The Beatles (ビートルズ)のこの1曲「 Old Brown Shoe」 | EVERYBODY'S TALKIN'/噂の音楽四方山話

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60年代~70年代の洋邦楽、ジャズ、クラシックの個人的に好きな曲のみをご紹介いたします。また自分のライブハウスでの弾き語りなどの情報、その他の趣味なども。

1年以上前だが、
『友人のビートルズのコピーバンドのバンマスがビートルズの●●●●●を練習し始めたようなので、エンド・ユーザーである私が「こういう風に演奏して欲しい」という要望を伝えるといった、やや安易な企画だが、最後までお付き合い下さい。』
 という出だしで以下のような記事を2つ書かせて頂いた。

コチラ↓
http://ameblo.jp/marthamydear/day-20100701.html

コチラ↓
http://ameblo.jp/marthamydear/day-20100723.html

 今回はこの3回目となる。しかしながら私事だがこの友人のビートルズのコピーバンドとは実は「阿倍野チェリーズ」のことで、現在、私もこのバンドにご意見番として加わっている(笑)


「オールド・ブラウン・シュー」は、1969年5月にビートルズが発表した20枚目のオリジナル・シングル「ジョンとヨーコのバラード」のB面曲である。

 この曲はジョージ・ハリスンの作品でリード・ヴォーカルもジョージ。レコーディングは1969年4月16日および18日の2回で完成しているが、元々のジョージ一人によるデモの録音開始は同年2月25日。この日は自分の誕生日で、同時に別の傑作2曲も録音開始している。
 その別の2曲とは「サムシング」「オール・シングス・マスト・パス」。「サムシング」は言うまでもなく1969年9月発表の『アビー・ロード』に収録され同年10月に21枚目のシングル盤、しかもジョージにとって初のA面として発売された。
 一方「オール・シングス・マスト・パス」は残念ながらビートルズとしてはついに発売されず、自身の3枚組LPアルバムのタイトル・チューンとして発売されている。


 さてこの「オールド・ブラウン・シュー」のプレイヤー 及び担当楽器は次の通り。
ジョージ・ハリスン /リード・ボーカル リード・ギター
ジョン・レノン /コーラス
ポール・マッカートニー /ピアノ,ハモンドオルガン, ベース, コーラス
リンゴ・スター /ドラムス
 と意外な事にジョンはコーラスにしか参加しておらず、ギターは弾いていないが、ポールは印象的なベースや飛び跳ねるようなジャングルピアノ、バックで怪しく響くオルガンなど八面六臂の活躍をみせている。
※因に「ジャングルピアノ」とは特殊なアタック音を得るためにハンマーに金属片を仕込み少し金属音に近いような音色にしているピアノ。昨今のシンセサイザーならピアノ音のひとつとして容易に再現出来るが、当時このようなピアノを使うアーチストはあまりいなかった。

 何はともあれ聴いて頂きましょう!原曲を。
The Beatles - Old Brown Shoe





I want a love that's right
Right is only half of what's wrong
I want a short-haired girl
Who sometimes wears it twice as long

正しい愛が欲しい
正しいことなんか間違ったことの半分しかない

ショートヘアーの娘がいい
でも時には長い髪の娘もいいかな

 という感じの愛について皮肉っぽい歌である。
 この曲の発表直後エリック・クラプトンが「いとしのレイラ」を発表するのだが、、、まあこの辺りまで書き出すと本論から逸れ出すので歌詞についてはこの辺にして、いよいよ!

 このようにポールのベースを合図にドラムが裏を強調した非常に変わったリズムを刻み出すと、このリズムに全てのパートがはずむように対応して演奏が始まる。ここでの聴きものはやはり、ベースとドラム。とにかくこのような、カッコ良さは唯一無比の感さえある。
 非常に複雑且つ奇妙なメロディなので、何となく聴くとずばり、変な曲と思われるかも知れないが、素晴らしい構成・発想力を持つビートルズのロック魂を体感出来る曲だ。

 ここでのポールのベースは身震いするほどの凄さがある。どうやらポールはベースを弾きながら同時に歌も録音しているようなので、基本自分が歌う自分の曲のベースは歌を歌わねばならない為、割と簡素に作られているが、ジョンやジョージの曲は自分(ポール)がリードで歌う必要はなくベースに専念できる為、物凄いベースを聴かせてくれる。同時期録音の前述の「サムシング」のベースときたらリード・ギターにも匹敵するほど饒舌なベースであるのは皆さんご存知の通りだろう。

 さてイントロ、Aメロを2回繰り返した後、Bメロに入る。このBメロのコード進行は
 G→G→G→F7→G→G→G→F7→F#dim→F#dim→G7→G7
 と全て1小節に1つのコードしか使われていないのだが、特筆すべきはF#dimという特殊なコードが2小節に渡って使われている点。

 このディミニッシュ系のコードは普通あるコード例えばFから次のコードGm7のコードに移るときの橋渡しのように一瞬使われるのが普通である。例えば

「Till There Was You」のイントロ( )が1小節。
(F F#dim) (Gm Gm7/C)
 のように一瞬、長くとも1小節以内で使われるのが普通で、この「オールド・ブラウン・シュー」のように2小節に渡って引っぱり使われるのはあまり例がないのではないか。
 しかしこの効果のお陰でこの2小節は極めて不気味だが、独創的なこの曲を際立たせるのに一役かっているのだ。
 しかもその部分の3連譜のギターVSベースのバトルが物凄い。このリズムに引っ張られる事無く、淡々としかしモたる事無く叩き続けるリンゴの腕前も素晴らしいものがあるのだ。

