みくろど(過去のブログ記事より) | 石川鏡介の旅ブログ

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四国霊場会公認先達(権中先達)&秩父観音札所連合会公認先達です。四国霊場を中心に、古寺名刹、神社、城跡、名所旧跡。さまざまな旅の思い出を綴ります。

 弘法大師空海は西暦七七四年に讃岐国(今の香川県)で生まれた、というのが定説です。父は佐伯氏、母は阿刀氏で、幼名は真魚(まお)といいました。

 十八歳のときに上京し大学寮に入ったといわれています。しかし、都での出世コースに乗ることを捨てて出家し、霊場と言われる地を巡り歩き、厳しい修行を行います。儒教・道教・仏教の中で仏教が最も優れた教えである、ということを知り、仏道修行を志したともいわれています。

 さまざまな地で修行したようですが、代表的なのが二十一番札所の太龍寺のある山と、二十四番札所のある室戸岬です。太龍寺のある太龍岳に登山し「虚空蔵求聞持法」という修行を行いましたが、そこでは成就せず、室戸岬に赴き、さらに厳しい修行を行い、また「虚空蔵求聞持法」を行いました。明けの明星を見ながら虚空蔵菩薩の真言を唱え続けるというもので、一万遍唱えると、あらゆる経文の意味を理解し暗記できる、といわれる行です。

 若き日の弘法大師は室戸岬の海岸べりの洞くつで「虚空蔵求聞持法」を行い、明けの明星、すなわち金星が口の中に入る、という体験を得ます。単なる、ちょっとした神秘的体験というより、宇宙と一体になる、もしくは、自己が宇宙そのものと一体であるという悟りを得る、大悟だったのでしょう。十九歳の時だといわれています。

 その体験以降、彼は「空海」と名乗ります。室戸の洞くつの中から見える景色が空と海ばかりだったから、と言われています。

 このように、室戸の洞くつは、弘法大師が悟りの体験を得た場所であり、改名のきっかけとなった場所でもあるのです。

 日本仏教史上、日本文化史上に偉大な業績を遺した弘法大師の生涯を研究する者にとっても、偉大なカリスマ弘法大師を信仰する者にとっても、この室戸はどうしても訪れたい場所でしょう。

 大師が修行したといわれる洞窟は「みくろど」といわれています。地図では「御蔵洞」と書かれますが、実際には「御厨人洞」と書きます。また、御厨人洞は「厨」と書かれるように大師の修行を手助けした人が大師の為に御飯を炊いた場所であって、実際の大師の修行場は御厨人洞の隣り(向かって右)の「神明窟」だともいわれていますが、御厨人洞が大師の遺蹟として信仰の場になっています。

 一九九九年の八月に四国一周して室戸を訪れた時も、また、この前の「歩き遍路ツアー」でもこの「御厨人洞」へ行きました。

 宗教に興味がある人にも、歴史に興味がある人にも、訪れていただきたい場所です。

 

 

(2012年12月19日の「石川鏡介のブログ」の記事を再編集)

 

 

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