ミッキーマウス | やせ我慢という美学

やせ我慢という美学

夢はきっと叶う ひとつだけきっと叶う
そのために何もかも失ってかまわない
それほどまでの夢なら叶う
一生にひとつだけ
夢はきっと叶う 命も力も愛も
明日でさえも引き換えにして きっと叶う

夕方、来春から来る予定の支援学校生Y君の支援会議。近況報告が主たる狙い。

先月、修学旅行で東京方面に行った時の様子を担任教諭が報告してくれた。

東京ディズニーランドに行った時の話し。

イッツ・ア・スモール・ワールドというアトラクションに行った時、かなり待って、人込みで、暗くて、閉所で、異様な光と音で、いつ終わるかわからない見通しのなさにかなりイライラしてパニック。暴れて乗っている船から下りようとしたらしい。担任教諭の腕を噛み、「夢の国」にはあるまじき行為とは思いながら、船の上で厳しく叱ったという。そのアトラクションを出てきてすぐに数名でミッキーとの記念撮影をお願いした。気持ちよく応じてくれて横に来てくれたミッキーにY君、いきなり、かなりきつい蹴りを一発、見舞ったらしい。必死に取り押さえ、ミッキーに謝る担任に「オッケー」のポーズで気にする様子もなく顔色一つ変えることもなく(変わるのか?)写真に収まるミッキー。

しばらくしてその場を離れようとしたY君をミッキーが軽やかに駆け寄ってきてハグしたという。訳も分からずハグに応じたY君。その風景に感動したというまだ若い担任。

たったそれだけの話し。

 

ディズニーランド的なものには行ったことがないし、行こうとも思ったことがない。むしろ、胡散臭いと思い続けてきた。何をいい大人がうれしそうにそんな子どもだましみたいなところへ行くのか、とバカにしていた気持ちも多少はあった。

この話しを聞いてミッキーに会いに行きたいと思った。

ミッキーを演じていたのか、ミッキーならこうするとという思いで成り切っていたのか、ただ単にその中に入っている人の人格なのか、ミッキーという生き物が実際いるのか、そんなことを自分の目で見てきたいと思った今日。

蹴られたミッキーに「腹立つ」という感情はないのか?かぶりものの下の顔はどんな表情していたんだろう?

どっちでもいい。

プロフェッショナルってどういうものか、ステージで役になり切るってどういうものかを教えてもらったようなミッキーの態度。

ふり返ってわが身を思う。

ほとんど絶望に近いほど「素」でステージに立っている。

そんなステージを観客は見たいと思うだろうか。

 

★福知山まであと二週間。ステージに立つ絶対王者の渾身のパフォーマンスを観客は見に行く。それがどんな結果であろうとも一向に構わない・・・。