「自動加入」のPTAを優良PTAに選出する神奈川県教委のロジック | まるおの雑記帳  - 加藤薫(日本語・日本文化論)のブログ -

「自動加入」のPTAを優良PTAに選出する神奈川県教委のロジック

文科省のM係長の話と神奈川県教委の言うことが違うので、M係長との話し合いの後、神奈川県教委に連絡を入れた。
文科省M係長と直接話をしたY氏が対応してくださった。

当方からの問題提起のあった翌日(10/9)にさっそく文科省に問い合わせをされたとのこと。

Y氏は、「『自動加入』のPTAの選考を容認してはいない。」とのM係長の言い分に納得されない。

Y氏いわく、
「自分は次の二点、すなわち、

1)「自動加入」を規制するような法的な根拠はあるか?
2) 表彰において「自動加入」のPTAをはじく根拠はあるか?

について確認したのだが、M係長からは、1),2)いずれについても、『ない』というお返事をいただいた。具体的なことばはともかくも、『推薦することは問題ない。』と言われた。」
と、自信を持っておっしゃる。

私が、M係長は、質問項目に任意加入か自動加入かを問う項目はなく、その結果として選考に際して問題にされることはないと述べただけだと述べているがと問いかけると、
「様式(=具体的な質問項目)にあるかないかという話にはいっさいならなかった。」とも。
まるお注:当方の紹介の仕方も悪かったかもしれないが、文科省のM係長の言っていることは、「要するに自分が言わんとしたことは」ということであって、このY氏の反論は反論にはなっていないと思う。

いずれにしても、県教委は独立した機関なのであり、またM係長は少なくとも現時点では「容認していない。」とはっきり述べている以上、「表彰要項」の文言をはじめとして、文科省から教委への通知・通達や各種法令を踏まえ、ご自分たちでよく考えるべき問題のはずだと言わせていただいた。


文部省より教育委員会に対して発せられた過去の通知・通達における「PTAへの参加は任意である」とする基本的な規定にそもそも違反するではないか!と強調すると、

「総合的に判断している。その一項目のみではじかれるものではないと考えている。選考基準でも活動内容が重視されている。」
とおっしゃる。
人の思想・行動の自由を踏みつけにすることなど、たいしたマイナスにはならないということであろうか。
私には、この感覚がどうにものみこめない。
教育行政に携わる人間のこんなスタンスが許されていいとは思われない。
人権を踏みにじり、法令(憲法19条・民法90条・消費者契約法)に違反しても「かまわない」などとどうして言えるのだろうか?

確かに、「自動加入」を行っているPTAに対して、教委がそれを直接的に規制する権限を持つかという問題設定なら議論の余地があるかもしれない。
しかし、自動加入のPTAを優良PTAに選考していいかどうかなど、議論以前の問題だと思うのである。違いますか?


Y氏も問題があることはよくお分かりのようでもあるのだが、
「全国的な問題だ(神奈川だけを問題にされても困る)。国のほうで音頭を取ってくれないと県としては、動きにくい。」
とも言われる。
お気持ちは分からないでもないが、「自動加入」のPTAだと百も承知の上で優良PTAとして表彰していることが判明しているのは、神奈川県と横浜市のみなのだ。

国は国で改善に向けた音頭を取るべく努める。神奈川県は神奈川県で改善に向けて動き出す。
そうあるべきではないだろうか。

12月は議会でお忙しいとのことで年末を目途にご検討をいただくことを約束し、話し合いを終えた。


次の記事では、「優良PTAに「自動加入」のPTAを選出してもかまわない」というロジック(神奈川県教委が積極的な主張し、文科省も消極的であれ認めていると思われる)をさらに突っ込んで検討してみたいと思います。


追記
「消費者契約法」の「逐条解説」においてPTAが同法の言う「事業者」に含められていることを、Y氏もご存じなかった。
その事実を知り、Y氏もPTAの「説明責任」については認めざるをえないのかという気持ちになられたようだ(まるおの推測)。
氏は「文科省がその法律を踏まえて全国に呼びかけてくれると動きやすいのですがね。」とも言う。
それに対しては、「『みなさんこういう法律がありますから注意してくださいね。』てなアナウンスを文科省に期待するのはおかしいのでは。独立した教育行政機関として常に法に照らしてご自分たちの行動を律していくべきではないのですか。」と生意気ながら、申し上げさせてもらった。

(まるお注:というよりも、今思いいたったが、「みなさん、注意してくださいね!」という国からのアナウンスが「逐条解説」なのでは!)