第039話 暴力 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第039話 暴力

おじさんは股間の辺りに手をやってモゾモゾしている。


『何してるんだ?』


私は異変に気づき

おじさんを突き飛ばした。


「ちょっと!なんでゴム取ってるの?」


「ちゃんと出す時はつけるから。ちょっとだけいいでしょ?」


またか・・・。


援助交際の掟破りに

私はみるみる激昂していく。


「ふざけんな!!

おめーみたいな早漏と生でできるわけねーだろ!バカ!」


ああ。

もう嫌だ!


「もう帰る!!金出して!」
「わかったよ。つけるよ!」


ほとんど逆切れ状態で

おじさんは行為を続けようとした。


「つけるよ。じゃねーよ!早く金出せ!!」


怒鳴り声ともかなきり声ともいえるような声で

私は叫ぶ。


先日の悪夢がありありと蘇る。


取り返しのつかない事をしてしまいそうだ。


私は真剣におじさんを殺すという

考えに支配されはじめていた。


片隅に残る冷静な自分が
「後始末が大変だからやめておけ」

と私に言い聞かせる。


歯止めのきかない怒りに

自分でも恐怖を感じていた。


おじさんは私の勢いに押され

憮然とした態度で

しぶしぶと財布から5万円を出した。


私はそれをひったくる。


気持ちを落ち着けようと

深呼吸しながら服を着る。


指が震えて上手くボタンがかからない。


自分が怖い。

息ができずに苦しくなる。


どうにか服を着た私は無言のまま
部屋を出ていこうとした。


なのに

その声が私にとどめを刺したのだ。


「お里が知れるね。」


おじさんの小さな一言を私は聞き逃さなかった。


完全に自分を失った。


「このやろーー!!!」


私は飛びかかって

ものすごい力でおじさんを張り倒した。


一心不乱に殴りつける。


おじさんはびっくり仰天してベットに丸まった。


無抵抗なおじさんを

何度も何度もグウで殴りつける。


ヒッっと声にならない呻き声をあげるおじさんを見て
無性に腹が立った。


「ドン!ドカッ!」


両手の指を組み

上から思い切り振り落とす。


何度も何度も容赦なく振り落とす。


背中がきしむ音が聞こえる。


その背中に向かって
「てめー!おわってんだよ!」と吐き捨てた。


赤紫の斑点が次から次と浮かび上がってくる。


おじさんは全身アザだらけだ。


この体・・・

奥さんに何て言い訳するんだろう。


知った事か!


だったら最初からこんな事しなきゃいいんだ!


自分の手が赤く腫上がっている事に気がついた。

不思議と痛みは全くなかった。


私は放心状態で部屋を後にした。


ラブホテルから出ると

ひどい夕立だった。


タクシーも拾えず

私はびしょ濡れになりながら

しばらくの間動けないでいた。


疲れた。


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