みなとみらいに勤務して、はや12年。
それは、ショッピングモール at! の変遷の目撃者でもある。
皆さん信じないかもしれないけど、最初は食料品売り場があったんですよ(笑)。惣菜弁当とか、ラーメンの麺の量り売りとか。チーズバーもあったなぁ。葉山牛が 100g 何千円で売ってた。天丼のイートインもあった。しかし、程なく撤退。
その後は成城石井が入店。しかし、程なく撤退。
その後はコムサが入店。しかし、こちらも先日撤退した。
「みなとみらい(MM)」って位置づけが難しい商圏だと思う。
基本的に平日はオフィスだ。MMオフィス勤務者は、ランチにしか金を落とさない。これは間違いない。
平日の観光客はゼロではないがかなり少ない。しかも純粋な観光客。例えば横浜市内の小学生の遠足とか、地方の中学生の修学旅行とか。平日の買い物客は余り多くはないだろう。
ただ、「子連れママさん達がみんなでちょっとお洒落なランチをしにくる」という姿が目立つ。MMには アンパンマンミュージアム や、ポケモンセンター があるという事情もあるが、MM の雰囲気がそうさせるということもあるだろう。そのようなママさんのベビーカーは、決まってマクラーレンである。
休日は一転、関東近隣の若い購買層が集まる。しかし、どこか手持ち無沙汰そうに見えるのも事実。店に入るわけではなく、天気がよければ外でブラブラしたい、という感じに思える。
そんな風に客層が複雑な上に、あのMM複合施設の「構造」がよくない。
まず、ランドマークプラザとの非連続性。回遊性が非常に悪い。
そして、Queens East と at! の連携の悪さ。吹き抜け空間の確保に腐心する余り、各ブロックのショッピングモールそれぞれは1階・2階部分だけでつながる構造になっており、相互のアクセスが非常に悪い。
そんなわけで、コムサの退去と同時に、at! の店舗も大量に入れ替わることになったらしい。
コムサ退店を知って、新規入店する店舗のコンセプトを、ずーっと考えていた。そして一つの結論にたどり着いた。
「30-40代の子連れ世代がちょっとお洒落して出かける空間」。
これしかないと思っていた。
まず、30-40代の世代が一番人口が多い。そして一番カネを使う。アンパンマンミュージアム や、ポケモンセンター という周辺環境があるのだから、その世代の子連れをターゲットにするのは妥当だろう。
そして、MM という「雰囲気」をブランド化する。ワイワイガヤガヤ大挙して押し寄せない雰囲気をつくる。つまり高級化する。子連れでもいける品のあるレストランでは、ランチを2500-3500円ぐらいの価格帯で提供。エリア内ショップはベビーカーでも入りやすいように配慮し、マクラーレンのベビーカーを買いそうな購買層向けのちょっとハイグレードな品揃えを行う。すでに成城石井がランドマークプラザに、Keyuca が Queens East内に出店しているから、これらとの相乗効果を狙う。ワインショップなんていいかもしれない。
きっとそんなコンセプトの店舗展開なんだろうと期待していたら、なんと。
■ みなとみらい21地区に若者の新スポット誕生 ■
「MINATOMIRAI(ミナトミライ) 109(イチマルキュー)」
4月17日(土)オープン決定!
http://www.tokyu-tmd.co.jp/press/tmd/backnumber/tmd_7sc100205.html
イチマルキュー? みなとみらいに? 何かの間違いでしょ?
と思って、プレスリリースをよく読んでみると、
「MINATOMIRAI 109」は、「SHIBUYA 109」で高い評価を得ている「109ブランド」をメインテナントとして導入します。ターゲットを若年層にシフトし、年々上昇傾向にある来館者層の若返りを図ります。
えっ? 若返り?
・・・そうですか。マーケットってそういうもんなんですか。
これまでのブランドイメージを壊してでも、新しいマーケットを創設しなければいけないもんなんですか。
H&M との相乗効果を狙ったのかなぁ?
今、109世代をみなとみらいに集客したとして、一時的なものなんじゃないの?
それとも、109世代が 今後もみなとみらいで継続的に購買してくれることを狙っているのかなぁ。
うーん。よぅわからん。
きっと、駆け出し診断士には分からない、109運営会社の深謀遠慮があるのでしょうなぁ・・・。
「お上のすることに間違いはございますまいから」 by 最後の一句 (森鴎外)
でも、成功・・・するかなぁ・・・?