MOONな気持ち
「やーだー かわいい坊ちゃんねぇ」
「もちもちのほっぺねぇ 落っこちそう」
入院中の4歳児の顔を見て
成人女性患者さんがロビーで談笑している。
リスのように何かを入れたように
ぷう と膨れたほっぺた。
彼の自前のほっぺではない。
ステロイド錠の副作用
「満月様顔貌 ムーンフェイス」と呼ばれる症状。
もともと幼い顔立ちを
膨れた頬はさらに可愛さを際立たせている。
でも副作用はこれだけではない。
彼に現れているのは他に
多毛。
産毛が濃くなってきていている。
腕や、耳 うっすらと
思春期の男児の口ひげの様に次第に濃くなってきている。
彼自身もとてもつらいだろうことは
食欲の亢進。
食べたくて 食べたくて 食べたくて 仕方ないらしい。
口を開けば おやつのことが 一番気になるらしい。
「今日のおやつはなにかな~?」
何回も何回も質問します。
朝の10時です。
同じお薬を飲んでいた7歳の子は
他の患者さんの下膳したご飯を
盗み食いしていたと。
きっと だめだとわかっていながらも 押さえ切れない食欲に負け
こっそりと食べていたんだと思う。
だめだとわかっていたからこっそりと。
その子もつらかったに違いない。
この出来事には看護師・スタッフ一同 胸が痛んだ。
彼のほっぺたは
とても可愛いけど
同時に
とてもつらいんだと
彼を見て談笑する患者さんを見ながらぼんやり思う。
彼の病気が寛解しますように。
月に願えば 叶うでしょうか?
PS 今日は彼のことを考えしんみりしてしまいました。
混合病棟であることが本当に厭わしい。
忙しいし、煩雑だし
彼のような疾患の子であれば
単科でじっくりかかわっていければBESTなのにな・・・。
そんなことを思わずにいられない日でした。
ちょっと愚痴です。