第125話 AV撮影 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第125話 AV撮影

現場は一軒家のスタジオだった。


台本を渡されて

すぐに監督との打ち合わせに入る。


私のデビュー作は

インタビュー物のドキュメンタリーで

初々しさを売りにしたものだった。


監督にいろいろと質問され

それに答えていくのだが

答える内容は台本に全て書いてあり

そのほとんどが作り話なのだ。


私は北海道から上京してきた18歳の女の子という設定で

「愛のないSEXじゃ絶対にイカなぃ!」

なんて豪語するものの

男優の華麗なテクニックにメロメロになり

最後はしっかり昇天して

「イッチャうなんて!!」

とかわいく悔しがるというベタな内容だ。


監督との打ち合わせが終わり

衣装合わせとメイクに入る。


それからADに

シャワーを浴びてくださいと言われ

シャワーを浴びにいく。


ボディソープで体を洗いながら

何も感情がない事に気がつく。


まただ・・・。


援助交際の時と同じように

自分から解離しているのだ。


これから始まろうとしている事に

何も感じないなんて心が壊れているとしか思えない。


でもそれは

とても都合の良い事だった。


バスローブ姿でメイクルームに戻ると

ジイヤが少し心配そうな顔で

私の方を見ている。


私は

「緊張するなー」

と言って思い詰めた表情で俯く。


それから

スタッフ達の前で

いたいけに瞳を潤ませ

涙ぐんでみせたけれど

それは完全に嘘泣きだった。


きっと

はじめてAVに出る女の子は

こんなかんじだろうと思い

場の雰囲気に合わせてフリをしている。


本当は何も感じていないし

すっかすかの空っぽだ。


最初に絡む男優さんは

加藤鷹さんと言ってとても有名な人らしい。


さっきメイクさんに

どんな人なんですかと聞いたら

女の子にすごく人気がある男優さんだと教えてくれた。


まりもちゃんはどういうタイプが好きなの?

と聞かれたから

ジャニ系ですね、と答えたのだけど

それについては何も言われなかったから

鷹さんはきっとジャニ系ではないのだろう。


男優さんが来たというので

ジイヤについて挨拶に行く。


背の高い男に

「はじめまして! よろしくお願いします。」

と満面の笑みで握手される。


『えー・・・ なんかキモイおじちゃんだなぁ・・・。不自然に色黒だし・・・。』


正直タイプとは程遠い。


でも鷹さんは

私が緊張していると思ったのか

気を使ってコーヒーを入れてくれたり

いろいろと話しかけてきてくれるので

待ち時間の間に印象は良くなっていった。


「そろそろいきまーす」


ADの声がした。




いよいよですねー・・・。淡々と書き進めていきます!

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