あの時まで俺は、


ただ少しだけ勘の良い普通の子供だと思っていた


それは幼稚園の保育士のお姉さんの様子の変化で


失恋したのだと気がついた事から始まる


少しずつ痩せて行く彼女を見ていられなくて


おやつを上げようとした


「修くん私に?」


俺は首を縦に振ってみせた


「ありがとう」


そのときはまだ、子供のほんの少しの気紛れ程度に思われていただろうから


彼女を追い詰めずにすんだのだけれど


彼女にとって彼の存在が、とてもに大きいものだったのだろうか


それとも、そうとうショックな失恋をしたのだろうか?


彼女は拒食症になっていたと思われる


まだ幼稚園児の俺が彼女の話を聞いてあげるなんて


とても無理な話だと認識していても


激痩せしていく彼女をそのまま傍観してはいられなかった


お昼寝の時間に、みんなが寝静まったとき


一人涙している彼女にそっとハンカチを差し出してみた


手首にはサポーターがあったが


その隙間にためらい傷が見えた


そんなに深刻に苦しんでいるのだろうか


「ありがとう修くん」


この時、幼稚園児らしくお腹でも痛いのと言えば良かった


「死なないでね」


大人びた俺の言葉で彼女は、俺に恐れを抱いてしまったようだ


「あぁゆき組みの修くんって不思議な子よね、あの子がいるとクラスの問題が簡単に解決してしまう」


いささかやり過ぎたのかもしれない


俺は人の困った顔が見ていられない性質らしい


祖父に引き取られるまでは


病院のようなところに居た


俺は体に異常を感じては居なかったが


どこかが壊れていて、病気なのだと思う事にした


両親が見舞いに来たという記憶がない


祖父は、両親は交通事故で亡くなったのだと言っていた


何となく、それは嘘だと感じていたが


それを信じるフリをしている


両親の話をすると祖父は困った顔をするから


それ以上追求できないなくなる


病院ではたくさんの本を読まされ続けた


白衣を着た先生と呼ばれた人たちの驚く顔が面白くて


夢中で本を読みそれについての感想を書いた


物心着いたころには文字の読み書きは出来た気がする


これが異常な事だと自覚したのはもっと後の事だ


祖父に引き取られてからも、本は読み続け感想も書き続けた


幼稚園に通う頃には高校での教科書も全て読破して


理解もしている


昔高校の校長まで勤めた祖父が色々と教えてくれたからだ


海外で暮らしていて他国後に精通している祖母に


12ヶ国語を教えられた


多分、幼稚園に通う頃には知識的には高校生くらいだろうか


感覚的にもそれに近い思考をしていたと思う


俺にとって幼稚園児の揉め事の解決など


造作も無いことだった


しかし、普通の幼稚園児を演じることの方が骨が折れる



次第に俺を恐れるようになった保育士のお姉さんは


ますます悪化の一途を辿る事になり


とうとう引きこもりになってしまった


その頃はまだ未熟だった俺は


それが返って彼女を追い詰める事だと気づいてあげられなくて


彼女の家まで訪ねていった


一人暮らしのようで小さなアパートだった


彼女は部屋に入れてはくれたが


「あなたは一体何者なの?」


ジュースを出しながら、豹変した醜悪な形相が俺を睨んでいた


「加瀬修一だよ」


色眼鏡というものは、一度掛けてしまうと、中々外せない


俺はその時から、そしてその後何度もその事を思い知らされる事になる


「そんな事を聞いているんじゃない」


彼女はヒステリックに右手をテーブルに叩き付けた


「あなた何処まで知っているの?」


俺は彼女の部屋を見回して彼女の言葉を噛みしめながら


推理してみた、そして


「みーたん先生」


俺は気がついてしまった


つづく



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実は今回リア友に手伝ってもらいましたヾ(@^(∞)^@)ノ


ちょこっと壁にぶち当たっているようなので


気晴らしに手伝ってみてと(ΦωΦ)ふふふ・・・・


前回の話の中で出てきた加瀬くんの話です♪


前回の話


始めの話


しかし・・・学園もののはずが・・・


SFがサスペンスかって感じになりましたねΣ(@@;)


どうなることやら・・・・



まる☆