16.消えた37万人 | プロ野球の視聴率を語るblog

16.消えた37万人

『ファンはどこに消えた?』についてもう少し詳しく論じるために、プロ野球の観客動員数について語ります。




ご存知だと思いますが、去年までのプロ野球は観客動員を水増ししていました(今年も正確ではないですが…)。

しかも、ただごまかすだけではなく、定員の座席数より多い人数を発表する、という子供じみた水増しでした。



例えばダイエーが本拠地にしていた福岡ドームの定員は36643人、巨人の東京ドームは46314人です。
しかしダイエーは45000人、巨人は55000人と毎日のように発表していました。
そして以下の記事。


<ダイエーの観客動員数、史上最速の44試合目で200万人突破>
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200407/bt2004070313.html
(本文は試合結果についてがメインの記事になっています)


定員一杯37000人が毎日入ったと見ても、44試合で163万人。
その差の37万人はどこに消えたのか?




ここでは、水増しの是非はこれ以上論じません。「主催者発表」の数字は野球に限らず、格闘技やディズニーランド、ジーコ解任デモ(…ごめん)など多くの場面で見られます。


問題なのはこういった数字の、メディアでの扱われ方です。

ダイエー球団の、毎年のように更新される「史上最速で観客動員○○人突破!」という発表、それを大々的に垂れ流す報道。メディアに携わる人間が、水増しを『知らない』のであれば無知ですし、知っているのに流しているなら、意図があってのものでしょう。



僕が一番印象に残っているのは、確か2001年?の出来事。ゴールデンウィークに東京ドームでの巨人戦と、国立競技場でのサッカーキリンカップが重なったことがありました。その日の夜、日テレのスポーツニュースで、


「今日も東京ドームは55000人、この日行われたスポーツの中で最も多くの人を集めました!」
「サッカーはちょっと少なかったですね」


という、アナウンサーと江川との会話。(サッカーは実数発表で53000人ぐらいだった)

サンデーモーニングなんかでも、張本あたりが
「Jリーグなんか観客減ってるじゃないですか!(←これは嘘)野球はパリーグだってお客さんが増えてるんですよ!(←これは水増し。もっとも、張本クラスだと天然かもしれないが)」
という発言で世論誘導をします。

そして、そこまで関心のない人たちに「ふ~ん、サッカーより野球の方が人気あるんだ…」というイメージを作っていく…。



『野球人気に死角なし!』アンケートですが、結果は多分捏造ではないと思います。メディアによる世論誘導の結果として、各種アンケート調査はプロ野球有利な結果が出るのでしょう。
しかしそんなアンケートの回答者が、自分で時間やお金を割いて見に行くか?というと、実際には(ほとんど)ファンではないのでスタジアムに足を運ばない。最近ではテレビすら見ない。




メディアが作った世間のイメージ。
アンケート調査や主催者発表の水増し観客数。
テレビ視聴率や(実)観客動員とは矛盾した結果です。
1リーグ反対運動と『交流戦面白いなあ』、各種アンケートと実際の人気の格差。


ダイエーの消えた観客37万人は、メディアが作り出した虚像の『ファン』なのです。




でも、メディアは何で、わざわざそんなことをするんだろう?