五輪野球『敗戦』について | プロ野球の視聴率を語るblog

五輪野球『敗戦』について

野球五輪代表が4位に終わった。
全試合の結果は以下の通り。
 

 

1次リーグ
● 日本 2-4  キューバ
○ 日本 6-1  台湾
○ 日本 6-0  オランダ
● 日本 3-5  韓国
○ 日本 1-0  カナダ
○ 日本 10-0 中国
● 日本 2-4  アメリカ
 
準決勝
● 日本 2-6 韓国
 
3位決定戦
● 日本 4-8 アメリカ
 

 

 

・試合結果から見るチームの実力・敗因
 
台湾・オランダ・カナダ・中国には勝ったものの、

上位3チームであるキューバ・韓国・アメリカには、0勝5敗と全く勝てず。
勝負事の結果は常に、運不運に左右されるものであるけれど、

「不運でたまたま4位だった」というのは無理があるように思う。
大会前の活動が一切なかったので、イメージだけで「そこそこ強いのでは?」と思っていたのだが、

この試合結果からは4位という成績は極めて妥当なものに見える。
 

 
日本選手の能力が、アメリカの3A、2Aの選手よりも劣る…とは思いにくい。
「チーム作り」に失敗したんだろう。
選手選考や起用、心理マネジメントが上手く行かなかったのが、直接的な敗因だと考えられる。
「星野監督が悪い」と結論付ける人も多いだろうし、それは100%間違いとはいえない。
でも、もっと上位に位置する問題点があると思う。
 
 
チーム発足当初から「短期決戦に弱い星野で大丈夫か?」みたいな心配はよく聞かれていた。
彼がかつて中日や阪神で監督をしていたときも、レギュラーシーズンでは何度か優勝したものの、

日本シリーズでは一度も勝てていない。そう指摘する人も多かった。

 
しかし、このチームの『監督』は星野仙一しかありえなかった。
 
 

 

・野球『代表』の構造

 
ご存知の人も多いと思うが、野球には統一的な競技統括団体が存在しない。
このせいで様々な問題が発生するのだが、今回問題になるのは「代表チームの母体組織がない」ということ。

 
野球の五輪代表チームを編成しているのは「全日本野球会議」なんだが、これは文字通りただの「会議」。

アマチュアやプロ野球の偉い人たちが話し合う場でしかなくて、財源や人的資源は持っていない。

 
国際大会にチームを派遣するには、人手もかかるし金もかかる。
通常なら協会なり何なりがバックアップしてくれるんだが、野球の五輪代表はそういった人や金を、

 

 

「監督」が個人的に集めなければいけない

 

 

という構造になっている。

必然的に、顔が広く、営業的な能力がある人間しか監督になれないということになる。
 
勝負師としての実力も、そりゃまああった方がいいに決まってるんだが、それは二の次。
だって、金や人が集まらないと、そもそも戦いの場に臨むことすら出来ない。
勝負以前の話。

 
そして、そういった「五輪代表監督」にとって不可欠な能力といえるものを持った人物で、

当時手が空いていた人物は星野仙一しかいなかったと思う。

 

 

 

・野球『代表』監督の仕事

 

彼の『仕事』はとにかくメディア媒体に登場することだった。

報道ステーションやら、ニュースZEROやら。カレーのCMやら。

選手選考でも、中田翔やハンカチ王子など、絶対使わないと思われる選手をよく『視察』していた。

そして、それが新聞記事 になっていた…。

そうやって顔を売ることで、スポンサーから金を集めたり、有料の講演会につなげたりしていたんだろう。

 

通常の『代表監督』の仕事とはかけ離れている、真面目にやってるのか?という気持ちになると思う。

でも、野球の代表監督にとっては、これが『本来の仕事』。

前述したように、自分で金と人を集めないと、そもそもチーム組織を作れないんだから。

(もちろん自分の懐に入れている分もいくらかはあると思うし、ある程度は正当化できると思う)
 

よくここでも『代表ごっこ』と揶揄していたし、構造を理解していればバカバカしいと思うはずだけど、

バカなのは騙すメディアと騙される大衆(多分普段は野球に関心ない、一般人の層)であって、

当事者は当事者なりに必死でやっていたんだと思う。

 
 

 
「星野監督が悪い」という野球ファンは、その「悪い星野」を選ばざるを得ない、

日本野球の構造に目を向けないといけないだろう。