グーグルの採用基準と良き人生について 宇佐美 | マルクスのブログ

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名城大学の杉山ゼミナールの論評について

 日経新聞の「学歴・成績不問 グーグル、5つの採用基準」の記事について、私は賛成の考えである。たしかに、学歴・成績不問であることに反対する意見もあるかもしれない。しかし、私はその意見に賛成できない。
 これまで、ゼミの議題にもなっている「大学教育」について、もう一度私の考えを述べる。
 大学教育とは、想像力やコミュニケーション能力を培うものであると私は考える。つまり、それは自立した人格を形成することである。では、なぜそのような教育が必要なのか。自立した人格を形成することによって、社会を批判的に捉える精神が身につくからである。そうした人材が、現在の社会では必要とされている。
 しかし、現在の大学教育では、いい加減な単位認定によってそのような教養がなされていないように感じる。そして、まともな人格を形成することができないまま、社会に出て行っている。このような人材を、グーグルやアップルのような企業が必要とするだろうか。必要としないだろう。必要としているのは、ブラック企業と呼ばれているようなところばかりではないだろうか。
 よって、グーグルが学歴や成績を不問で採用することは賛成である。また、5つの採用基準についても触れていきたい。
 グーグルの5つの採用基準とは「専門知識・自発性・謙虚さ・リーダーシップ・学ぶ力」と記されている。そのなかでも、専門知識以外の4つの資質が重要とされている。いずれの4つの資質も大学教育で養うことができるのではないだろうか。しかし、上記で述べたように現在の大学教育では、それができていない。だからこそグーグルも学歴・成績不問にしたのだろうと予測することができる。 今こそ大学教育の制度を改善しなければならないと私は考える。ネットで講義が受けられる時代であるのに、大学で知識を伝えるような講義は必要ない。人格形成を基盤とした教育こそ必要とされている。また、学生自身も単位認定に気を取られるのではなく、大学教育に対して批判的に捉える姿勢を身に着けなければならない。
 もう一つの『「勉強→良い学校→正規雇用」は豊かな人生か?』の記事について論評していく。
 この記事では、「お金と健康」という観点から正規雇用について論評されている。また、前回の神谷美恵子さんの「生きがい」と結びつくような点があるように思われる。
 非正規雇用と正規雇用とでは、賃金に大きな格差があるため、「必死に勉強して高い給料をもらえる会社に就職する」といったライフデザインが合理的になる。このように敷かれたレールを走らされているような人生は豊かであるのかと筆者の松下さんは考えている。
 この考えは神谷美恵子さんと似ているように感じる。神谷美恵子さんは、「生きがいを失った人はハンセン病患者と同じである」という風に考えていた。
 松下さんも神谷さんも「生きがい」を重点においた考えであるように感じる。安定した暮らしが確保されることは決して豊かな暮らしとは言えない。仕事のストレスを抱えたまま、精神的に窮屈な暮らしをすることは幸せな人生ではない。自分の「生きがい」を見つけ出し、それが社会でどのように位置づけられるのかを最低限把握して生活することが豊かな人生であると私は考える。
 また、ストレスに満ちてしまうような会社に入る時点で間違っているのではないだろうか。私は、まだ学生で企業のことをあまり知らない。しかし、就活の時点で企業をしっかり見極めることができればストレスに満ちたり、社畜のようになってしまったりするような企業に就職しないのではないかと思う。だからこそ、大学で人格形成を基盤とした教育を行う必要がある。社会を批判的に捉え、本質を見抜ける人材を育成するべきだと私は考える。