ニュー・ビバリー・シネマと私 | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

(続きのLA映画編)

 

QTの新作

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、

以前書いた通りハリウッドで二回鑑賞しました。

 

で、もう一回、最終日に、今度はQTが所有する映画館

「ニュー・ビバリー・シネマ」で35MM版を

観るつもりで、チケットも購入済みだったが、

結局行けなかった(というのもロングビーチの大規模な

ホラーコンベンションに行くことにしたからです)。

 

ニュービバリーシネマは、現在は名画座ですが、

昔はポルノ映画館だったのです。

キャパ200程度で、前方には小さなステージもある

歴史を感じさせるこの劇場。

 

僕が初めてこの映画館に足を運んだのは、

『グラインドハウス』が公開された2007年の4月のこと。

 

駆け出しの映画ライターだった僕は、

「MOVIE」という今は亡き映画雑誌創刊号用に

マリリン・モンロー関連の取材をしつつ、

友人のヴィンチェンゾ・ナタリ夫妻と一緒に

北村龍平さんのおうちにお邪魔してディナーをご馳走になったり、

『グラインドハウス』を3回観たのでした。

 

一回はマンズチャイニーズシアターでの前夜祭で

満員のオーディエンスとともに。

あの絶叫と爆笑、喝采が渦巻くワイルドな

至上の映画体験は一生忘れない。

 

そのときちょうど、QTとロバート・ロドリゲスの

この二本立ての封切りに合わせ、ニュービバリーでは

「クエンティン・タランティーノ・プレゼンツ LAグラインドハウス映画祭」

を約二ヶ月に渡って開催中で、

僕は『The Girl from Starship Venus』と

『The Legend of the Wolf Woman』

のセクスプロイテーション映画二本立てを観ました。

 

 

場内に足を踏み入れると、ポルノ映画館時代の面影を感じる

ピンクのライティングが怪しげな映画館で、

これはまさに70年代のグラインドハウスの趣き・・・と

興奮したのですが、映画は官能的なSF映画で、なかなか楽しめました。

 

で、この数ヶ月後に日本で初めてQTに

インタビューをしたとき、このことを話したら、

「俺もその日、あの劇場にいたぞ」と言われたのでした。

うっ、思わぬニアミス。

 

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』での

メキシカンレストラン「El Coyote」のシーンで、

近くの映画館でポルノ映画のプレミアが開催されていますが、

この映画館がまさにニュー・ビバリー・シネマなのです。

 

El Coyoteは、ニュービバリーから歩いて数分の

人気メキシカンレストランで、店内に入ると

数々のセレブリティの写真がサイン入りで飾られています。

QTの写真も目立つ場所にあるので、すぐに目に入ってきます。

 

僕は『Once〜』はニュービバリーでは観られなかったのですが、

『女王陛下の007』のプリント版の上映があったので、これは観ました。

しかも、平日の日中なのにチケットはSOLD OUTでした。

 

とにかく、60年代末のハリウッドへのオマージュでありラヴレターである、

QTの新たなマスターピース『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を

ハリウッドで観られたのは非常に意義深く、本当に行って良かったです。

 

8月30日(金)公開!