【書評】富の未来 アルビン・トフラー/ハイジ・トフラー | 日々の気づきを記録する。

【書評】富の未来 アルビン・トフラー/ハイジ・トフラー

富の未来 上巻/A. トフラー

¥1,995
Amazon.co.jp

富の未来 下巻/A. トフラー

¥1,995
Amazon.co.jp

「第三の波」で世界に衝撃を与えたアルビントフラーが2006年に
著した書。

上下巻で700ページを超える大著。観念的かつ空間、時間、
経済等分野が多岐に渡り、読むのに骨が折れました。

著者曰く、「通常の経済学では新興の富は理解できず、この制
度の将来を垣間見るのに先史の昔から今まであらゆる富の創出
の土台にある基礎的条件の深部に注目する必要がある」と主張
します。(下巻332頁)

そのなかでもとくに「時間」「空間」「知識」を掘り下げ、革命
的な変化が起こっているかを示します。

そして、第三の波でも出てきた「生産消費者」=自分で使うか満足
を得るために財やサービスを作り出す者という言葉を使って、
非貨幣経済、(「フリー」でも述べられていた)家事、子育て、地域ボ
ランティアなど経済指標に表れない活動が拡大していることを指
摘します。

下巻は中国、韓国、日本、欧州、そして米国など各国の地殻変動、
情勢を俯瞰。例えば中国の場合、急成長の要因は「共産主義から市
場経済へ移行」という一般に流布されている理由だけでなく、中国
の文化全体に変化が加速、市民も変化の速さについて言っていると
指摘します。日本は、意思決定の遅さ、高齢化問題、女性の社会進
出の遅れなど構造的な課題を指摘。「複線」政策をとりながら解決
していくべきと述べます。

本の感想を書きながらも、この大著を完璧に読み解くにはには時間
と知力が足りないと実感。

しばらくしてから読むとまた新たな発見がありそう。じっくり味わいながら
読みなおしたい本ですね。

【目次】
第1部 革命
 第1章 富の最先端
 第2章 欲求が生み出すもの
第2部 基礎的条件の深部
 第3章 富の波
 第4章 基礎的条件の深部
第3部 時間の再編
 第5章 速度の違い
 第6章 同時化産業
 第7章 リズムが乱れた経済
 第8章 時間の新たな景観
第4部 空間の拡張
 第9章 大きな円
 第10章 高付加価値地域
 第11章 活動空間
 第12章 準備が整っていない世界
 第13章 逆噴射
 第14章 宇宙への進出
第5部 知識への信頼
 第15章 知識の先端
 第16章 明日の「石油」
 第17章 死知識の罠
 第18章 ケネー要因
 第19章 真実の見分け方
 第20章 研究室の破壊
 第21章 真実の管理者
 第22章 結論――収斂
第6部 生産消費者
 第23章 隠れた半分
 第24章 健康の生産消費者
 第25章 第三の仕事
 第26章 来るべき爆発的成長
 第27章 さらにあるタダ飯
 第28章 音楽の嵐
 第29章 「生産能力性」ホルモン
 第30章 結論――みえない経路

第7部 頽廃
 第31章 変化の教え
 第32章 内部崩壊
 第33章 ボルトの腐食
 第34章 コンプレクソラマ
 第35章 セプルベダの解決法
 第36章 結論--頽廃の後
第8部 資本主義の将来
 第37章 資本主義の終幕
 第38章 資本の変換
 第39章 不可能な市場
 第40章 明日の通貨
第9部 貧困
 第41章 貧困についての時代後れの見方
 第42章 明日に向けた複線戦略
 第43章 貧困の根を断つ
第10部 地殻変動
 第44章 中国はまたも世界を驚かせるか
 第45章 日本のつぎの節目
 第46章 韓国の時間との衝突
 第47章 ヨ-ロッパの失われたメッセ-ジ
 第48章 アメリカの国内情勢
 第49章 アメリカ国外の情勢
 第50章 目に見えないゲ-ムのゲ-ム
終わりに 始まりは終わった