『プロ野球の真似をすると赤字になる』川淵会長が経営を語る | プロ野球の視聴率を語るblog

『プロ野球の真似をすると赤字になる』川淵会長が経営を語る

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日本サッカー協会キャプテン 川淵三郎に聞く(前編)
日本サッカー協会キャプテン 川淵三郎に聞く(後編)

 
この人については僕は…そんなに悪い人ではないと思っています。まあ全面肯定ではないんですけど。

ただ、個人的なことよりも、こういった人間が自分の責任において動ける組織というのがすばらしい。

 

今日はプロ野球の経営について復習しながら、プロ野球の組織についての話にしようと思います。

 

 

 
野球とサッカーの違うところは、川淵氏が責任者として行動している、ということ、

極端な表現をすれば『独裁者』として振舞える仕組みが出来上がっているというところです。

 

日本代表監督がジーコになったのは、彼が選んだからです。

僕はジーコがいい監督だとは思っていないのですが…。
しかし彼は、彼の責任においてジーコを選んでいる。それはいいことだと思います。

(選出過程は別として…)

 

 

長嶋茂雄を五輪チームの監督に選んだのは誰でしょうか?

身動きが取れなくなっても監督に居座らせたのは?

判断した人間の顔が浮かんでこない。

責任を持った判断が出来ない組織というのは弱いものです。

 

 

 
川淵氏はインタビューの中で、Jリーグ、プロ野球チームの経営について話しています。
http://nikkeibp.jp/style/life/person/proposer/050823_kawabuchi2/index2.html

クラブの状態によって選手の年俸を決めていけば経営は成り立つんですよ。
それを、プロ野球みたいに全部が全部、巨人の年俸に合わせるようなことをやると、赤字になっちゃう。

 

 

全くその通りなのですが、「プロ野球みたいに」という一言で済ませてしまっている部分に、

実は底知れぬ闇があります。

 

JリーグはJ1、J2と異なったステージが用意されていますし、

J1の中でも優勝を狙うチーム、数年後の優勝を目指して力を蓄えているチーム、何とかJ1に残留を望むチーム…

と、チームの立場がそれぞれ異なっています

そのため「クラブの状態によって選手の年俸を決めていく」ということが可能になります。

 

 

 
一方プロ野球は、実際はどうであれ『全てのチームは平等』ということになっています。

そのため新人選手は、ドラフト制度というくじ引きによって所属チームが決められます。
チームの差異を認めていたらこんな話はありえません。

小野伸二がくじ引きの結果ザスパ草津に入団!なんてことになったら暴れるファンが多く出てきたでしょう。

 

しかし、実際のところはチームの収入に格差がある…。

しかもその収入の差というのは、『親会社が読売グループである』『巨人と同じリーグに存在する』

といったことで決まってしまい、球団の努力がほとんど反映されません

そうなると、その格差を埋め合わせるために親会社は身を削って支援しないとならなくなるわけです。

こちらでも触れていますが選手の年俸をゼロにしても赤字のチームがあるので。

支援しきれないとどうなるか…。

近鉄のように、これまでの恩を忘れた『ファン』に罵倒される結果が待っています。

(本当はもうちょっと複雑な事情があるのですが)

 

 

 
この問題を解決するには二つの方向性があって、

ひとつはサッカーのようにチームの格差を認める方向、

もうひとつはNFLなどのアメリカスポーツのように、

収益を全チームで平等に分配し、チームの格差をなくしてしまう方向です。

(個人的には後者の方が日本のプロ野球にはあっていると思うのですが、その話はまたいずれ…)

 

 

そのどちらも出来ずにもがいている状況なので、川淵氏に「プロ野球みたいに~」と言われてしまうのですが…。

「プロ野球」って、何でしょうか?

誰が動いたら、この問題は解決するのでしょうか。

チーム?オーナー?ナベツネ?コミッショナー?

 

この問題でも、責任者の顔が浮かんできません。

だって、そんなのいないんだから。 

 

 

「サッカーみたいに~」と言われたら、日本サッカー協会が日本代表からJリーグ、少年指導までの責任者です。

一番の責任者は、サッカー協会会長の川淵氏です。彼をトップとした、JFAが全ての責任を負っています。
 

 

プロ野球にはそういうものがない。責任を持って、利害を調整する組織がない。

 

 

 
『星野監督にすれば人気回復!野球人気に死角なし!』とか世迷言を言う前に、システム作りをしないといけないんだと思います。

もう遅いような気がしなくもないですが。