みなさまこんにちは!松野時計店の野の方です。だいぶ時間が経ってしましたが、今年もツール・ド・フランスが開催されました。私の中では今年のツールは第4ステージで早々に終わってしまいましたけど(全21ステージ)。贔屓の選手が反則みたいな、どう見ても不可抗力としか思えない動作でさ、退場ってどうなよ。こっちは1年待ってたんだ!ってまあ相手もあるし、あんまりあれですけど、すっごく消化不良のツールでした。21中の4で終わり。見たけど。結局全部見たけど。ツールに興味の無いごくごく一般的な方には分からない話だと思いますけども、あれはない。ツール全体としてもきわどかったけど最終的に番狂わせもない。なんだよ。でもなぁ。時間の無駄ではなかったんだよなぁ。結局今年のツールも良かったY。逆に来年が楽しみになったという完全に中毒というのが判明しただけでした。ちなみに私はロードバイクは持ってません。豚です。

 

 

まあ豚でも気を取り直して、仕事です。今日は以前も一度紹介しましたブライトリング・ナビタイマー1stのオーバーホールです。

早速分解しました Cal.Venus178

 

初代ナビタイマーのダイアルにはブライトリングの文字はありません。その代わりAOPAというパイロット協会、だったか飛行士協会だったか(うろ覚えですみません)のマークが入っています。協会公式時計ってことですかね。製造年代としては60年代あたりでしょうから、飛行計器のような扱いだったのかも。かっこいいなぁ。ブライトリングはこうでなくてはいけません。リアルな計器、機器として存在していたというのはロマンがありますよね。ミリタリーでもそうですが、無骨な本物感がたまらんのですよ、男としては。キャリバーはビーナス社の手巻クロノグラフ178となります。

時刻機構は組立済み

 

状態としてはゼンマイ切れのため動きません。毎回毎回書いてますが、ビンテージクロノグラフのゼンマイは手に入りにくく、代用するとしても合うサイズが非常に少ないです。うちは何故だかビンテージクロノを修理する機会が多いので、使いそうなゼンマイは海外から取り寄せてストックしています。一番多いレマニア860はスピマスプロなので国内でも入手は簡単。前回紹介したバルジュー72は海外なら流通してますが、デイトナ使用なので結構高いです。今回のビーナスとランデロンは日本ではほぼ手に入らず、海外でも流通量が少ないです。・・・なるほど分かったぞ、だから修理するとこが少ないのか。弱小店なら隙間ですよ、隙間を狙って仕事ですよ。・・・書きながら思いつきで書いてます。すみません。

そうこうしている間に完成です

 

新旧様々なクロノグラフを修理していますが、やっぱり古い機械はいいなぁ。全部じゃないですけどね、全部じゃないですよ、そこ重要。でもだいたいはどっしり作ってあって、50年経ってもしっかり動くし、素材は固いし。新しいムーブメントが今後半世紀しっかりと持つかといわれると、どうなんでしょうか。なんでもそうですけど、古いものの方がしっかり作ってあったり、したりしてたりしてね、分かんないですけど。物を大事にするってやっぱり良いですね。

 

古い機械をじんわり味わいながらオーバーホール完了、予定です。これからランニングテストをして完成となります。こちらのブライトリング・ナビタイマーファーストはオーバーホールにゼンマイ交換をしまして30000円+税程度で完成予定です。ありがとうございます。

定番だけどビンテージクロノグラフ オメガ スピードマスター・プロ

 

今更ですがスピマスのプロは歴史があります。こちらのモデルは1stから数えて・・・4~5代目ぐらいですかね。全体的に機械式時計が値上がって、スピマス・プロも評価、価値ともに高くなった印象です。キャリバーはレマニアの860です。ビンテージクロノの中では圧倒的に玉数の多いモデルです。年代が新しくなっても構造がほぼ変わっていないというのも完成度の高さを物語っているのではないでしょうか。致命的な故障が少なく、頑丈ですが、この個体のように半世紀経ってくるとさすがに磨耗が出てはきますが。

分解しました

 

状態としては巻いて数分は動くけど、止まってしまうというもの。ぱっと見には分かりませんが、湿気が入って2番車(分針)の付くパーツ近辺がひどく汚れていました。ザバッと水が入ったわけではないので気づきにくいですが、徐々に湿気が入ると一部が錆びたり汚れを誘発して動かなくなります。他の部分に錆が出ていないのが救いで、全体が錆びると部品交換がかなり高くかかります。

組立てました

 

ツツカナ車という一般的にはなんのこっちゃ分からない歯車を交換しますが、材料店がお盆休みを長々とってくれてましたので、まだ入荷してません。一週間休みになっちゃうとかなりつらいです。うちも休もうかとも思いましたが、部品交換が無い場合もありますし、そもそも休んでもやることが無いし、それなら仕事してた方が・・・。日本人だなぁ、我ながら。そういう人って多いんじゃないですかね。一ヶ月バカンスあげるよっていわれても、なぁ、お金無いし。じゃあ休日出勤でお金あげるよってなったらホクホクなんだけど、自営だし。なんだぁ八方ふさがりじゃん。アハハ。

褐色のタキメーター

 

良いですよね。ブレスレットの伸びもいい感じです。裏ぶたには「ムーンに初めて行ったウォッチだよ!これはその記念のモデルさ!ハハハ!ジャースティース!!!」(ルー的超直訳)というようなニュアンスの刻印があります。ジャスティスかどうかは知りませんし、そもそも刻印にジャスティスの文字は入ってませんが、当時はワクワクしただろうと容易に想像できます。前出のブライトリングが飛行機なら、こっちはスペースシャトルですよ。素晴らしい。良い時代だなぁ。20世紀少年的時代か。

 

古き良き時代とはよく言いますが、実際は今の方が便利だし、隣の芝生だよなと思ってます。でも機械式時計の世界ではまさに古き良き時代のモデルです。だからこそ今でも再評価、というか価値あるものとして流通しています。私も微力中の微力ながら片棒を担がせて頂いております。そうね、片棒は担いでない。えーなんだ、あれだね、楽しませて頂いてます。やっぱり良いものは良いです、理屈抜きに。

 

こちらのオメガ・スピマス・プロはオーバーホールにゼンマイ・パッキン交換、ケース・ブレス研磨をいたしまして30000円+税で完成予定です。ありがとうございました。

 

 

毎日仕事があるのはありがたいです。私のような理想的日本人としては、忙しいぐらいが丁度良いのですよ。仕事が無いと不安になりますし。・・・THE日本人。

 

お電話でも、メールでももちろんお店でも修理のご用命は松野時計店へどうぞ!054-275-2778 まで!尊敬するとある時計ブログの真似をしてみました。アディオース!馬