こんにちは
 
二浪日記(どこで落ちこぼれたのか16話~18話)
をお届けします。
 
 
 
今回は 
 
16話 中高一貫校の中学卒業式 
 
17話 文系?理系?
 
 18話 餌まいてみたら?
 
 19話 中高一貫進学校、口火を切る をお届けします。 
 
イチローはいよいよ高校生となります。 
 
 
16話 は無料となっており、どなた様もお読みいただけます。
 
 REQUがよくわからない方は、
 
とりあえず 無料の16話を読んでみてね。
 
 
 
 

16話 中高一貫校の中学卒業式

 
中高一貫校でも、中学の卒業式はある。 
 
そして男子校でも、卒業生はちゃんと制服の胸に「卒業おめでとう」のコサージュなんかつけちゃったりする。 
 
そして、卒業証書の入った筒を持って、クラスメイトと写真を撮ったり、先生にお礼を言ったり、普通の卒業式と変わらない風景も見られる。 
 
まあ、ほぼ全員がそのまま高校へ上がるので、 涙涙の卒業式にはならないけれど・・・。 
 
 
中学校は義務教育。 
私立の一部老舗中学では中学留年もあるらしいけど、普通は15歳に達すると全員が卒業するものだ。 
 
それによそへ行く子はまずいないこの中学は、 卒業式のメインは、優秀者表彰式になっていた。 
 
優秀者表彰式というのは、 勉強の成績優秀者だけではなく、部活とか文化活動とか、いろんな角度で活躍した生徒を評価する表彰式だ。
 
成績の優秀者が表彰されるものもにも、いくつかの種類があって、その受賞者が1人にならないようになっていた。
 
 
 
 私は、式次第を見ながら、 へー、この学校そんな賞もあったんだと驚いていた。 
 
やがて、保護者が待っている会場へ 吹奏楽部が奏でる音楽に迎えられ、担任を先頭にして、卒業生がクラスごとに入場してきた。 
 
生徒席は各クラス3列で作られており、背の順ではなく、出席番号順に並んで着席する。 
 
でも、表彰対象者は壇上で賞状を受け取る都合上、出席順を無視して、最前列に席が設けられていた。 
 
私は保護者席のひな壇に座り、入場してくる卒業生に拍手を送りながら、各クラスの最前列に並ぶ子を確認していた。 
 
するとそこには 「ああ、やっぱりね。」という顔ぶれが並んでいく。 
 
そこにいたのは、みな入学当初からトップ争いに名を連ねていた成績上位の子たちだった。 
 
なかには入学当初は上位だったのに姿を見なくなった子もいたけれど、成績が真ん中より下だったのに、そこへ躍り出た子はいなかった。 
 
やがてイチローのクラスが入場してくる。 
 
最前列の3名は誰かしら?と目を凝らしていたら 
 
一列目は〇君か、なるほどね。 
二列目が◇君ね。ふむふむ。 
で、三列目は・・・、えぇ?イ、イチロー!? 
 
 
なんでさ・・・(◎_◎;) 
 
 
どうやらイチローのクラスでは、表彰対象者が2名だったらしく、最前列が1席余ってしまったらしい。 そこを空けておくのも変なので、残りは出席番号順に詰めて座らせたら、たまたまイチローが最前列になったということらしい・・・。 
 
同級生から 
「なんでイチローが一番前なんだよ」とつつかれて 
「知らねぇよ」と振り返っては笑っているのが見える。 
 
 
よりにもよって・・・( ;∀;) 
 
 
事情を知らない母から見たら 「あの子は何の表彰対象かしら!」って見えるに決まっていた。 
 
なのに表彰されないって、 ・・・コレ、悪目立ちってやつじゃない? 
 
そんな私の思惑はよそに、 卒業式は粛々と進み、やがて優秀者表彰となった。 
 
最前列の子たちは、順に呼ばれては、大きな声で返事をし、壇上に上がって、なにやらの表彰を受け、賞状やら盾やらトロフィーやらを受け取っていく・・・。 
 
私はそれを眺めながらこんなことを考えていた。 
 
・・・勉強は仕方ないにしてもさ、イチローも運動神経さえよかったら、部活のほうで輝くこともできたよね。 
 
イチローの運動神経がいただけないのは、私からの遺伝というのがはっきりしてる・・・。
 
男の子なのにかわいそうなことをしたなぁ。 
 
スポーツはみんなと同じだけ練習しても、同じように伸びるわけではないというのが見ていてよくわかるものだ。 ましてや中学の部活レベルだと、努力の差というよりは、生まれ持った身体能力の差で、出来栄えが相当変わっているように思う。 
 
最前列に座っているのに、いつまでたっても何も手にしないわが子を、なんとも不憫に思い始めたころ、皆勤賞が発表された。 
 
 
そこでなんと、イチローの名前が呼ばれたのだ。 
 
 
そうだ、皆勤賞があった(*'▽') 
 
