのに、手がブルブルと震えてしまい、


穂先を静止出来ずアタリが取れない。 無理矢理に抑えつけているとアタリ到来、中型ゲット。



これで全くアタらない状況だったら折れていただろうが、釣れてくれるおかげで何とか気力を保てた。


連釣連釣、かなり良いペースで釣り続ける。 寒気は治まらなかったが残り時間もあと僅か、


最後までやり通すぞ、と、最後の気力を振り絞りラストスパート。


ここで船長から「通常は2時までですが、今日は2時30分までやって行きます」と、アナウンス・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・殺るならひと思いにやってくれ(笑)!



幸いにもラスト30分でようやく雨も上がり、気温も上がり震えは治まった。


こうなればこちらのもの、釣りまくるも、もはやクーラーボックスには入りきらず、全てリリース。


最後までやり通し、結果自己記録を大幅に更新する54枚で終了、大満足。





氷と飲料を抜いた状態ゆえ若干余裕に見えるが、キャパ一杯で34枚だけ持ち帰り。


分かり辛いが一枚残らずエラにナイフを入れ、血抜きを施してある。


おかげで帰宅後にサバいてみると、肝は真っ白、こうでなくちゃいかん。



さすがに時間が掛り、間に合わなかったのでMさん宅には明日持って行こう。


20枚と肝全部Mさんへ、自分は小型の14枚だけ食してみるつもりだ。



宿に帰ると自分を見るなり「Yさん、どうしたの?」と、若女将。


意味が判らず訳を尋ねると「顔が真っ白だよ」ときた。


見るとびっくり、死人の顔色そのもの・・ 自然を侮ってはいかんな、


「8月に低体温症で逝った歴史上初めての人物」に、ならなくて良かった。


いつも通りシラスを購入して帰路へ。



途中キャス○ィング・品○シーサ○ド店の新自分専属コンシェルジュ候補のITから電話があり、


「御予約」頂きました極鋭タチウオ・テンヤSPが入荷しましたとの事。


見てから決めると言っておいたはずだけど? いつの間に予約にされたんだ?


あまり商売っ気丸出しにしてやがると、その瞬間から見切るぞ。


取り敢えず月曜にでも「見に行く」と返答しておいた。



実は今日の満足度は、過去の全釣行中トップ3に入るものだ。


理由はやっと「気付けた」事、「自分で」辿りつけた事が何にも勝る喜びだ。


具体的に説明するのは時間が掛るので次回。





船宿   長井   MZ丸   SN船長