【第1話】武蔵野市民会館のマルクーセン・オルガン | blog.正雅堂

【第1話】武蔵野市民会館のマルクーセン・オルガン


武蔵野市民文化会館のマルクーセンオルガン

武蔵野市民文化会館のマルクーセン・オルガン



武蔵野市民文化会館のオルガンはデンマークのマルクーセン&ソン社製。 1984年11月に完成したこの楽器は、41ストップと小柄ながらも、ホールの規模から比較すれば、十分な楽器といえる。


この日の演奏者はフランス、サンドニ大聖堂のオルガニスト、ピエール・パンスマイユ氏。

そして、今回の曲目は、J.S.バッハ:前奏曲とフーガBWV552

フランク:前奏曲とフーガと変奏曲

メシアン:天井の宴


それに来場者から回収したアンケートを元に、選定した課題曲による即興演奏。

彼に与えられた課題曲は茨城民謡の「七つの子」。

10秒ほど考えた後、彼が旋律を引き始めると、爆笑の渦が起こる。

この曲を聴くと、ドリフのコントを思い出すのは私だけであろうか。 まさかオルガンで聴くとは思わなかった。


さて、私はといえば、彼の好意で最前列中央の座席を取ってくれ、そこに座る。

彼はフランスで最も尊敬するオルガニストで、学生の頃、なけなしの小遣いで購入した輸入版CDが彼の作品だった。 もっとも、使用している楽器が「サンドニ大聖堂」のオルガンということで、フランス史に関心を持っていた私は、オルガニスト主体ではなく、楽器主体で選んだのであるが。

 ただ、聴いてみると、その念は一気に払拭された。 そのCDはフランスの古い民謡を題材にした即興演奏なのであるが、今まで聴いたことの無いようなダイナミックな音色と、地に響き渡るような重低音。

習志野の文化ホールでかつて音楽の担任が弾いて聴かせてくれたバッハや、廉価版のオルガンCDで聴いたそれとはまるで楽器すら異なるような強烈な印象を私に与えたのである。以来、フランスのオルガン音楽にはまり込んでしまったのである。

 その影響で、始めてパリを訪れた私は、語学もろくにできないまま、一目散にサンドニ大聖堂管理事務所へ赴き、彼がこの教会で演奏するのはいつか、というようなことを聴いた覚えがある。

その熱意を理解した管理事務所のスタッフが、遠くニースに住む日本滞在経験のある友人に電話をかけ、電話通訳までしてくださったのだ。 そして正確に意思が伝わると、彼に引き合わせてくれる段取りをととのえてくれたのだ。 それが氏との出会いである。


終演後は私のオルガン仲間も多くお誘いし、彼を囲んでレセプションを開催。

散々飲み明かして、終電に駆け込んだ。