天才中村八大 | EVERYBODY'S TALKIN'/噂の音楽四方山話

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60年代~70年代の洋邦楽、ジャズ、クラシックの個人的に好きな曲のみをご紹介いたします。また自分のライブハウスでの弾き語りなどの情報、その他の趣味なども。

また新しいテーマを作ってみた。題して「音楽のオーパーツ」。
 オーパーツとは、その時代には存在しえぬと思われる高度な技術・知識が使用されている遺跡や、遺物のことを言う。例えばアステカの遺跡で発見されたとされる水晶の髑髏(どくろ)に至っては現代の技術をもってしても作れないものらしい。
 ということで「音楽のオーパーツ」とは、とても何十年(あるいは、何百年)も昔の音楽とは思えない現代でも燦然と輝き、且つ現代のアーチストでは逆に作れ得ないような作品をご紹介するコーナーとしたい。
 先ず第1回目として中村 八大(なかむら はちだい、1931年1月20日 - 1992年6月10日)氏の作品を選んでみた。
 中村八大は日本の作曲家、ジャズピアニスト。青島(当時は中華民国、現在の中華人民共和国)出身。『上を向いて歩こう』、『こんにちは赤ちゃん』、『遠くへ行きたい』、『明日があるさ』など、1950年代末から1960年代にかけての数々のヒット曲を作曲した。兄の中村二大はクラリネット奏者。妹の夫は漫画家の寺田ヒロオ。(Wikipediaより)

①黄昏のビギン / ちあきなおみ
 元歌は何と水原弘のシングル「黒い落葉」のB面曲。このシングルは1959年10月に発売。そしてこのちあきなおみのヴァージョンは1991年6月21日にリリースしたシングル盤。作詞は永六輔・中村八大の共作、作曲は勿論中村八大。この曲が作られた昭和34年のJ-POPといえば、演歌と歌謡曲しか無くこのような洒落た作品は殆ど皆無だったろう。現代でいえば大貫妙子あたりが作りそうなシャンソン&ジャズに通じるナンバー。





②Billy Joel - PIANO MAN (with bilingual lyrics) - Live At Tokyo 2006
 何とビリー・ジョエルも中村八大の曲を演奏している。といっても「ピアノマン」のイントロの更に前口上としてだが。しかしこれだけでも中村八大の音楽が先見性のある「オーパーツ的」音楽であったという証拠でもある。ビリー・ジョエルはこの「ピアノマン」を歌う際の前口上にその公演場所や公演時期に縁のある音楽をチョイス(例えばコンサートが12月ならジョン・レノンの命日の前後なので「イマジン」を前口上にする等)して演奏しているようだが、彼にとっては日本の音楽=中村八大ということになっているのだろう。




③さて次は②の元歌『坂本九】「世界に眠る幻の未公開映像」より「上を向いて歩こう」(作詞:永六輔、作曲:中村八大)である。
 この曲は1961年7月21日「第三回中村八大リサイタル」で初演。歌詞に秋の部分を加えると共に、構成とアレンジを練り上げ、NHKテレビ「夢であいましょう」の「今月の歌」で流れた途端大反響を呼び10 - 11月の2ヵ月に延長され10月15日東芝レコードより発売 (作詞:永六輔、作曲:中村八大)そして翌1963年米国のキャピトル・レコードから発売され、日本人の曲として初の全米チャート1位を獲得 (ビルボード6月15日から3週連続、キャッシュボックス4週連続)現代の日本人作曲家の技術や知名度を持ってしても全く不可能に近い偉業を50年前に達成している。正に「音楽のオーパーツ」の代表作。




④ザ・ピーナッツ 私と私
 この曲は以前にもご紹介した事が有るが、ザ・ピーナッツの東宝初主演作品の主題歌である。生き別れになった双子が出会い、「ザ・ピーナッツ」として人気歌手になるまでを描くミュージカルドラマ。中村八大は1950年代末からはそれまでのジャズピアニストの活動から作曲家としての活動に主軸を転じたのだが、普通ジャズ・ピアニストの作る曲は絶対ジャズになってしまうものなのだが、絶妙なラインでポップスと住み分ける特異な作風で、それまでの日本の歌謡曲とは一線も二線を画したユニークな歌曲を多く作っている。この曲はその中でも特に素晴らしい出来と思う。歌詞も非常に大きな魅力。
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⑤「夢であいましょう」
 この曲は1961年-1966年にNHK総合テレビで放送されていた同名のバラエティ番組のテーマソングである。この番組でジャニーズ が芸能界にデビューしたというのは、意外と知られていない。ここではタイム・ファイブ(同志社大学軽音楽部出身の田井康夫、野口鎮雄、勅使河原貞昭、吉村晴哉、杉江浩平の男性5人で1968年に結成されたジャズ・コーラス・グループ)のテンションを駆使した高度なハーモニーでお聴き頂きたい。このコーラスアレンジのせいもあるが、この曲もとても昭和36年頃の作品とはにわかに信じられないナンバーだ。



 以上こんなところで第一回を終わりたいが、当然「オーパーツ」は多くは存在しないし中にはまがい物も有るだろう。従ってそんな沢山アップは出来ないがせめて10本くらいはご紹介したいと思っている。


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