築地市場跡地の写真に浴恩園の池を合成(丸谷氏作成)

 

9月10日、区議会築地等都市基盤対策特別委員会で、 「『浴恩園』の再生と、築地市場跡地再開発の見直しを求める請願」の審議が行われました。

紹介議員を代表して、奥村議員が以下の通り、趣旨説明を行ないました。

 

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 請願第五号 「『浴恩園』の再生と、築地市場跡地再開発の見直しを求める請願」の紹介議員を代表して趣旨説明をさせていただきます。

 

 道路を含む23ヘクタールという都内最大級の再開発計画が進む築地市場跡地では、三井不動産を代表企業とする11社の企業連合が、5万人収容のスタジアムを中心とした大規模な商業複合施設の建設を計画していますが、同跡地の下には、東京都が旧跡に指定した江戸時代の庭園「浴恩園」の遺構や様々な遺跡が静かに眠っています。

 

 「天下の名園」とうたわれた、この「浴恩園」を現地に蘇らせようと、市民でつくる「東京都築地市場跡地再開発『浴恩園』を再生させる会」から、6月24日、中央区議会に請願が出されました。

 この請願は「江戸東京のかけがえのない歴史的遺産である『浴恩園』を再生し『東京都築地市場跡地再開発』を見直す」ため、「『浴恩園』の遺構の本調査を実施すること」や、「『浴恩園』の保存・再生を検討する審議会を都民と専門家が参加する委員構成で結成し、その経過を広く公表すること」などを、東京都や中央区、事業者、その他の関係機関に、中央区議会として働きかけるよう求める主旨で提出されています。

 

 浴恩園は、江戸時代後期に老中首座となり「寛政の改革」を進めた松平定信が生涯でつくった5つの庭園の一つです。

 桜に囲まれ桜の名所として知られた「春風の池」と、紅葉に彩られた「秋風の池」という江戸湾の海水が流入する2つの潮入りの池を中心とした池泉回遊式庭園で、池の周りには、日本中から集めた白から紅色への変化する美しい蓮の花100種類を育てる蓮池が作られ、四季折々で表情が変わる色彩豊かな景観は多くの文化人の交流の場となり、満ち引きや魚釣りなども楽しめる庭園として庶民や子どもたちにも親しまれました。

 また、遠来の客を定信公の小船に乗せて朝もやの中、昇る日の出鑑賞でもてなしたり、池の真ん中の築山(賜り山)のたもとを船で漕いで、春風から秋風の池に入り、海沿いの水門で船を下りて歩いて砂州のある東京湾へと出かけるなど、海辺の風情も堪能できました。

 このように「浴恩園」は、眺めるだけの庭園とは違う楽しみに満ちた場所でした。

 

 定信が死去する間際の1892年(文政12年)、文政の大火により浴恩園の下屋敷が焼け落ちたとされていますが、2つの池からなる庭園は消失を免れました。

 明治期には、庭園を回避する形で海軍関連施設が設置され、関東大震災から3年後の1926年、浴恩園は旧跡指定されましたが、その後、1935年に築地市場が開場し埋め立てられたとされています。

 

 2018年に築地市場が83年の歴史の幕を下ろした後、東京都は2021年~22年にかけて、埋蔵文化財の予備調査と試掘調査を実施しましたが、2つの調査が行われたのは、約19.4ヘクタールの開発面積のうち、わずか0.66ヘクタールです。全体の3.4%にとどまっており、予備調査の段階で必要とされる10%にも届きませんが、この限られた調査の中でも、「春風の池」の護岸の石積みや、「秋風の池」の南端部分などが奇跡的に良好な状態で確認されました。

 

 ところが2023年3月、東京都は本調査が未実施であるにもかかわらず、「保存するに値しない」と判断しました。

 

 こうした都の対応に対し、丁寧な本調査の実施を求め、市民を中心とする「文化財保存全国協議会」や佐賀県の「吉野ヶ里遺跡全面保存会」、「高輪築堤の全面保存を求める会」、「新建築家技術者集団」などにより、勉強会の開催や研究が続けられています。

 本調査を実施し、発掘面積を増やしていけば、さらに多くの遺構が発見されることでしょう。国会図書館に収蔵されているデジタルコレクションなどのデータも活用すれば、当時の様子を再現することは十分に可能です。

 とりわけ、公園や緑が少なく、屋外の遊び場不足である中央区にとって、子どもたちが自然と触れ合いながら水辺と親しめる環境を生み出していくことは、情操教育や環境教育としても重要であり、次世代へのプレゼントとして大変意義深いのではないでしょうか。

 

 築地市場跡地は都有地であり都民の財産です。

 きちんと本調査を実施し、都民の声と専門家の意見を生かしながら、江戸東京の顔となる「水と緑」の景観を、浜離宮庭園との連続性も持たせながら一体的に再生することは、観光資源としても魅力あふれるものになると思います。

 

 持続可能なまちづくりや環境保全、災害時の避難場所として役立てていくなど様々な観点からも、ぜひ本請願を十分に審議し、採択していただきますようお願いし、紹介議員を代表しての趣旨説明といたします。

 

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趣旨説明のあと、請願者の補足説明、委員からの質問、理事者への質疑が行われ、請願は継続審査となりました。

 

 

十思公園内の鐘楼

耐震補強や外壁などの改修工事が予算化

 

中央区は、令和6年(2024年)度 9月補正予算案を編成し、第三回区議会定例会に提出します。

 

今年初めに起きた能登半島地震を教訓に、防災拠点運営委員会と備蓄物資や防災資器材の点検などをおこない、運営体制の強化にむけた備蓄物資をあらたに配備することが盛り込まれました。

 

その他、補正予算の歳出についてはコチラ↓ をご覧ください

写真の十思公園内の鐘楼などの改修工事は8です

 

9月3日の福祉保健委員会で、 国民健康保険被保険者証とマイナンバーカードの一体化等について報告がありました。

 

●12月2日から被保険者証の新規発行を廃止する

●現行の健康保険証は来年9月30日まで有効

 後期高齢者医療保険証は、来年7月31日まで有効

●有効期限が来たら、マイナ保険証の登録なしの人には「資格確認書」が発行されます

 

福祉保健委員会資料↓

 

 

中央区では、マイナ保険証の登録は、 

国民健康保険:登録者数1万2,461人(登録率46.2%)で 6月からわずか171人増  

後期高齢者医療制度の登録者数6,568人(登録率45.7%) 317人増

 

登録も伸び悩んでいますが、

持っていても実際に使っている人は1割程度です。

 

民医連バナー↑

 

全国18地方紙が8月に行った合同アンケートで、回答者1万2千人余の8割以上が今の保険証を残すことを求めています。

政府が5月に実施したパブリックコメントにも、ひと月足らずで5万3千件超が寄せられ、その多くがマイナカードへの懸念を訴える意見でした。

 

私は委員会の質疑で、

◎カードの取得も、マイナ保険証の登録も、任意。政府は、この原点に立ち返り、今の保険証を残す道を早急に探るべきだと考える。

◎マイナ保険証を持っている、持っていないにかかわらず、現行の被保険者証で今まで通り受診できることをきちんと知らせるべき。

と要望しました。

 

区の担当者も、「12月2日以降、本区の国民健康保険へ加入された方などのうち、マイナ保険証を保有していない方には『資格確認書』を交付するため、マイナ保険証の有無にかかわらず誰もが安心して医療機関を受診することができる」としています。

このことをもっとしっかり周知するよう求めました。