第226話 私の聖剣 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第226話 私の聖剣

宝石ブルー携帯からの目次を作りました  



スピードのせいで

あらゆるベクトルが内側に向かっている。


思考は

決して回転を落とさないコマのように

遠心力を伴いグルグルと回り続ける。


私は夢中で

自分を解読することに挑む。



女は男の欲望の対象物だ。

私は女であることが憎い!


ああ・・・

でも・・・ それなのに・・・


私はなぜ

AV女優だなんて

「性の記号」たる職業についてしまったのだろうか。


AV女優だけじゃない。

ホステスだって愛人だってストリップだって同じことだ。


私はずっと

自分の性的価値によって報酬を得てきた。


SEXにはその対価がついて周り

「させてあげるもの」という固定観念が染み付いてしまった。


女であることを忌々しく思いながら

誰よりもその性的価値を誇示して生きているのは私自身だ。


男の欲望に対して絶望しながら

誰よりも男に依存して生きているのは私自身だ。


矛盾の糸は

幾重にも絡まりあっていて

とてもほどけそうになかった。


私はギュっと目を瞑る。


この洞窟を

安住の地として堂々と立ちはだかる

暗黒のボスの姿をイメージしてみる。


一つの体から突き出た2つの頭。

双頭の竜だ。


一方の頭は

根深い男性不信。


もう一方は

自分自身に向かう女性嫌悪。


この暗黒のボスに

何をもって立ち向かえばいいのだろうか。


二つの首を切り落とすための聖剣を

私は携えていない。


のこのこと手ぶらで

こんなところまできてしまったのだ。


世界に散りばめられたメタファーが

心の断片と関係付けられ

イメージを伴った心像となり結ばれていく。


それは

不思議な現象だった。


憎き姫に呪いをかけ洞窟の奥深くに閉じ込めた魔女。

幽閉された暗い洞窟の中で王子の到来を待ちわびる姫。

暗黒の洞窟の門番をしている双頭の竜。

勇敢に立ち向かい姫を助け出そうとしている王子。


私は様々な物語の登場人物を

一身に引き受けているように感じていた。


そして

今の段階で物語に欠けているものは

きっと聖剣に違いないのだ

と考えていたのだった。


その時
「じゃーーーーん!!」

と陽気な声をバスルームに響かせて

ユウが裸で入ってきた。


驚いた私の体が

思わずビクンと大きく反応して

お湯がジャバっと音と立てて波打った。


「うわっ! 驚かせないでよっ」


私はユウに目を向ける。


「いつまで風呂はいってんだよ~」


ユウは

完全にエレクトさせたディックを持ち上げながら

「いじってたら、こんなになっちゃった」

と屈託のない笑顔を見せる。


あまりのテンションの違いに

私は戸惑いを覚えながらも

急速に現実に引き戻されていった。


ずいぶん遠いところまでいっていたようだった。


ユウはお湯に浸かると

待ちきれないとばかりに私の体を弄る。


私は大きく息を吸い、吐いた。


「能天気なやつめ」


そう言いながら急に

考え込んでいた自分がバカバカしくなった。


「何だよ? なーになーに?」


ユウは盛りながら

体のあちこちに唇を押し当ててくる。


「愛と繋がった高尚な快楽と

自堕落で変態チックな快楽・・・どっちが勝つんだろうなぁ」


私は独り言のように呟いた。


「高尚な快楽って何それ?

人類皆変態ですよ! なっ」


ユウは私の気持ちなんてちっとも解っていない。

しかたないけど。


「どっちの欲望に振れるかなんて

やってみなきゃわかんなぃもんね」


私はそう言うと

ユウのそそり立つディックを口に含んだ。


もしかしたら私の聖剣はこれなのかもしれない。

そんな淡い期待を抱きながら。


そんなかんじで今回の内面への旅は一応終了。 超私的な事を延々と書いてしまいました。

私はLの時もそうだったんだけど、ドラッグをすると欲望が内側に向く。

これは人によって違うみたいです。 私の場合は「分析マニア」なんてあだ名をつけられたくらぃだった。

でもって、ドラッグはドーピングみたいなもんだから、脳に負荷をかけながら、やたらと頭の回転は速くなる。

普段は思いつかないような哲学的な思想だとか観念的なものをリアルに感じてしまうんですね。

小難しいと感じた方もいるみたいですが、すんませんでした^^; 

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