 
皆勤賞は、人数が多いので、壇上に上がっての表彰ではなかったけれど イチローは名前を呼ばれると、元気に返事をして、椅子から立ち上がる。 
 
そして他のクラスの皆勤賞の子たちと一緒に表彰された。
 
 学校からは一番遠いと言ってもいいくらい、遠いところから通っているのに、一度も遅刻しなかったのは、イチローの頑張りだと思う。
 
 私はその頑張りに惜しみない拍手を送った。 
 
たまたま座った最前列だったけど、一応表彰対象で、なんとなく格好がついたからよかったね。(笑) 
 
 
 
思い起せばはるか昔、私も高校時代は皆勤賞だった。 
運動神経も遺伝したけど、皆勤賞気質も遺伝したのかもしれない。 
皆勤賞は、もちろん健康でなくては取れないけれど、ただ健康なだけではだめで、約束を守り、真面目に生活し、自堕落にならないことも必要だ。 
 
イチローは、これからこんなところを活かしていったらいいのかもしれない。 
 
 
 
卒業式が終わった後は、
 
部活の卒部式があった。 
 
学校のカフェテリアに集まって、お弁当やお菓子、飲み物などを配って それをいただきながら、コーチや監督、顧問などと一緒に歓談する。
 
 ゲームやクイズ、プレゼントなども用意されており、なかなか楽しいものだった。 
 
ここで母友から聞いた話だと、 
さっきの成績優秀者には、副賞?がついているものもあったらしく 
 
それは賞金、というか、金一封?がでたという。
 
 「へー、そうなんだー。え、〇万円?すごー。」
 
 私は中学生がもらえる金額としては多いと思ったので、 本気で、すごーと言ったのだけど 
 
他の私立では、成績優秀者は学費免除も珍しくないので、〇万円では、しょぼい賞金となるらしかった。 
 
そうか。 そういえば、成績優秀者は学費免除って中堅私立じゃよく聞くね。 
なるほど。 それと比べると確かにしょぼいね。
 
 
 
 卒部式も終わってお開きになると 同じ家に帰るのに、息子は息子、母は母、という形で帰るケースが多いように見えた。
 
 私もイチローが恥ずかしがるだろうと、あえて声をかけず、
 
一人で帰るつもりで支度を始める。 
 
イチローは高校生になっても同じ学校に通うわけだけど、
 
今ある荷物は一度引き払わなくてはならない。 
 
 
最終登校日にあたる今日はちょっと大荷物かもしれない。
 
 もし、持ちきれないならもって帰ってやろうと、声をかけると、 
 
「一緒に帰るから待ってて。」
 
と言われ 結局、私たち親子は駅までの道を二人ならんで歩き始めた。
 
 いいのかなぁ、後からからかわれないのかしら?
 
 とこっちのほうが気にしていても、イチローは全く気にならないらしく 話しかけてさえくるのだった。 
 
あちらこちらに部活仲間がいたけれど、
 
ヒュー、などと 冷やかしてくる子はいなかった。
 
 しばらく歩くとイチローが
 
 「ねぇ、もうこのまま帰るの?」という。
 
 「え?お茶でもしていく?」ちょっと驚いてそういうと、
 
イチローは嬉しそうに「うん!そうする。」と言った。 
 
 
私は、同級生に見つからないように乗換駅のお店か、この近くだとしても、駅の反対側のお店かな、と考えていたら 
 
イチローは、通学路ともいえるようなところにあるお店の前で、 
 
「ここは?」と聞いてきた。 
 
そこはお店の前がガラス張りになっているので、外から店内がよく見える。 
 
つまり、母親とケーキなんか食べているのが同級生から丸見えというわけだ。 
 
私は少し驚いて 
 
「・・・別にいいけど、見られても構わないの?」 
 
イチローは 
 
「なんで?」 とまるで気にする風がない。 
 
イチローがいいのなら別にいいけど、
 
と私たちはそこに入って ケーキとカプチーノでお茶にした。 
 
 
「中学卒業おめでとう。皆勤賞、よく頑張ったわね。お母さん鼻が高かったわ。」
 
 私がそういうと、イチローは照れくさそうに少し笑った。
 
 
 
 
 

17話 文系?理系?

いよいよ高校生になったイチローは 中学でやっていたのとは違う運動部に所属した。
 
 〇もんは、高校レベルになったので約束通り止めることにし、
 
個別指導はうまくいかずに止めてしまい、高1の時は、ノー塾の状態だった。 
 
学校の成績は良くはなかったけど、全体的に見るとそんなに悪くもなかった。
 
10段階を、5段階に直すと、オール4に少ーし3が混ざる感じだ。
 
追試に呼ばれることもないし、授業中に寝たりもしていない。 
 
そんなに難しい大学へ行かなくていいし、
 
いざとなったら付属大もあるし、
 
欲張らなければなんとかなりそうな気もするけれど・・・。