第235話 ロケバス | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第235話 ロケバス

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根拠なき自信は

日増しに大きくなっていくようだった。


そもそも

スピードをすると気が大きくなる。


スピードの効き目がなくなって完全に抜けた後でも

私はほとんど躁状態と言っていい程の

快活さと自信に満ち溢れていた。


ユウは反動で欝になるけれど

私はその逆だった。


だから

二人のテンションが合わずに

些細なことで喧嘩になる。


しかし

いつしかそれも

「いつものこと」としか思えなくなっていった。


ユウがスピードの切れ目に

膝を抱えて暗澹たる表情をしていても

もう気にならなかった。


私は自分の好きなことをしながら

そんなユウをやり過ごすことを覚えていった。



ギルガメのロケで

横浜のランジェリーパブに取材に行った。


その日は

アユとサヤカとミクが一緒だった。


行きのロケバスの中で

アユが遠まわしにドラッグの話題を振った。


アユは

私とサヤカがドラッグをやっている事を知っている。


問題はミクだったのだが

アユが独特の隠語やあいまいな言い回しを使いながら

ドラッグに関する特殊な知識があるかどうかを計っていった。


結局4人ともスピード経験者だったとわかると

すぐに露骨なドラッグトークが始まった。


「雪ネタってのがあるんだけどさー、あっちにキクのよ!

馬の強壮剤のアンナカが混ざってるんだよね、 あれは最高だよぉ~」


サヤカが目を輝かせながら言う。


「でもさぁ、なんか混ぜもん入ってるのって大丈夫なの?」

と、アユ。


「純度100%なんてのはないよ。 なんだかんだ混ざってるっしょ、私が売人なら味の素を混ぜるね!」


「サヤカこえぇー! あははは」


アユが手を叩きながらうけている。


サヤカは相当なエキスパートのようだ。

なんでも知ってるよとばかりに

様々なドラッグの知識を惜しげもなく披露する。


ドラッグの種類、その使用方法、キメた時の楽しみ方。


私とミクは

身を乗り出して興味深そうに頷いていた。


ドラッグに関するエピソードは

単純におもしろいものが多い。


そしてそれは

経験者にとってのみ

リアルに腹を抱えて笑えたり

逆に苦々しい共感だったりするのだ。


だからこそ

ジャンキー同士には

不思議なまでの信頼関係が生まれ

絶大な仲間意識を持つようになる。


ロケバスの中での会話は

未だかつてない盛り上がりをみせていた。



横浜のランジェリーパブでは

Tバッグにスパンコールのニプレスといった格好のギャル達が

おっぱいをユサユサ揺らし

お尻をプリプリと振りながらお酌していた。


賑やかな音楽が大音量でかかっていて

店の中はリオのカーニバルさながらだった。


私達も同じ格好になって

レポーター役をやった。


その日の仕事が終わってから

私とアユとサヤカはベルファーレに行くことにした。


ミクだけが

後にインタビューの仕事があるとかで帰っていった。


六本木を3人で歩いていると

サインをくれだとか

一緒に写真を撮ってくれだとか

野次馬達がうざったくてたまらなかった。


私達は適当にあしらいながら

早足で店に向かった。


ヴェルファーレにつくと

サヤカが財布の中に隠し持っていた

錠剤タイプのスピードを奢ってくれた。


「錠剤タイプなんてあるんだぁ?」


バファリンほどの大きさの白い錠剤を受け取りながら

私はサヤカに尋ねた。


「手軽でいいっしょ? まぁ効き目はソフトなんだけどね」


言いながら

サヤカはジンバックで錠剤を飲み込む。


アユがファジーネーブルで続く。


一瞬

ユウとの約束が頭をよぎった。


「ドラッグをやる時は必ず一緒にやる」

最初にスピードをやった時に交わした約束だ。


だけど私は

あっけなくその約束を破った。


カシスオレンジで

ひとおもいに錠剤を流し込む。



その頃

私達の知らないところで

大変な事件がおこっていた。




やったことのツケは必ず払うことになるのが人生だよなぁ、と思う。

因果応報・・・。 どんな形にせよ、自分に全部戻ってくるわ。 良き行いを心がけよう。 まじで^^
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