しかして日子番能迩々芸命(ひこほのににぎのみこと)、天降りまさむとする時に、天の八衢(やちまた)に居て、上は高天原を光らし下は葦原中国を光らす神是(ここ)に有り。
(『古事記』上つ巻 〔天下り〕)
(アマテラス大神の)言葉に従って、日子番能迩々芸命が天降りなさろうとするときに、天の道の八つ辻の分岐点にいて、上は高天原を照らし、下は葦原中国を照らす神があった。
アマテラスの孫「日子番能迩々芸命(ヒコホノニニギ)」が地上を統治するために天から降りてきます。
その途中の辻で、光り輝く神様が待っていました。
それが「猿田彦(サルタヒコ)」です。
※「古事記」では「彦」は「田比 古」。変換できないので「彦」で書きます。
サルタヒコは「天の神様が地上に降りてくるということで、道案内をするために参上いたしました」と言って天孫ニニギたちを先導します。
それゆえに、「みちひらきの大神」であり、万事良い方向に導いてくれるといわれてます。
八角形で方角が刻まれていました。
猿田彦神社には他にも「八角形」のものが多くあるそうですよ。
参拝したときには是非探してみてください!!
私もいくつか見つけましたが秘密にしておきます(笑)
サルタヒコは「天孫を道案内するために参上しました」と言って天の辻で待っていましたが、
実は誰もそんなもの頼んでいませんでした。
サルタヒコは己の自主性と主体性をフルに発揮して辻で待っていたのです。ものすごい勇気と行動力です。
しかしながら一方、天孫たちからすると、誰も頼んでいない上に、誰も知らない神が、ピッカピカに光り輝きながら辻で待っているのだから、それこそ大そう怪しみます。
そこでアマテラス、天孫の付き添いで来ていたアメノウズメ(天宇受売)に
「お前は眼力がすごいし物怖じしないから、『あなたは誰?』と聞いてこい」と命じます。
※アメノウズメとは、天の岩宿の前で激しいダンスを披露した神様で、芸能の神様(猿女君)です。
アメノウズメはその通りに質問すると
「私は国神でサルタヒコといいまして、道案内に参上しました」と答え、素性が明らかになります。
のちのち、その褒美としてアメノウズメはサルタヒコの名前をもらうことになります。
神に歌舞を奉納する「猿女君」という名前の「猿」はサルタヒコに由来があるのです。
境内にはアメノウズメを祭神とする「佐瑠女(さるめ)神社」あります。
「古事記」には書かれていませんが、
初めてサルタヒコと対峙したとき
アメノウズメは自分の乳を出し見せたという話もあるらしいです。
初対面でいきなり乳を見せられても...(笑)
毎年5月5日に豊作を願う「御田祭」があるそうです。
写真の左隅でおっちゃんが熱心に田んぼを耕してました。
サルタヒコとアメノウズメには面白い話が多いです。
サルタヒコが海で溺れたり、アメノウズメがナマコと揉めたりします。
しかしちょっと長くなってきたので、
今回はここまで。
おわり