若狭彦神社〜海の日若狭行(5) | 日々のさまよい

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若狭姫神社~海の日若狭行(4)←(承前)




先に寄るつもりが、
若狭姫神社の後になって到着となりました。
麓から上がって行く分には、案内標識が分かりやすく見落としはありません。

時刻も08:00となって、すでに日差しの容赦がなくなっています。
眩しそうに、前回は雪、今回は陽光で萎えそうなサチエ。




若狭姫神社は、本殿から鳥居まで一直線でほぼ東に向いていますけれど、ここ若狭彦神社の一之鳥居は、北東を向いています。




一之鳥居横の案内看板アップ。
杭にある「県道、素通り観光バス(排気ガス)お断り」というのが、ちょっと切実です。

けれど、観光バスがこの若狭国一宮上社を素通りするツアーって、あるんでしょうか?
もしそうなら、ツアーの設計として間違ってるとしか思えませんけれど…




こちらも万緑の若狭彦神社。




参道両脇の燈籠すぐ奥にある大きな二本杉が、二之鳥居とされているそうです。

そしてこの参道は一直線だった若狭姫神社とは違って、杉の二之鳥居を過ぎると少し左へ折れ、次に右へ大きく曲がってようやく東向きに一直線となり、随神門から神門、本殿へと到ります。

そのため一之鳥居からは、参道先の中央に燈籠がひとつ望めるだけで、他に何も見えない構造となっています。




随神門の前に立ち、空を仰ぐ。

まだ若々しい、真夏になりたての青空です。
けれど境内に入ってしまえば、僅かな木漏れ日があるくらいですから、暑さは感じませんでした。




随神門をくぐって、ホッと一息のサチエ。

若狭彦神社は、無人の神社です。
雪や緑など季節を越えていつも静謐な、まさに神さびた空間です。

一方、里の若狭姫神社では、すでに先ほどご近所の奥様方が草むしりに精を出しておられ、皆さんしゃがみ込んで手を動かしながら井戸端会議も賑やかでした。

もちろん両社ともども、日々お手入れに偏りなく皆さまご尽力されていると思います。

けれども、この彦社と姫社、その陰陽の組み合わせというか、対比の妙というか、それぞれが際だってひとつを成す力というか、大自然の本源を現すお姿というか、この日たまたまでしょうけれど、そのようなことなど改めて感じることができました。




神門。
奥に本殿の階段が見えています。

このドッシリとした感じは、若狭彦神社ならではの貫禄、とでも言うのでしょうか。

神門の向かって右の柱に、『和論語』(1996年)という書物に掲載された若狭彦大明神の御神託が板書で紹介されています。

 みな人の 直き心ぞ そのまヽに
       神の 神にて 神の 神なり

板書では、神の字が○で囲われ強調されています。

残念ながら、これをアップしてお見せできる写真がありませんので、1900年刊行の『和論語』(佛教國書出版)からご紹介しておきます。



ちなみに、ここで云う「四神」て、どういう意味なんでしょうね?




本殿の向かって右側に鎮座の、若宮社。

御祭神は鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)ですから、若狭彦大神(彦火火出見尊)と若狭姫大神(豊玉姫命)の御子神で神武天皇の父、ということになります。

けれども、これら記紀神話による神名は全て、もとからの土着神である遠敷(小丹生)の神さまをそう仮託してしまっただけかと思いますので、その地その場への親しみを忘れずに、若狭大好き!という気持ちを込めてお参りします。

おおよそどこの神社でも、まずは元からの土着神があり、それが紆余曲折の末に今の主祭神へすり替わっているものでしょうから、現在の神名、特に記紀神話に基づく神々はともあれ、何より元々の土着神を思う気持ちを大事にしたいと思っています。

それが寺社巡りの醍醐味でもあると思いますし。

だから、例えばお寺に行っても、それが山寺などなら尚のこと、元々の神さまを想像しながら参拝するのが楽しみで、「あの仏像の背後には隠された磐座があるんじゃないか」などと思わずにはいられません。

もちろん伊勢でさえ、あの風光明媚な海の国に生まれた太陽の神さまが、いつの間にやら皇祖神とされてしまい、お陰で長らく監獄みたいな正殿に閉じ込められたままなのはお気の毒…などと思ってしまいます(笑)




陽射しを受ける神門と社叢、そして青空。

もう08:30になっていますが、まだ他に誰も訪れる人がいません。
ひたすら静かです。




自然の湧き水が掛け流しの状態で手水になっています。
このお水も、たっぷりと頂きました。




湧き水の貯まる澄み切った池でまったりと揺らぐイモリ。
サチエがスマホで激写しました。

むこう向きに浮かんでるだけのと、左向きに泳ぐのとで2匹いますけど、分かるでしょうか?
念のためアップしておきます↓






神門の奥、立派な鰹木の光っている檜皮葺の建物が本殿です。




生い茂る巨木の杜に囲まれ、神殿だけが陽の光に浮かび上がっています。
そこを去りがたい思いを抱きながら、サチエが歩み始めます。
「ここ出ると暑いだろな~」とか、でしょうか?(笑)




随神門を出て、参道を下ります。

見えている柵の向こうは、もうすぐ民家なんですが、随神門の中は別世界であったと実感します。




振り返って随神門を見やると、中がアッという間に明るくなっていました。
太陽はぐんぐんと猛スピードで高度を上げているようです。




参道をさらに下ります。

杉の二之鳥居の先が、眩しくなっています。




振り返ると、木漏れ日も強さを増していました。
右手の燈籠が、一之鳥居から正面にポツンと見える燈籠です。




さらに振り返って、杉の二之鳥居を見上げます。


次は、遠敷川の流域巡りで最終地、神宮寺へと向かいます。



(つづく)→ 若狭神宮寺~海の日若狭行(6)




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