病院や理事長宅を捜索=診療報酬不正請求の疑い-奈良県警

6211111分配信 時事通信

奈良県大和郡山市にある雄山会山本病院の理事長(51)らが、診療報酬を不正に受給していたとして、県警捜査2課は21日、詐欺容疑で、同病院と理事長(51)、事務長(57)の自宅を家宅捜索した。

また、2人から任意で事情聴取し、診療実態について調べを進めている。

捜査関係者によると、理事長らは200506年、生活保護を受けている患者に対し、心臓カテーテルを使った手術などを行ったように装い、架空の診療報酬を県社会保険診療報酬支払基金などに請求し、百数十万円を不正受給した疑いがあるという。

県内の病院では通常、生活保護費の受給者が入院患者に占める割合は1割程度だが、山本病院では6割を超えていた。

入院患者は大阪や京都から集めており、多くが身寄りのない人だったという。

不正受給額は、総額数百万円に上るといわれ、警察は慎重に裏付けを進める。

病院側は、取材に対し、「不正請求・受給の実態はない」としている。

県援護室によると、県は07年夏、病院関係者の内部告発を受け、同病院を立ち入り検査。

昨年年3月と今年3月の2回、生活保護法に基づく個別指導を行っていたという。

生活保護制度のエントリで書いたが、もう一度生活保護制度における医療扶助についておさらい

生活保護受給者が受診する場合、医療券(生活保護受給者証を発行している福祉事務所もある)が交付され、それに基き診療して、診療報酬明細書(レセプト)を社会保険診療報酬支払基金に請求する。

本人負担は0で、100%基金から支払われる。

基金は、審査支払済みレセプトによる金額を、福祉事務所に請求する。

入院の場合も同様である。

現在、独居のみよりのない高齢者で、生活保護受給者が脳梗塞などで寝たきりになった場合、受け皿となる施設がない

その理由として、入院、入所の保証人(身元引受人)がいないし、急変時に対応してくれる人もいない。オムツや日用品を購入し、届けてくれる人もいないので、入院・入所を引き受ける機関がない。

一方、生保患者の医療費は、100%福祉事務所が支払うので、取りっぱぐれがない。

身寄りがないので、PCIであろうがOPEであろうが胃瘻造設であろうが、身内の同意は必要ない。

医療上必要であるから、何々を実施すると、福祉事務所のSW(CW)に連絡するだけでよい。

入院中の受給者が死亡しても、何の揉め事も起きないし、福祉事務所に連絡するだけで後は何もしなくてよい。

いわば、やりたい放題やれるのだ。

本当に容疑が事実であれば、そこに目をつけたのだろう。

山本病院は、一般35床、療養45床なので、一般⇔療養のキャッチボールができるだろうし、県による指導監査でも、そのあたりは十分わかっていただろうに