第036話 愛人ばんく | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第036話 愛人ばんく

「週刊誌の広告を見て電話してるんですけど。」
「入会希望でしょうか?」
「はい。」
「一度事務所に手続きにいらしてください。」


私は『愛人バンク』に登録する事にした。


先日のような目に二度とあわないために
身元のしっかりした人と愛人契約を結ぼうと思ったのだ。


渋谷の宮増坂を少し上がった雑居ビルの一室が
その『愛人バンク』の事務所になっていた。


看板は出ていない。


中に入ると経営者らしき男が一人いるだけで
私は勧められるままソファに腰掛けた。


簡単な自分のプロフィールを書き
ポラロイドカメラで顔写真と全身写真を一枚づつ撮られる。


年齢は二十歳だと偽った。


3年前の西暦も干支もきちんと覚えてきていた。

それは聞かれもしなかったが。


「援助希望金額はいくらにしますか?」
「五万円でお願いします。」

「それではお見合い予定が入り次第お電話致します。」


その経営者は物腰が優しくとても良い人に見える。
事務的なかんじで淡々と説明を続ける。


説明を聞いている途中

男がまるで「結婚相談所」かなにかの

アドバイザーのように思えてきて

うんざりした。


お見合いか・・・。

物は言いようだな。

と思う。


いけしゃあしゃあとすました顔でさ・・・。


売春斡旋のくせに!


私は女を食い物にする商売をしておきながら
ごく普通のサラリーマンのように見えるこの男に
虫唾が走った。


いかにもあっち系の人が
こういう商売はするものだと思っていたので
少しは気負って出かけてきたのだったが
すっかり拍子抜けしてしまった。


世の中は水商売をはじめ性風俗など

若い女達から搾取する商売で溢れている。


私のような家出娘はかっこうの餌食だった。


それでも私は

こういうシステムの中に身を置く事で

少しは安心できるのではないかと思ったのだ。


電話は次の日にすぐにかかってきた。


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