【書評】ザッポスの奇跡 石塚しのぶ | 日々の気づきを記録する。

【書評】ザッポスの奇跡 石塚しのぶ

ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは/石塚 しのぶ

¥1,575
Amazon.co.jp


「ザッポス」という会社を知っていますか?
(わたしは知りませんでした。)

同社は1999年創業。靴のオンライン販売によって急成長
しているアメリカの会社です。「商品の配達・返品に料金
をとらない」「顧客を満足させるならほとんど何をやって
もいい」など顧客への徹底的なサービスを売りにし、また、
従業員の自由な活動を奨励するなどアメリカでもユニーク
な会社として知られています。

現在は年商10億ドルを突破、アマゾンやGAPを抑え、
市場の3割を占める圧倒的首位を確立しています。

この会社がとくに面白いのは「"企業文化"を徹底的に追
」し「競争優位」にまで昇華させていること。

CEOのトニー・シェイが「“企業文化”を前提に捉え、
す べてはそこから始まる」
と断言し、実際、仕組みとし
て実現しています。

「入社時の選別」「入社後のトレーニング」、その後
も「メンター/アンバサダーが手厚くサポート」していき、
"企業文化"を体現するザッポニアンに育てていきます。

ザッポス的であるかどうかが基軸となり、そこにあう人を
選び、あわない人は「バスから降りて」もらう。

バスに乗った人たちは、価値観を共有し、自由に創造力を
発揮し、より大きな目標に進む。高度な欲求の実現にエネ
ルギーを注いだとき、「ピークパフォーマンス」が生まれ
る。会社はより大きな価値を顧客に提供し、利益をあげる。

そんな従業員と会社の幸福な関係が“ザッポス″というプ
ラットフォームで生まれています。


日本社会はまだ、転職のハードルが高い。食べていくた
めに、会社にしがみつく一方、働くことの満足度が低い

しかし、「顧客はよりよいサービスを求め」「働く人間は
お金より自己実現を願う」ようになっています。

“ザッポス″のように、顧客の熱烈な支持を得る「企業文化」
をもつ会社が生まれ、その「企業文化」に惹かれ、楽しみ
ながら全力で働く
人が集まる。

万が一、"ザッポス"が顧客の支持を失っても、また違った企
業文化をもつ会社が生まれ、そこに価値観を共有し全身全霊で
働く人が集まる循環が生まれる。


日本にも、そんな新しい幸福な働き方が増えることを願い
ます。


【刺激を受けたフレーズ】

「会社が利益を稼ぐために人が不幸せになっていくなんて
おかしいんじゃないか?」(天野敦之著「君を幸せにする
会社」)

ザッポスにとっては、サービスとは、むしろブランドを築
くため、そして、顧客ロイヤルティを築くための投資なの
だ。

お客さんは「何をしてくれたか」は覚えてないかもしれな
い。でも「どんな気持ちにされたか」は決して忘れない。
(トニー・シェイ)

コンタクトセンター社員(中略)彼らの仕事は「顧客に幸
せを届ける」ことである。そこに給料を超えた働く意義が
ある。

ほとんどの人が生計を立てるためだけに働く、貧しい時代
があった。(中略)だが、今日では、アメリカを見ても日
本を見ても、「働く」ということに対する考え方が、相当
大きく変わってきている。「お金のため」に働くのではな
くて、「働く意義」や、もっと言えば「生きる意義」を求
めて働く、という人が増えて
きている。(中略)働く人の
間でそういう考え方が一般的になっている時代に、企業は
どうやって対応すべきなのか。

会社としては、利益を越えた目標、どう社会に貢献するの
かといった目標を明確にもつことが大事になっているの
だ。そして、その目標に賛同してくれる人たちを見つけ
て、充足感を感じながら、働いてもらう。働く人にしてみ
ても、心から共感できる会社で働くほうが、十倍、いや、
それこそ百倍もの底力が出てくる
。ザッポスは、そういっ
た時代の流れを実によく掴んでいる。

ザッポスのCEOのトニー・シェイは(中略)物腰柔らか
で、時に耳を澄まさなければ聞き取れないほどの静かな声
で話すトニーは、まさに「謙虚」という言葉がぴったりの
人柄である。その第一印象からは想像もできないが、実は
トニーの経歴は、米国ネットビジネス会の「wiz kid(天
才児)」としてのそれなのである。

(コア・バリューを定義するステップについての記述)
「どんな特性が「ザッポス的」にしているのか」を考えて
いった。(中略)「こうありたい」というお手本になるよ
うな人を特定して、その特性をあぶり出した上で、「共通
項」を導き出したいと思ったのです。そうすることによっ
て、会社のみんなが行動のものさしにできる、「いくつか
の価値観」にたどり着くのが目標でした。」

チップ・コンリーの「ピーク」

ライフ・スタイルや価値観を共有できる人たちに囲まれて
いるという帰属意識。尊重されているという満足感。想像
力を発揮できる喜び。達成感。より大きな目標に向かって
進んでいるという使命感。対象は社員であれ、顧客であ
れ、これらの高度な欲求の実現にエネルギーを注いだ時、
ピーク・パフォーマンスが生まれ、より大きな価値が生ま
れる。(中略)ザッポスがすごいのは、この「高度な要求
の実現」を、社内の仕組みとして作り込んでしまった
こと
なのだ。

初めてザッポスを訪れる人たちは、その自由奔放さ、ハチ
ャメチャさに衝撃を受ける。(中略)しかし、その神髄を
知れば知るほど、ザッポスが実は「アメリカで最も規律の
ある会社なのだということが鮮明になってくる。ザッポス
は、その外見から予想もつかないほど、指標徹底型の会社
なのだ。

ザッポスは「共同体(コミュニティ)」である。

ウェブ時代には信頼が最大の通貨

目指すところは、社員、顧客、会社という三者が、一者が
不均衡に得をしたり、損をしたりすることなく、釣り合い
のとれた「正三角形の関係」を築くことだ。社員もハッピ
ー、顧客もハッピー、会社もハッピーという「トリプル・
ハッピネス」の根本は社員
にある。ジェームズ・ヘスケッ
ト教授が、著書「バリュー・プロセス・プロフィット・チ
ェーン」で提唱したように、企業価値の向上はまず社員満
足から始まるのである。

何をもってして「適切な人材」とするのか、ということだ
が、これを私は、「企業の理念や文化に共感、賛同する人
材」であると解釈している。

「成功は幸せを手に入れるためのカギではない。むしろ、
幸せこそが、成功を手に入れるためのカギだ。何でも、情
熱をもって取り組めば、必ず成功に結びつくものだ
」(ア
メリカの実業家ハーマン・ケイン)

リーダー自らが「サービス」の本質を理解し、実践してい
ること。その行動を通して、社員の心を動かし、社員を奮
い立たせるパワーをもっていること。それが「個」を生か
す会社の強みなのだ


------------------------------------
最後まで読んで頂きありがとうございます!ブログランキングに
参加しているので、よろしければボタンを押して投票して下さい。
元気がでます!


人気ブログランキングへ

------------------------------------