今回いらしてくださったのはとても素敵なご婦人。
御年80歳。背筋のスッと伸びたまさに凛と咲く一輪の花のような方でした。
「私はね、いつも黒ばかりなのよ」とおっしゃるほど黒がお好きでずっとダークなお色味をお召しになっていらっしゃったとのこと。
確かに黒がとてもお似合いになるシックな雰囲気をお持ちでいらっしゃいました。
それが今回、お孫さんのご結婚式でハワイに行かれることになられたそうで・・・。
ハワイ。そう、ハワイです。ハワイと言えばカラフル、と言っても過言ではないあのハワイ!
お祖母様のことが大好きなお孫さんから「折角だから明るくて華やかな服で参列して欲しい」と言われ、どうしようかと迷っていらしたところあるご縁でMarineColorsをご紹介をいただきました。
「華やかな色なんて似合わないから・・・」
そうおっしゃったその方は・・・もっとも華やかなカテゴリーのお色味がお似合いになる方でした。
診断終了後その色をじっと見ながら、ホッと小さなため息をつかれて、
「私ね、昔、この色が好きだったの。思い出したわ。」
と、昔話をしてくださいました。
戦中・戦後の混乱期のこと、失った家族・友人、ご結婚後は早くに旦那様を亡くされて女手一つで仕事と子育てをしながら無我夢中で生き抜いてこられたこと。
ずっと黒をお召しになってこられたのは、ご自分を律して闘い続けるためでもいらしたのかもしれません。
弱みを見せることなど絶対にできない、そういう思いをお持ちの方が多い世代。
生き延びて申し訳ないと心のどこかで思っている・・・この世代の方はよくおっしゃいます。
でも、だからこそ戦火に散った人たちのためにも死にもの狂いで生き抜いてやる、と思って生きてきた、と。
闘うために必要だった黒。悲しみの色、だったのかもしれません。
けれど、本当はバラの花のような華やかな色もお似合いになる方。
「こういうお色は、やはり抵抗がおありですか?」
と伺ったところ、ニッコリ微笑まれて
「そろそろ・・・いいかしらね」と。
深く、重い言葉でした。
最後に「少し肩の荷が下りた気がするわね、ありがとう。」とおっしゃってくださいました。
こちらこそ、本当にありがとうございました。
お見送りした時の後ろ姿はやはりスッと咲く一輪の薔薇のようにとてもお美しくていらっしゃいました。私もあんな女性になりたいと、そう思いました。
ハワイの地で大輪の花を咲かせていただける日を楽しみにしております。