 そしてリードギター。ここではジョージの大胆なギターソロが聴ける。同時期の「サムシング」の叙情的な、歌うようなギターと好対照である。特にA♭7の部分の3連4拍子の部分が難しいと思えるがこの部分がこなせるようになれば自動的にA♭7などというギターではジャズナンバーなどでしかお目にかかれないコードも楽にこなせるようになるだろう。(とギタリストには申し訳ないが気楽に表現メンゴ)

 次にお聴き頂くのは1992年のツアーから。映像も手ぶれを起こし、音も悪く、しかもちょい演奏間違えちゃっているが、お聴き下さい。 
George Harrison - Lead vocals, guitars
Eric Clapton - Guitar, backing vocals
Andy Fairweather-Low - Guitar, backing vocals
Greg Phillinganes - Keyboards, backing vocals
Chuck Leavell - Keyboards, backing vocals
Nathan East - Bass, backing vocals
Steve Ferrone - Drums
Ray Cooper - Percussion
Tessa Niles, Katie Kissoon - Backing vocals.
George Harrison - Old Brown Shoe (Two Cameras Video Remixed)




 続いてジョージの死後行われた追悼講演の「Concert for George」から。さすがに上のビデオから10年経っているので、映像的にも良いものになっている。ボーカルは「青い影」でおなじみ、プロコル・ハルム(Procol Harum)の ゲイリー・ブルッカーがピアノを弾きながら担当。
 途中現れるジョージに似た青年は息子ダニー。またタンバリンでガッバっているレイ・クーパーおじさんが異様に目立つ(笑)。一つ前のジョージが歌っているYOU TUBEでもタンバリンで目立っていた。そして例の恐怖の3連譜はブラスでも味付けされている。しかもプレーヤーはジム・ホーンとトム・スコットとくれば、良いのは当然至極。


Old Brown Shoe - Gary Brooker [Concert for George; Royal Albert Hall; 2002]
George's Band (after interlude) and guests

Eric Clapton – guitars, musical director
Jeff Lynne, Tom Petty, Joe Brown, Albert Lee, Marc Mann, Andy Fairweather-Low, Dhani Harrison, Paul McCartney – electric and acoustic guitars
Gary Brooker, Jools Holland, Chris Stainton, Billy Preston, Paul McCartney – keyboards
Dave Bronze, Klaus Voormann – bass
Jim Capaldi, Ringo Starr, Jim Keltner, Henry Spinetti – drums
Ray Cooper – percussion
Jim Horn – tenor saxophone
Tom Scott – alto saxophone
Katie Kissoon, Tessa Niles, Sam Brown – backing vocals
Anoushka Shankar – sitar






 さて「オールド・ブラウン・シュー」だが出だしのコードはC7で一瞬ブルース的な響きを感じ、ゆっくりと例えばギター1本で演奏して投げやりな感じで歌えば一気にボブ・ディラン風にならなくもないが、やはりここでは、原曲通り突っ走るのが正解だろう。注意点は AメロからBメロへの移行、そしてBメロからリードギターへの移行、そして再びBメロへの移行、Aメロへの移行を経てエンディングへとなるが、全てこの移行をスムーズに行けるかがこの曲の勝負所。そして原曲ではFOであったエンディングをどうするかだ。。。。が、このバージョンはさすがにうまく終わっている。(超プロ達なので当たり前だが)

 さて最後はジョージの作品を歌うポールとエリック・クラプトンの映像を見て頂いて終わりたい。
Paul McCartney - All things must pass (Concert For George)(HQ)





 これが「Concert For George」のセットリスト
SARVE SHAAM
SITAR SOLO-YOUR EYES (ANOUSHKA SHANKAR)
THE INNER LIGHT (JEFF LYNNE & ANOUSHKA SHANKAR)
ARPAN (CONDUCTED BY ANOUSHKA SHANKAR)
SIT ON MY FACE (MONTY PYTHON)
THE LUMBERJACK SONG (MONTY PYTHON)
I WANT TO TELL YOU (JEFF LYNNE)
IF I NEEDED SOMEONE (ERIC CLAPTON)
OLD BROWN SHOE (GARY BROOKER)
GIVE ME LOVE (GIVE ME PEACE ON EARTH) (JEFF LYNNE)
BEWARE OF DARKNESS (ERIC CLAPTON)
HERE COMES THE SUN (JOE BROWN)
THAT'S THE WAY IT GOES (JOE BROWN)
HORSE TO THE WATER (JOOLS HOLLAND & SAM BROWN)
TAXMAN (TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS)
I NEED YOU (TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS)
HANDLE WITH CARE (TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS with JEFF LYNNE & DHANI HARRISON)
ISN'T IT A PITY (ERIC CLAPTON & BILLY PRESTON)
PHOTOGRAPH (RINGO STARR)
HONEY DON'T (RINGO STARR)
FOR YOU BLUE (PAUL McCARTNEY)
SOMETHING (PAUL McCARTNEY & ERIC CLAPTON)
ALL THINGS MUST PASS (PAUL McCARTNEY)
WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS (PAUL McCARTNEY & ERIC CLAPTON)
MY SWEET LORD (BILLY PRESTON)
WAH WAH (ERIC CLAPTON & BAND)
I'LL SEE YOU IN MY DREAMS (JOE BROWN)

この中から何が聴きたいですか? やっぱ流れから行ってポールの「サムシング」でしょう。ポールの意表を衝いたウクレレの弾き語りと、一転通常バージョンのソロに突入する部分が感動的だ。
 これで1969年2月25日に誕生したジョージの三つ子、3曲は全部聴けました。

Something - Paul McCartney & Eric Clapton [Concert for George; Royal Albert Hall; 2002]



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