消毒をしないで傷を早く治す…浸潤療法!! | 朝5時起きの外科医 まさ のチャレンジする日々!!

消毒をしないで傷を早く治す…浸潤療法!!

湿潤療法 は、うるおい療法閉鎖療法ともいわれ、擦り傷(擦過傷)や熱傷などの傷口を消毒しないで、水道水などで軽く洗浄し、その上を被覆材で覆って創部を浸潤環境に保ちながら治癒を促す治療方法です。
つまり、身体が本来持っている治癒能力を最大限に生かす方法です。


簡単にいうと、

消毒はしない
   → 水で洗うだけ!!
(菌を殺すのではなく…洗い流すようなイメージ)

ガーゼは基本的に使用しない
   → 専用の被覆材で覆うだけ!!

※ 受傷した時(初めて受診する時)は、創面や創周囲の皮膚を洗浄し、ガーゼやブラシを使用して、血液や異物を感染に取り去ります。

乾燥させない & かさぶたをつくらない(痂皮化させない)
   → 湿った状態に保つ!!

ということです。


創面に染み出てくる液の中に、創傷治癒に欠かせない細胞成長因子が含まれています。
皮膚の欠けたところは、表皮細胞が再生することで治ります。
表皮細胞は創面の染み出た液の中を移動して増殖します。

朝5時起きの外科医 まさ のチャレンジする日々!!-創傷治癒1


消毒すると、創傷治癒に欠かせない細胞成長因子や、治りかけていた表皮細胞や線維芽細胞を損傷してしまいます。
(消毒によって菌が死ぬのは、消毒をした一瞬だけで…殆ど意味がないといわれています。)
ガーゼは、細胞成長因子をたくさん含んだ液を吸収してしまい、表皮細胞が創面を移動できないように、創を乾燥させてしまうます。

つまり、消毒をしたり、ガーゼを使ったりすると、傷の治りが悪くなってしまいます。
(傷が治らないわけではありません。)

朝5時起きの外科医 まさ のチャレンジする日々!!-2
※ 上2つの図は、日系メディカルからとりこみました。


浸潤療法のメリットは、
痛みが少ない
  (消毒やガーゼ交換の時は痛いですよね。)
治りが早い
きれいに治る
・創面への物理的刺激が減る
・消毒やガーゼ交換の手間が省ける


もちろん、手術創にも使用できます

外来患者さんや入院患者さんには、ほとんど消毒をしたことがなく、処置自体もとても楽です。


ただし、創面から分泌される液はタンパク質を豊富に含んでいるので、細菌の繁殖場所になりやすく、専門家による観察や処置が必要です。
(創が膿んでいるときには行いません。)
染み出てくる液がたまらないように、吸収性の高い被覆材を使用したり、被覆材を頻繁に交換することにより、適度な浸潤環境を保つことができます。


下記サイトに詳しく説明してありますので、参考にしてください。

☆ 浸潤療法
http://www.wound-treatment.jp/title_heisa.htm

☆ 検証:擦過傷の治療
http://www.araya.dr-clinic.jp/woundtreattrial.page.html