御家人さんのblog<http://blog.goo.ne.jp/gokenin168 >を見ると、中国各地で反日運動が起こっていることがわかる。面白い傾向がある。

1.秦嶺淮河線(註)より北にある都市(6都市)

・遼寧省瀋陽市
・北京市
・天津市
・河北省石家荘市
・山東省済南市
・陝西省西安市

2.秦嶺淮河線より南にある都市(14都市)

・上海市
・江蘇省南京市
・浙江杭州市
・浙江省温州市
・江西省南昌市
・湖北省武漢市
・湖南省長沙市
・四川省成都市
・重慶市
・広西壮族自治区南寧市
・広東省広州市
・広東省東莞市
・深セン
・香港

香港を除いても、南方で北方の2倍多くデモが発生している。人口分布の重心が華中華南に寄っていることも背景の一つかもしれない。が、mattにはそれ以外にも思い当たることがある。

明代・清代史上、首都北京より離れたところほど、農民反乱が起こりやすい傾向があったことが分かっている。首都から離れているほど中央政府の目が行き届きにくい。政治的な活動をしやすいのだ。

この度の反日デモにも、どうやらその傾向が見て取れると考えている。(出発点では裏に共産党幹部がいただろうが)単純明快に官製デモというわけではなさそうだ。共産党による民衆への制御が効いていない部分があるのだろう。

(投稿後の4月20日に加筆) 御家人さんの4月20日の投稿に、

・浙江省寧波市
・福建省厦門市
・海南省珠海市

も記載されていた。これで「秦嶺淮河線より南」の計17都市で発生したことになる。

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註: 「秦嶺淮河線」とは、陝西省南部の秦嶺山脈と江蘇省・安徽省・河南省を貫く淮河とを結ぶ線。この線は年間降水量750mmの線とほぼ一致し、南の稲作地帯と北の麦作・粟作地帯との境界線である。この線より南は湿潤、北は乾燥する傾向がある。

シナの歴史を通観すると、北から騎馬民が侵入してきてもこの線より南に進出できない事例にしばしばぶちあたる。騎馬民(と馬)は高温多湿な気候が苦手だからだ。

こういったことを反映してか、この線より北か南かで文化的活動・経済活動のみならず政治的事象も大きく違うことがある。(もちろん言語も異なる)

もう一つ言っておくと、軍隊の配置も北と南で大きく違う。台湾に面した福建省は別だろうが、全般的には南は手薄だ。北は層が厚い。もちろん、1)政治的中心を守るため、2)地方の有力者に強力な軍事力を持たさないため(地方の部隊が割拠するのを防ぐため)、の2つが理由だろう。だから余計に南方でデモを起こしやすいというわけだ。