性同一性障害:妻が人工授精で出産…6件、嫡出子と認めず

心と体の性が一致しない性同一性障害のために女性から男性に戸籍変更した夫と妻が、第三者の精子を使った人工授精でもうけた子について、法務省が非嫡出子として扱うよう求める見解を示していることが分かった。

障害による性別変更を認めた特例法の施行後、法務省が把握する同様の相談例は全国で6件に上る。

「生物学的に出産は不可能」との理由だが、「法の下の平等に反する」と反発の声も上がっている。

08年3月に女性から性別変更した兵庫県宍粟市の自営業の男性(27)は、実弟から精子の提供を受け妻が昨年11月に出産した。市に出生届を出したが、性別変更を理由に受理を保留され、子を非嫡出子として届け出るよう指示された。

男性は8日に嫡出子として改めて出生届を投かん。市が非嫡出子として手続きを進めた場合には、神戸家裁に不服申し立てするという。

市が法務省に判断を仰いだところ、「実子ではないことが明らかで、非嫡出子に書き改めるように」との回答があったという。

04年7月施行の特例法は、家裁の審判を受けることで戸籍の性別変更を可能にした。

法制度上の戸籍変更や婚姻は可能だが、法務省によると、子については「生物学上は同性同士で、子をもうけることは不可能」との考えから、出生届を受け付けた自治体からの問い合わせには、非嫡出子として受理するよう通知しているという。

法務省は「民法は非嫡出子と親が養子縁組を結んだ場合、嫡出子の身分を得ると定めており、養子縁組すれば身分上、相続などの差別を受けることはない」と説明している。

法務省によると、夫以外の提供精子を使う非配偶者間人工授精(AID)の場合、生来の男性と女性が届け出ても非嫡出子と判断される可能性がある。

実際には人工授精であるとの事実を自治体に届け出ることはなく、嫡出子として受理されているという。

男性は「同じ人工授精で生まれても、父親が生来の男性である場合は嫡出子と認められているのにおかしい。

国に男であることを否定されたようだ」と話している。【谷田朋美、石川淳一】

毎日新聞 2010110

性同一性障害:性別変更夫婦の子供問題改善へ 千葉法相が方針

性同一性障害のために戸籍を性別変更した夫婦が人工授精でもうけた子について、法務省が非嫡出子と判断している問題で、千葉景子法相は12日の閣議後会見で「このままでは問題。早急に改善に取り組みたい」と述べ、家族の救済も含めて対応を見直す方針を明らかにした。

運用で対応可能か、法整備が必要かの検討を省内に指示した。【石川淳一】

毎日新聞 2010113

前に書いたことがあるが、向井亜紀さんと高田延彦さん夫妻が、カリフォルニアで向井さんの卵子と高田さんの精子による人工授精で、代理母による出産で出生した子は、嫡出子の身分を得ることができなかった(最高裁の判断)

両親のDNAを受け継いで、生物学的にも純粋な嫡出子であるにもかかわらずだ

この法務大臣はおかしい

なぜ性同一性障害だけがこのままでは問題なのか

生殖補助医療が進歩してきた現在、戸籍法、民法など、親子法の整備を医学の進歩に合わせて総合的に検討しなければならない

この問題は、既に何年も前から言われている

向井・高田夫妻の事件は最終的にこれ↓

最高裁平成19323日決定(民集61巻2号619頁)

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070912151733.pdf

実親子関係が公益及び子の福祉に深くかかわるものであり、一義的に明確な基準によって一律に決せられるべきであることにかんがみると、現行民法の解釈としては、出生した子を懐胎し出産した女性をその子の母と解さざるを得ず、その子を懐胎、出産していない女性との間には、その女性が卵子を提供した場合であっても、母子関係の成立を認めることはできない

DNAは、確実に親子であっても母子関係を認めていない

今回の事件では、DNAでは実父子ではない

これだけを認めるなら、おかしなことにならないか?